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期間限定不老不死
伯爵side王への進言
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昨日疲れた顔で屋敷に帰ってきたマモルを早々に寝かせた後、私は執務室でデービス殿下の執事からの親書を開いた。そこには、マモルと皇太子が閨を共にした事実が簡単に記されていた。
私は机に親書を放り出すと、明日にでも王に会って、話を進めなければならないと思った。マモルは二人の王子と関係を進めた。これはマモルの言った王子達と結婚して庇護を受けるという決意を実行したのだろう。
家出前は獣人とほとんど変わらない存在だったマモルは、ユニコーンによって大きく存在感を増してしまった。この世界では不老不死は垂涎の願いのひとつだ。
期間限定とはいえ、マモルの変わらぬ容姿に違和感を覚える者も多くなり、隠しておくことは出来そうもない。ここは神格化するなり、特別な存在としてマモルの守りを強化した方が良いだろう。
この国にとっても竜の庇護の神格化した人間が存在することで、他の国よりも立場が強まるだろう。
王の執務室へ向かいながら、私は重厚な黄金の扉を前に大きく深呼吸した。王が私と同じ考えを持ってくれるかは分からない。私はマモルのために、この国のために、王も必要なら説き伏せるつもりだった。
「…なるほど。そちの悩ましい顔の原因が判ったぞ。ククク。それにしても人間というものは、なぜこうも驚くべきことが次々に巻き起こるのだろうな。
我にとって幸運だったのは、マモルの後見人がそちだったことよ。他の者ではもはやお手上げで有ったろう。話では、竜の番というのはもう、決まったことなのだろう?
20年か。長いような、短いような…。その間、マモルは姿をほとんど変えずに、王子達とこの国の守りとなってくれるのだな。マモルが二人と婚姻を決心してくれたのは僥倖だった。
父としても王子達の幸せは喜ばしいことだ。皇太子はこれを機に務めも果たしてくれるだろう。あれはそういう獣人だ。では、私はマモルを人間としてこの国にお披露目しようぞ。
不老不死では隠すことも叶わぬし、他国にそれを示す必要があるからな。さて、そちはこれから忙しくしてもらう必要が有るが、もうひと働き頼むぞ?ハハハ。」
王の執務室から辞して歩いていると、前方から皇太子が歩き寄ってきた。私が立ち止まって挨拶すると、皇太子は顔を赤らめてぎこちなく応えて言った。
「リットン伯爵、その、日を改めて挨拶しようと思っていたのだが…。時間があるだろうか。マモルについて話がしたいのだが。」
私は、可愛いマモルが皇太子にいいようにされたのかと、少々八つ当たりに近い気持ちが生じて、思わず眉間に皺を寄せて重々しく頷いて言った。
「私と話をする前に、王からお話があると存じます。では、今日はこれで失礼します。」
そう言うと、困惑顔の皇太子と従者の驚いた顔を横目に、さっさと踵を返して歩き去った。従者が後ろを気にしながら私に大丈夫なのかと尋ねるので私は吐き捨てるように言った。
「可愛いマモルを婚姻させるのだ。これくらい耐えてもらわねば、腹の虫がおさまらん。」
~お知らせ~
夏にピッタリの心霊BL『俺と青鬼で背中のソレ祓います』更新再開しました♡
よろしくお願いします♪
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「…なるほど。そちの悩ましい顔の原因が判ったぞ。ククク。それにしても人間というものは、なぜこうも驚くべきことが次々に巻き起こるのだろうな。
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20年か。長いような、短いような…。その間、マモルは姿をほとんど変えずに、王子達とこの国の守りとなってくれるのだな。マモルが二人と婚姻を決心してくれたのは僥倖だった。
父としても王子達の幸せは喜ばしいことだ。皇太子はこれを機に務めも果たしてくれるだろう。あれはそういう獣人だ。では、私はマモルを人間としてこの国にお披露目しようぞ。
不老不死では隠すことも叶わぬし、他国にそれを示す必要があるからな。さて、そちはこれから忙しくしてもらう必要が有るが、もうひと働き頼むぞ?ハハハ。」
王の執務室から辞して歩いていると、前方から皇太子が歩き寄ってきた。私が立ち止まって挨拶すると、皇太子は顔を赤らめてぎこちなく応えて言った。
「リットン伯爵、その、日を改めて挨拶しようと思っていたのだが…。時間があるだろうか。マモルについて話がしたいのだが。」
私は、可愛いマモルが皇太子にいいようにされたのかと、少々八つ当たりに近い気持ちが生じて、思わず眉間に皺を寄せて重々しく頷いて言った。
「私と話をする前に、王からお話があると存じます。では、今日はこれで失礼します。」
そう言うと、困惑顔の皇太子と従者の驚いた顔を横目に、さっさと踵を返して歩き去った。従者が後ろを気にしながら私に大丈夫なのかと尋ねるので私は吐き捨てるように言った。
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