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僕を取り巻く世界

夢の中の変化

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いつものように夢の中で、僕はスケルトン僕を見つめていた。今は誰もいないこの神殿は、よくよく見ればあの人間の称号を受けた大聖堂だった。あの時と雰囲気の違うこの場所が僕には珍しくて、自由に動ける事をいい事にウロウロと飛び回った。

ロクシーも空を飛ぶ時はこんな感じかなと、クスクス笑いながら大聖堂の天井の獅子のモチーフをまじまじと眺めたりしていた。


暇にあかせてじっくり見て行くと、僕は大聖堂の天井の大きなモチーフの影に、ここにあるはずのないものを見つけた。それを見た時はちょっと思考が止まったのだけど、それでもゆっくりと近づいて行った。


そこには僕があの長閑な村の入り口で出会った、ユニコーンのモチーフがあった。近づくとそれは案外大きくて、なぜ伝承に伝わっていないユニコーンがここ、大聖堂に刻まれてるのかと訝しく思いながら、僕はそのモチーフに近づいた。

石膏のような素材のモチーフは、もちろん触れると石のような手触りだったけれど、僕はユニコーンの角に指先を触れて呟いた。


「ユニコーンだったら、もしかして僕をこっちに引っ張ってくれるのかな…。」

でも指先に伝わるその感触は、ひんやりとした石膏のような素材でしかなかった。僕は諦めてもう一度スケルトン僕を見ておこうと、下を見下ろした。

丁度そこにロクシーを抱えた伯爵が入り口に現れた。嬉しくなった僕は、思わず二人に呼び掛けた。

『ロクシー!伯爵!』


すると伯爵の腕の中に居たロクシーがパッとこちらを見た。そして伯爵を踏み台にして、翼を広げてあっという間に僕のところまで飛んできた。

ロクシーは飛びながら、周囲をキョロキョロと何か探している様だった。僕はロクシーの首に抱きついて話しかけた。

『ロクシー、分かるの?僕はここだよ。正確には元の世界だけど。僕は帰りたいけど、どうやって戻ったら良いか分からないんだ。

僕はどちらの世界にも引っ張られてる。…ああ、時間切れだ。また明日来て?さよなら、ロクシー。大好きだよ。』


僕がロクシーに伝えられたのはそこまでだった。僕はベッドの中で、目覚ましが鳴る直前に目を覚ました。ロクシーに抱きつくことが出来た事、あのユニコーンのモチーフ、そして目の前の現実。

僕には難問ばかりだったけれど、僕はベッドに起き上がるとスマホに今の出来事をメモった。明日、きっとロクシーが来てくれる筈だ。

僕とロクシーのために現れたユニコーン。あの大聖堂のユニコーンのモチーフ。僕はその事をロクシーに伝えなくてはいけない気がしたんだ。
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