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透けるマモル

ここはどちらの世界?

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三谷が僕に伸ばした手を取れないと気付いてからは、何だか自分が夢の中に入り込んだかのような不思議な感覚だった。僕は文字通り泡となって消えたのかと考えながら、引っ張られるままに抵抗せずに身を委ねていた。

するとぎゅっと痛みを感じるほどに締め付けられる感覚がした後は、恐ろしい、回転する様な経験したことのない目眩を感じて、僕は意識を失ってしまったようだった。


次に気づいたのはザワザワとする周囲の多くの人の気配だった。横になっているのに、まだ目が回っている気がして、僕は思わず呻いてしまった。

「…!マ…、…か?」

…ああ、煩くてもっと具合が悪くなりそうだ。僕は気分が悪いながらも、ここが獣人の世界なのだろうかと、心配になってきた。ああ、そっか。体育館の救護室に運ばれた可能性もあるんだ。


身体の感覚はまだ全部戻っては来ていなかったけれど、僕が裸で柔らかなベッドのようなものの上に横たわっているのは間違いなさそうだ。

するとその時、辺りが急に静かになって、僕の側にゆっくりと燃え盛るような何かが近づいて来るのを感じた。その熱くはないけれど、気持ちの良い熱に包まれて、僕は気分の悪さが消えていくのを感じた。


『マモル、皆が、ロクシーが首を長くして待っているのだぞ。そろそろ起きてはどうなのだ?』

ロクシー!僕はハッと目を開けた。僕は何かの箱の様なものの中に横になっている様だった。そして僕を覗き込んでいたのは、久しぶりに見るユニコーンだった。

生身のユニコーンは、どれくらいぶりだろう。夢では会っていたので、久しぶりに会ったという感じはしなかった。僕はやっぱり直接会えたのが嬉しくて、にっこり笑うとよっこらせと起き上がった。


この箱はまるっきり棺だな…。僕は呆れた様な顔のユニコーンにちょっとどいて下さいと頼むと、棺のヘリを掴んで身体を起こすと棺の外へと降り立った。

あれ?僕プールのままの格好だ…。素足で感じる石の床のひんやり感を感じながら、それでも僕はユニコーンの後ろに居るロクシーの「ギュイ」と鳴く小さな声を聞き逃さなかった。


「…ロクシー?」

僕の腕の中に飛び込んで来たのは、小さなトカゲに戻った見慣れたロクシーだった。僕がぎゅっとロクシーを胸に抱きしめると、プスプスと泣きながらしがみついて来た。

「ロクシー、僕をこっちに呼ぶために頑張ってくれたんだよね?ありがとう。ああ、痩せたんじゃないの?大好きだよ、ロクシー。会いたかった…。」











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