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僕を取り巻く世界

放課後

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三谷に用が済んだら直ぐに部活に来いと、妙に真剣に言われた僕は学バンを机に放り出すと、窓から生徒たちの騒めきを眺めていた。

教室はあっという間に人がはけて、残っているのは僕だけだった。すると空いた扉から憲吾が顔を覗かせた。

「…良かった。守がちゃんと居て。もしかして待っててくれないかなって…。」

そう言いながら憲吾は近づいて来た。僕は自分の机に寄り掛かりながら憲吾を見上げた。憲吾はいつもと違って、少し緊張した表情で廊下の方をチラッと見ると、僕の隣の机に同じ様に並んで寄り掛かりながら話し出した。


「朝の話だけどさ。あれ本気だぜ?俺お前が初恋だって言ったっけ?だけどまーちゃんは男だった。だから今更だけど、友達になろうって頑張った。でもダメだった。

俺はお前が男でもドキドキして、抱きしめたいって思うんだ。それってダメな事なのかな?守はそんな俺ってキモい?」

そう言って困った様な顔で聞いてくる憲吾に、僕は何を言えただろう。僕なんてとんでもないほど、どっぷり男たちに組み敷かれていたのに。


「…キモくないよ。僕も好き嫌いに性別は関係ない気がしてるし。でも、憲吾はさ、初恋フィルターがかかっちゃってるんじゃないの?

だって僕は親切でもないし、優しくもないし。憲吾のナインにスタンプしか返さない男だよ?憲吾が僕の何処に惹かれたのかなんて全然分かんないし。」


すると憲吾は立ち上がると、僕の方を向いて言った。

「人を好きになるのに理由が必要かな?少なくとも俺は、守のその眼差しにじっと見つめられたらダメだったけど。みんなに塩対応なところとか、返って妙に可愛く思えるし。

付き合って欲しいのは本当。守を狙ってる奴らが結構居るから、焦ってる。…水泳部で守が素っ裸で着替えるって聞いただけで心配なんだ。

お前は気が付いてないかもだけど、多分それって周りの奴らには目に毒だから…。」


そう言って、僕をじっと見つめた。僕は正直付き合うとか考えられなかった。だって、僕はロクシーや、大事な人たちの居る世界へ戻りたかったから。

だから言ったんだ。

「僕は正直、憲吾のこと嫌いじゃないよ。でも今付き合うとか、付き合わないとか考えられないって言うか。他に考えることがあり過ぎて、それって多分憲吾のこと振り回すことになるし。

今のままじゃダメかな?」









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