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僕の足元の沼地

リチャードsideマモルと会う

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私は王立学園の正門でマモルを待ちながら、こんなに衝動的に行動する一面があった事に我ながら驚いていた。

あの皇太子の結婚相手を選ぶための夏の夜の宴で、皇太子がマモルの存在に気づいてしまった事、そして明らかに惹かれてしまった事が私を焦らせた。

皇太子がマモルと約束を交わすのを阻んだ時は、マモルに私が王族である事がバレる紙一重だったけれど、身体は無意識に動いていた。


しかしその後の兄上である皇太子の、見たことの無いあの表情を目にして、私は居ても立っても居られなかった。思わずマモルに手紙を書いて呼び出してしまったが、だからと言って何を話せば良いのか。

自分が王族だと告白する?伯爵も忠告していたじゃないか。マモルはひっそりと生きたがっているから、王族として身分を明かしたら逃げ出してしまうかもしれないって。


マモルはこの国に居ない種族で、色々考え方も違う。王子に見染められたと喜ぶより、困って逃げ出してしまうなんて、この国の獣人では思いもつかない行動なんだ。

それで余計に、私はどうしたら最善なのか分からなくなってしまってるんだ。マモルを手に入れたいのに、本当の自分を見せたら逃げられるのか?はぁ。


それでも皇太子に横入りされるのは困るし、マモルは簡単に拒絶できないだろう。私だって兄上の幸せを望んでいるけれど、マモルをむざむざと渡すわけにいかないんだ。

そんな事を考えていた私の前に現れたマモルは、いつもよりずっと可愛くて愛らしかった。美しい衣装に身を包んだマモルはどこかの王子のように見えた。じっと私を見つめるマモルになぜか照れてしまって、目を逸らした。

王族としてどんな状況でも耐えられるはずなのに、マモルの前では形なしだな…。


結局、食事の後のマモルの第二王子疑惑を何とか交わして、本題に入った。皇太子と話をしたらしいが、どう思ったのかと。

「みんながその事を気にするんですね?僕お陰で、学園でもちょっと面倒な事になってるんです。確かに皇太子は素敵な方ですけど、僕、王族はちょっと。多分伯爵も、賛成はしないと思います。

王族が悪いとかじゃなくて、僕自身の問題なんです。僕、もしかしたら、この国の獣人とは結婚出来ないかもしれません。」

そう、驚くような事をマモルが言ったのだった。

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