102 / 122
僕たちの新しい伝説
僕を忘れたあっくん
しおりを挟む
涼兄と目が合ってからの展開は、もはやドタバタどころじゃなかったみたいだ。僕はすぐさま駆けつけたドクターにあれこれされて、直ぐに疲れて眠くなっちゃったし。ていうか眠っちゃったし。
僕が眠りに落ちる瞬間、僕を見つめる眼差しが皆、不安そうなのがちょっと面白かった。何だか、僕が二度と目覚めないって思ってるみたいで。
でも後から僕が、事故後病院に運び込まれた時に心臓が止まったって聞いて、うわ、だからあんなに不安そうだったのかって納得したけども。
涼兄が残しておいてくれた事故のニュース動画であっくんの車がベッコベコになってるのを見て、僕はその時初めてゾッとしたんだ。信号無視だから不可抗力だったし、良く助かったと思う。
相手の大型トラックの運転手さんは、心臓麻痺で信号無視したらしくて、その後亡くなったって聞いた。僕も多分家族も、やるせない感情に襲われたのは確かだ。
特に僕は目覚めるのに時間は掛かったけれど、取り敢えず脳の後遺症はなかったみたい。でも、あっくんが僕をすっかり忘れてるとは思わなかったよ。ほんと。
断片はキッカケがあれば少しづつ思い出してるみたいだけど、丸忘れ。マジで。僕はこの腹立たしい感情を何処にぶつけて良いものか分からないよ。
「理玖、まだムカついてるのか?しょうがないだろう?理玖を庇って頭打ったんだろ?それに理玖の事は覚えてなくても、俺たちから見たら、前と何処が違うんだって感じの溺愛ぶりじゃん。」
何度目かのお見舞いに来てくれた尊が、僕の病室にあったお見舞いのゼリーを貪り食いながら言い放った。そんな尊を呆れた様に見ながら、悠太郎は僕に言った。
「理玖たちは番なんだから、直ぐに前の様になるさ。それに何かキッカケがあれば思い出すんだろう?大事なのは過去じゃなくてこれからなんじゃないか?
二人の命が助かった、それ自体が奇跡みたいなものなんだから。な?」
僕が悠太郎の言葉を噛み締めていると、尊が急に真面目な顔をして僕に言った。
「そうだぞ。お前が事故ったって聞いて、俺たちメシも喉を通らなかったんだ…。しばらく危篤だったし、涼介さんに細かい事聞ける様な状況じゃなかっただろ?もう連絡を待つしかなくって。
理玖が生きてるのか死んでるのかも分からない状況だったんだ。元気になったから、そんなにムカつく事も出来るって事だろ?生きてるって素晴らしいよ。な?」
僕は何だかムカついてるのも馬鹿らしくなって肩をすくめると、二人ににっこり笑って言った。
「そうだね。僕、贅沢だったかも。二人に散々心配かけて、本当にごめんね。多分これから学校でも迷惑かけるかもだけど、よろしくお願いします。」
僕が見上げた二人の目が潤んでるのを見て、僕も泣きそうになったのは内緒だ。
僕が眠りに落ちる瞬間、僕を見つめる眼差しが皆、不安そうなのがちょっと面白かった。何だか、僕が二度と目覚めないって思ってるみたいで。
でも後から僕が、事故後病院に運び込まれた時に心臓が止まったって聞いて、うわ、だからあんなに不安そうだったのかって納得したけども。
涼兄が残しておいてくれた事故のニュース動画であっくんの車がベッコベコになってるのを見て、僕はその時初めてゾッとしたんだ。信号無視だから不可抗力だったし、良く助かったと思う。
相手の大型トラックの運転手さんは、心臓麻痺で信号無視したらしくて、その後亡くなったって聞いた。僕も多分家族も、やるせない感情に襲われたのは確かだ。
特に僕は目覚めるのに時間は掛かったけれど、取り敢えず脳の後遺症はなかったみたい。でも、あっくんが僕をすっかり忘れてるとは思わなかったよ。ほんと。
断片はキッカケがあれば少しづつ思い出してるみたいだけど、丸忘れ。マジで。僕はこの腹立たしい感情を何処にぶつけて良いものか分からないよ。
「理玖、まだムカついてるのか?しょうがないだろう?理玖を庇って頭打ったんだろ?それに理玖の事は覚えてなくても、俺たちから見たら、前と何処が違うんだって感じの溺愛ぶりじゃん。」
何度目かのお見舞いに来てくれた尊が、僕の病室にあったお見舞いのゼリーを貪り食いながら言い放った。そんな尊を呆れた様に見ながら、悠太郎は僕に言った。
「理玖たちは番なんだから、直ぐに前の様になるさ。それに何かキッカケがあれば思い出すんだろう?大事なのは過去じゃなくてこれからなんじゃないか?
二人の命が助かった、それ自体が奇跡みたいなものなんだから。な?」
僕が悠太郎の言葉を噛み締めていると、尊が急に真面目な顔をして僕に言った。
「そうだぞ。お前が事故ったって聞いて、俺たちメシも喉を通らなかったんだ…。しばらく危篤だったし、涼介さんに細かい事聞ける様な状況じゃなかっただろ?もう連絡を待つしかなくって。
理玖が生きてるのか死んでるのかも分からない状況だったんだ。元気になったから、そんなにムカつく事も出来るって事だろ?生きてるって素晴らしいよ。な?」
僕は何だかムカついてるのも馬鹿らしくなって肩をすくめると、二人ににっこり笑って言った。
「そうだね。僕、贅沢だったかも。二人に散々心配かけて、本当にごめんね。多分これから学校でも迷惑かけるかもだけど、よろしくお願いします。」
僕が見上げた二人の目が潤んでるのを見て、僕も泣きそうになったのは内緒だ。
12
お気に入りに追加
1,207
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子
葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。
幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。
一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。
やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。
※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
僕を愛して
冰彗
BL
一児の母親として、オメガとして小説家を生業に暮らしている五月七日心広。我が子である斐都には父親がいない。いわゆるシングルマザーだ。
ある日の折角の休日、生憎の雨に見舞われ住んでいるマンションの下の階にある共有コインランドリーに行くと三日月悠音というアルファの青年に突然「お願いです、僕と番になって下さい」と言われる。しかしアルファが苦手な心広は「無理です」と即答してしまう。
その後も何度か悠音と会う機会があったがその度に「番になりましょう」「番になって下さい」と言ってきた。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
傾国の美青年
春山ひろ
BL
僕は、ガブリエル・ローミオ二世・グランフォルド、グランフォルド公爵の嫡男7歳です。オメガの母(元王子)とアルファで公爵の父との政略結婚で生まれました。周りは「運命の番」ではないからと、美貌の父上に姦しくオメガの令嬢令息がうるさいです。僕は両親が大好きなので守って見せます!なんちゃって中世風の異世界です。設定はゆるふわ、本文中にオメガバースの説明はありません。明るい母と美貌だけど感情表現が劣化した父を持つ息子の健気な奮闘記?です。他のサイトにも掲載しています。
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】
【続編も8/17完結しました。】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる