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変化する僕ら

お忍びの令嬢

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僕は例によって令嬢として王宮の車止めに降り立った。流石に久しぶりの王宮は何だか緊張した。可愛もの好きのデービス殿下付きの執事の迎えにほっとして、僕は急ぎ足でデービス殿下の住まいのエリアへと向かった。

途中、前回の様に盛んに貴族に話しかけられたけれど、今回用意した顔の前に広げた扇と執事の機転で何とか乗り切ったんだ。


殿下の部屋の扉の前にようやく辿り着いてホッとしたのも束の間、執事が慌てた様に扉の前の護衛騎士たちを急かした。僕は何が起きたか分からなかったけれど促されるままデービス殿下の待ちかねる部屋へと飛び込む様に入室したのだった。

僕がデービス殿下の熱烈な歓迎を受けて、ほっぺたがべちょべちょになる頃、ようやく扉の前から外の様子を伺っていた執事が顔をしかめてこちらへとやって来た。


側妃が執事に何やら囁いていたけれど、二人とも少し気になる様子で僕の方をチラチラ見たんだ。僕はあまり気にしない様にして、腕の中のデービス殿下を覗き込んで言った。

「あれ?デービス殿下は随分大きくおなりですね。少し見ないうちにお顔も変わった様な気がします。」

そう言ってにっこり微笑むと、金色の大きな目をぱっちりと瞬いて少し得意げに言った。


「まもるが、じぇんじぇん会いににこないからわるいんでしゅ。わたちはぎゅんぎゅん大きくなっちゃうんでしゅ。しゅぐにまもるをぬかちちゃいます。」

僕はデービス殿下の言う事があながち間違っていない事に苦笑いして、甘い香りのデービス殿下をぎゅっと抱きしめた。

「そうかもしれません。僕はもう、なかなか大きくはなれなさそうです。本当はいつもの僕で遊びに来たかったのですが、あまり目立つと騒がしくなりますから、今日もこんな格好で来てしまいました。許して下さいね?」


そう言うと、デービス殿下は大きな瞳をきらりと光らせて、僕の唇に小さな指を這わせて言った。

「わたちは、どんなまもるもちゅきでしゅ。だから大きくなったら、わたちがまもるをぎゅーしましゅ。」

僕はちょっとデービス殿下の仕草が様になっていて、本気で口説かれてる気がして動揺して周囲を見回したのだけど、皆ニコニコと微笑ましげに僕たちを見ているばかりだった。

僕は20年この姿の予定なんですが、本当にデービス殿下にぎゅーされちゃうんじゃないの!?






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