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友情の証
内緒のマッサージ
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僕は困った立場に立たされていた。リチャードにマッサージをしてあげなくてはいけない。卑猥だと言われたハンドマッサージをしてあげるべきか?
それとも腕のマッサージで誤魔化すか?それとも、他の部分のマッサージにするか?でも腕や手以外、例えば肩などだったら、服を脱いでもらわないと出来ない。それってもっと不味いだろう。
僕はリチャードに尋ねた。
「…リチャードさん、僕の国のマッサージはこの国ではちょっと、なんて言うか、身体に良いんですけど、文化が違うっていうか…。」
リチャードは面白そうな顔をして、僕を悪戯っぽく眺めて言った。
「何だい?随分勿体ぶるね。僕はあちこちに出掛けてるし、何なら他国へも行っている。良いよ。マモルの国のやり方で。いや、是非マモルのマッサージを受けたいな。」
僕は肩をすくめると、リチャードにひとつ約束をしてもらった。
「じゃあ、僕の国でハンドマッサージって言われている、疲れを取るマッサージをしたいと思います。でもひとつお願いがあるんですけど、伯爵には何も言わないでくださいね。
僕、伯爵には妙な心配を掛けたくないんです。約束してくれますか?」
リチャードは物々しく頷くと、心持ちウキウキして約束してくれた。僕はもう一度肩をすくめると、使用人にお湯の入ったボウルとタオルを用意させて、オイルと一緒に温室に運んでもらった。
温室にはロクシーがご機嫌に飛び交っていたけれど、僕たちが来たのを見ると、僕の腕の中に飛び込んできた。僕はロクシーの体重の重みで身体がふらついてしまった。
後ろについてきていたリチャードが、僕を後ろから支えてくれた。僕はリチャードを見上げてお礼を言った。
「ありがとうございます、リチャードさん。ロクシーは僕と違って、どんどん大きくなってるみたいです。二週間前はこんなに重くなかったのに。いいね、ロクシー。お前は成長期が凄まじくって。ふふふ。」
リチャードはロクシーに舐められている僕を、黙って見つめていた。僕は温室の小さめのティーテーブルにリチャードを座らせて、使用人に道具を用意させると出て行ってもらった。
うっかり使用人にハンドマッサージを見られて、伯爵に告げ口されるリスクを取りたくなかった。伯爵に胸を張って言えるように、ハンドマッサージが卑猥でないという既成事実をもっと得たかった。
僕はさっきより言葉少なになったリチャードさんに微笑んで言った。
「リチャードさん、この中から、お好きな香りを選んで下さい。」
それとも腕のマッサージで誤魔化すか?それとも、他の部分のマッサージにするか?でも腕や手以外、例えば肩などだったら、服を脱いでもらわないと出来ない。それってもっと不味いだろう。
僕はリチャードに尋ねた。
「…リチャードさん、僕の国のマッサージはこの国ではちょっと、なんて言うか、身体に良いんですけど、文化が違うっていうか…。」
リチャードは面白そうな顔をして、僕を悪戯っぽく眺めて言った。
「何だい?随分勿体ぶるね。僕はあちこちに出掛けてるし、何なら他国へも行っている。良いよ。マモルの国のやり方で。いや、是非マモルのマッサージを受けたいな。」
僕は肩をすくめると、リチャードにひとつ約束をしてもらった。
「じゃあ、僕の国でハンドマッサージって言われている、疲れを取るマッサージをしたいと思います。でもひとつお願いがあるんですけど、伯爵には何も言わないでくださいね。
僕、伯爵には妙な心配を掛けたくないんです。約束してくれますか?」
リチャードは物々しく頷くと、心持ちウキウキして約束してくれた。僕はもう一度肩をすくめると、使用人にお湯の入ったボウルとタオルを用意させて、オイルと一緒に温室に運んでもらった。
温室にはロクシーがご機嫌に飛び交っていたけれど、僕たちが来たのを見ると、僕の腕の中に飛び込んできた。僕はロクシーの体重の重みで身体がふらついてしまった。
後ろについてきていたリチャードが、僕を後ろから支えてくれた。僕はリチャードを見上げてお礼を言った。
「ありがとうございます、リチャードさん。ロクシーは僕と違って、どんどん大きくなってるみたいです。二週間前はこんなに重くなかったのに。いいね、ロクシー。お前は成長期が凄まじくって。ふふふ。」
リチャードはロクシーに舐められている僕を、黙って見つめていた。僕は温室の小さめのティーテーブルにリチャードを座らせて、使用人に道具を用意させると出て行ってもらった。
うっかり使用人にハンドマッサージを見られて、伯爵に告げ口されるリスクを取りたくなかった。伯爵に胸を張って言えるように、ハンドマッサージが卑猥でないという既成事実をもっと得たかった。
僕はさっきより言葉少なになったリチャードさんに微笑んで言った。
「リチャードさん、この中から、お好きな香りを選んで下さい。」
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