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僕が僕であること
招待状
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「マモル様、皇太子の正妃様からお茶会の招待状が届いておりますが…。いかが致しますか?」
そう執事に尋ねられて、僕は一瞬思考停止してしまった。一時期どうも僕の事を探りを入れられてるという警告を第三側妃から受けていたものの、その後懐妊、出産と続いたので僕のことはもう忘れてくれたものだと期待していたんだ。
僕は執事から蝋印で封じられた封筒を受け取ると直ぐに開いてみた。
そこには【人間 マモル様】と言う宛先で茶会を開催するので来てほしい旨が書かれていた。僕は執事に尋ねた。
「この茶会というのは正妃主催の様だけど、公式のものかい?」
執事は頷くと、生まれた第一皇子のお披露目を兼ねた側妃や、ご友人達を招待したものらしい。多分リチャードの側妃も招待されているだろう。でもなぜ僕も招待されているのだろうか。僕が顔を顰めていたせいか、執事が先に答えてくれた。
「多分、離宮にお住まいになられているので、王族絡みの重要人物と知ってご招待差し上げたのだと思われます。殿下方との関係をご存知では無いと思いますが…。マモル様は人間でございますれば、獣人の理の外にあります。
ですから、出席してもしなくても、何の失礼にも当たりませんことは王も承知です。その事は正妃の執事も、もちろん皇太子もお話になられていると…。」
僕は招待状を指先で挟んで揺らしながら考え込んでいたけれど、机の上に落とすと執事に言った。
「招待を受けましょう。いつまでもコソコソ隠れている訳にもいかないし、そもそも僕は不老不死で化け物の様なモノだ。慣れてもらった方がいいでしょ?ふふ。それに第一皇子に会いたいし。きっとアスランによく似てるんだろうな。楽しみ。」
執事はちょっと強張った顔をしていたけれど、頷くと精一杯用意させて頂きますと頭を下げた。何だか気合いが入り過ぎるのでは無いかと心配になったけれど、執事曰くはその手のお茶会は戦争なのだそうで、気合いの入った格好をしていかないと負けるらしい。
僕は別に負けてもいいけどって言ったら、人間である僕は簡単に負けてはいけないって言われちゃったよ。僕はため息をつくと、じゃあこの世界には無い様な感じで攻めるしか無いねって提案したんだ。僕はちょっとした趣向を思いついたんだ。
どうせ気が重いイベントなら、少しくらい楽しんでも良いよね?
そう執事に尋ねられて、僕は一瞬思考停止してしまった。一時期どうも僕の事を探りを入れられてるという警告を第三側妃から受けていたものの、その後懐妊、出産と続いたので僕のことはもう忘れてくれたものだと期待していたんだ。
僕は執事から蝋印で封じられた封筒を受け取ると直ぐに開いてみた。
そこには【人間 マモル様】と言う宛先で茶会を開催するので来てほしい旨が書かれていた。僕は執事に尋ねた。
「この茶会というのは正妃主催の様だけど、公式のものかい?」
執事は頷くと、生まれた第一皇子のお披露目を兼ねた側妃や、ご友人達を招待したものらしい。多分リチャードの側妃も招待されているだろう。でもなぜ僕も招待されているのだろうか。僕が顔を顰めていたせいか、執事が先に答えてくれた。
「多分、離宮にお住まいになられているので、王族絡みの重要人物と知ってご招待差し上げたのだと思われます。殿下方との関係をご存知では無いと思いますが…。マモル様は人間でございますれば、獣人の理の外にあります。
ですから、出席してもしなくても、何の失礼にも当たりませんことは王も承知です。その事は正妃の執事も、もちろん皇太子もお話になられていると…。」
僕は招待状を指先で挟んで揺らしながら考え込んでいたけれど、机の上に落とすと執事に言った。
「招待を受けましょう。いつまでもコソコソ隠れている訳にもいかないし、そもそも僕は不老不死で化け物の様なモノだ。慣れてもらった方がいいでしょ?ふふ。それに第一皇子に会いたいし。きっとアスランによく似てるんだろうな。楽しみ。」
執事はちょっと強張った顔をしていたけれど、頷くと精一杯用意させて頂きますと頭を下げた。何だか気合いが入り過ぎるのでは無いかと心配になったけれど、執事曰くはその手のお茶会は戦争なのだそうで、気合いの入った格好をしていかないと負けるらしい。
僕は別に負けてもいいけどって言ったら、人間である僕は簡単に負けてはいけないって言われちゃったよ。僕はため息をつくと、じゃあこの世界には無い様な感じで攻めるしか無いねって提案したんだ。僕はちょっとした趣向を思いついたんだ。
どうせ気が重いイベントなら、少しくらい楽しんでも良いよね?
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