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ただいま世界?
憲吾side風間守
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俺がその噂を聞いたのは、部活の後輩からだった。入学早々事故に遭って昏睡状態だったクラスメイトが目覚めて学校にくるようになったという、なかなか珍しい話だった。
しかし話はそこで終わらなかった。その後輩が俺たちに、何とも言えない表情で内緒話をする様に言ったんだ。
『その…、すごい綺麗?っていうか。男なんですけどね?じっと見つめられたらドキドキしますよ、マジで。風間守って言う、れっきとした男ですけど。』
俺は心臓がぎゅっと締め付けられた。風間守。まさか。でも綺麗って、あの風間守ならあり得る。俺は急に小さい頃の間違った初恋を思い出した。
子供の頃に住んでいた家の側の公園に、いつも遊びに来ていた風間姉妹。可愛くて有名なその三姉妹。一番末っ子のまーちゃんは、ぱっちりした黒目がちな眼差しで、いつもニコニコしていた。
俺はひと目見て大好きになったけど、可愛いまーちゃんは人気者で、俺はまーちゃんの気を引こうと頑張った。今考えると肩までの髪を引っ張ったり、ちょっと意地悪な事を言ったり、追いかけたり…。
ほとんどイジメじゃないか?はぁ、いくら幼かったとはいえ、俺って本当馬鹿だった。そうこうするうちに、俺は祖父母との同居の話が持ち上がって引っ越す事になったんだ。
数年後に母親が昔のママ友と久しぶりに会った話を聞くともなしに聞いていたら、風間家の弟の話が出て来た。俺は母親に弟なんていたのかって尋ねたら、母親は呆れた顔で言ったんだ。
俺がいつも公園で追いかけていたのがそうだって。俺はびっくりして母親に言った。
「いや、だって風間三姉妹って有名だったじゃん!」
すると母親曰く、一番上のお姉さんはその頃もう中学生で、公園で遊ぶような歳じゃなかった。一番下の弟は女の子みたいに可愛かったから、きっと間違えていた子は多かったかもしれないって、コロコロ笑ったんだ。
俺はあの可愛いまーちゃんが男だって知って、ショックなんてもんじゃなかった。でも、もし男だって知ってたら、もう少し仲良くなる方法があったのにって妙にがっかりしたんだ。
そんな苦い思い出があったから、風間守って名前を聞いて居ても立っても居られなかった。あの頃のリベンジをして、今度こそ仲良くなりたかった。だからあの日思い切って声を掛けたんだ。
しかし話はそこで終わらなかった。その後輩が俺たちに、何とも言えない表情で内緒話をする様に言ったんだ。
『その…、すごい綺麗?っていうか。男なんですけどね?じっと見つめられたらドキドキしますよ、マジで。風間守って言う、れっきとした男ですけど。』
俺は心臓がぎゅっと締め付けられた。風間守。まさか。でも綺麗って、あの風間守ならあり得る。俺は急に小さい頃の間違った初恋を思い出した。
子供の頃に住んでいた家の側の公園に、いつも遊びに来ていた風間姉妹。可愛くて有名なその三姉妹。一番末っ子のまーちゃんは、ぱっちりした黒目がちな眼差しで、いつもニコニコしていた。
俺はひと目見て大好きになったけど、可愛いまーちゃんは人気者で、俺はまーちゃんの気を引こうと頑張った。今考えると肩までの髪を引っ張ったり、ちょっと意地悪な事を言ったり、追いかけたり…。
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俺はあの可愛いまーちゃんが男だって知って、ショックなんてもんじゃなかった。でも、もし男だって知ってたら、もう少し仲良くなる方法があったのにって妙にがっかりしたんだ。
そんな苦い思い出があったから、風間守って名前を聞いて居ても立っても居られなかった。あの頃のリベンジをして、今度こそ仲良くなりたかった。だからあの日思い切って声を掛けたんだ。
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