上 下
318 / 343
僕が僕であること

僕の側に

しおりを挟む
結局、ロクシーが居なくなってからの僕はぽっかり何かが足りない気持ちで、ロービンの部屋に入り浸っていた。だからって、毎日イチャイチャしていた訳じゃない。…と思う。いや、どうだろう。

何て言うか、一緒にベッドに入るとお休みのチュウが止まらなくなって、結局ロービンに貪られてしまうと言った具合だった。結局は自分もそれを望んでいたのだろうとは思うのだけど…。


てか、ロービンの色気が凄いことになっていた。ただでさえ美しい金髪をサラリとかきあげる涼やかなマッチョなのに、さらに淡い紫の瞳で僕をじっと覗き込むから僕はドキドキと胸が高鳴ってしまう。

「人間って本当に発情期が無いのかい?…ふふ、でもマモルはいつも良い匂いをさせて私を誘うね。たまらない…。」

そう言って僕の耳のそばに鼻を押し当てて深呼吸する。僕はくすぐったさと、ゾクゾクする気持ちで思わず甘い声が漏れてしまう。


「…ロービンがそうやって僕をくすぐるからでしょ。ああ、でも人間は発情期ってないんだよ。いつでもスイッチが入るから。でもそれを言ったら、ロービンだってそうでしょ?」

するとロービンは顔を上げて目を見開いて僕を見た。

「え?マモル知らないのかい?私たちは弱いもののやっぱり発情期はあるよ。だから四六時中こうやって身体を繋げるとかはしないんだ。そうだな、十日に一度その気になるって感じかな。相手が発情していれば、誘われるって事になるけど。


そうじゃなきゃハーレムなんて無理だよ。相手とベッドを共にしても、最後までするかどうかは発情具合って感じだ。…だからこそ、マモルとくっつくだけですぐに熱くさせられるのは、やっぱり人間の魅了の力だと思うよ。」

僕は考えもしない事をロービンに教えられて呆然としてしまった。僕は万年発情期の人間様だから、確かにエロいキスされたら直ぐにその気になってその先を望んでしまう。


その発情フェロモンに獣人たちはやられちゃうの?それが本当の魅了の力?あぁ、僕は自分が見境が無いエッチな人間に思えてきた。僕は焦ってロービンに言った。

「…僕は別にいつでもロービンが欲しい訳じゃ無いよ!」

ロービンは僕の慌て様にクスクス笑って甘く囁いた。


「そうなの?私はマモルに欲しがられてるって感じるけど。それって凄く嬉しいよ?私自身、こんなに熱くなるなんて思いもしない人生だったからね、凄く嬉しいのに。

マモルは本当に私が欲しくないの…?」

そう言って僕を覗き込むアメジスト色の瞳が妖しく光って、僕は思わず手を伸ばしてロービンの頬をなぞった。


「…僕はきっと貪欲なんだ。ロービンのそんな目で見られたら馬鹿みたいに期待して、貪られたくなっちゃうから。分かった。認めるよ。僕は万年発情期の人間様ですよ。だからロービンは僕を愛してくれなきゃだめだからね?」

ロービンはうっそりと笑って言った。

「はぁ、煽ったのはマモルだからね?」

そう不穏な言葉を言いながら、僕に優しく唇を触れさせたんだ。













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

異世界に転移したショタは森でスローライフ中

ミクリ21
BL
異世界に転移した小学生のヤマト。 ヤマトに一目惚れした森の主のハーメルンは、ヤマトを溺愛して求愛しての毎日です。 仲良しの二人のほのぼのストーリーです。

雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される

Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木) 読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!! 黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。 死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。 闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。 そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。 BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)… 連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。 拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。 Noah

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

名前のない脇役で異世界召喚~頼む、脇役の僕を巻き込まないでくれ~

沖田さくら
BL
仕事帰り、ラノベでよく見る異世界召喚に遭遇。 巻き込まれない様、召喚される予定?らしき青年とそんな青年の救出を試みる高校生を傍観していた八乙女昌斗だが。 予想だにしない事態が起きてしまう 巻き込まれ召喚に巻き込まれ、ラノベでも登場しないポジションで異世界転移。 ”召喚された美青年リーマン”  ”人助けをしようとして召喚に巻き込まれた高校生”  じゃあ、何もせず巻き込まれた僕は”なに”? 名前のない脇役にも居場所はあるのか。 捻くれ主人公が異世界転移をきっかけに様々な”経験”と”感情”を知っていく物語。 「頼むから脇役の僕を巻き込まないでくれ!」 ーーーーーー・ーーーーーー 小説家になろう!でも更新中! 早めにお話を読みたい方は、是非其方に見に来て下さい!

異世界でチートをお願いしたら、代わりにショタ化しました!?

ミクリ21
BL
39歳の冴えないおっちゃんである相馬は、ある日上司に無理矢理苦手な酒を飲まされアル中で天に召されてしまった。 哀れに思った神様が、何か願いはあるかと聞くから「異世界でチートがほしい」と言った。 すると、神様は一つの条件付きで願いを叶えてくれた。 その条件とは………相馬のショタ化であった!

処理中です...