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王立学園
ジャックsideマモルは何者?
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私がひと月前から戻ってきた貴族院事務局に、ふらりと現れたのは見たことの無い風貌の少年だった。王立学園の制服を着ているから16歳以上なのは間違いないだろう。
それにしては華奢な少年は、事務局の局員の注目を集めていた。今日だけの助っ人だという学生は、少し困った表情を浮かべるだけでその視線に戸惑っているわけでもなかった。注目されることに慣れているのかもしれない。
リリーに紹介されるとふわりと微笑んで、マモル カザマと名乗ったその少年は、異色。一言で言えばそれだった。私は自らマモルに近づいて自己紹介した。
私の名前に少し反応した気がするマモルは、私の耳をじっと見つめてから、瞳を覗き込んできた。私も釣られてマモルの予想のつかない耳を見てから、真っ黒な瞳を見つめた。好奇心にあふれたその瞳に、何だか吸い込まれるような気がした。
私はアボード子爵の長男で、つい先日皇太子のお供で視察の付き添いから戻って来たばかりだった。アボード子爵が王家の影の手足として動くのは、暗黙の了解として一部の高位の貴族ならば知っていることだ。
今は貴族院の文章の不正を調べるために長期潜入中の事務局に戻って、のんびり業務遂行中だ。皇太子も私に休みをくれたという事なんだろう。
基本的にアボード子爵家は、第二王子のリチャード殿下の指示の元動くことが多い。けれど、私は皇太子と同級生だった事もあり、今回のように別口で動く事も多いのだ。
私はこんなに異色の少年が王都で、少なくともアボード家で話題になっていない事が不思議だった。家の者に聞いてみないと…。
私はマモルの繰り出す認証登録魔法も、こっそり見ていた。彼の魔法は完璧だった。いや、完璧過ぎた。私は目の前の謎が深まるばかりの、優しげな学生を調べてみる必要があると思った。
退屈な貴族院事務局での仕事が、こんなに胸をくすぐる展開になるとは…。
私はにこやかに頭を下げて帰りの挨拶をしているマモルを、事務局のメンバーたちがデレデレと嬉しそうに見送っているのを面白い気持ちで眺めていた。
アボード子爵家に戻る輪車の中で、私は先程サッと調べたマモルの情報を頭の中でなぞっていた。マモル カザマ。あの『変人』リットン伯爵が後見している16歳。
彼は100年に一度出現すると言われているあの怪生物ヌルトンに襲われたものの、たまたま視察に来ていたリチャード殿下に救われている。
…リチャード殿下か。彼とマモル接点があるとすると…。
私、いや皇太子を出し抜こうとは殿下も何か考えがあるのか?私はこれから屋敷で分かるだろうマモルの事情を知れる事に、思わず口元が緩むのを抑えられなかった。
それにしては華奢な少年は、事務局の局員の注目を集めていた。今日だけの助っ人だという学生は、少し困った表情を浮かべるだけでその視線に戸惑っているわけでもなかった。注目されることに慣れているのかもしれない。
リリーに紹介されるとふわりと微笑んで、マモル カザマと名乗ったその少年は、異色。一言で言えばそれだった。私は自らマモルに近づいて自己紹介した。
私の名前に少し反応した気がするマモルは、私の耳をじっと見つめてから、瞳を覗き込んできた。私も釣られてマモルの予想のつかない耳を見てから、真っ黒な瞳を見つめた。好奇心にあふれたその瞳に、何だか吸い込まれるような気がした。
私はアボード子爵の長男で、つい先日皇太子のお供で視察の付き添いから戻って来たばかりだった。アボード子爵が王家の影の手足として動くのは、暗黙の了解として一部の高位の貴族ならば知っていることだ。
今は貴族院の文章の不正を調べるために長期潜入中の事務局に戻って、のんびり業務遂行中だ。皇太子も私に休みをくれたという事なんだろう。
基本的にアボード子爵家は、第二王子のリチャード殿下の指示の元動くことが多い。けれど、私は皇太子と同級生だった事もあり、今回のように別口で動く事も多いのだ。
私はこんなに異色の少年が王都で、少なくともアボード家で話題になっていない事が不思議だった。家の者に聞いてみないと…。
私はマモルの繰り出す認証登録魔法も、こっそり見ていた。彼の魔法は完璧だった。いや、完璧過ぎた。私は目の前の謎が深まるばかりの、優しげな学生を調べてみる必要があると思った。
退屈な貴族院事務局での仕事が、こんなに胸をくすぐる展開になるとは…。
私はにこやかに頭を下げて帰りの挨拶をしているマモルを、事務局のメンバーたちがデレデレと嬉しそうに見送っているのを面白い気持ちで眺めていた。
アボード子爵家に戻る輪車の中で、私は先程サッと調べたマモルの情報を頭の中でなぞっていた。マモル カザマ。あの『変人』リットン伯爵が後見している16歳。
彼は100年に一度出現すると言われているあの怪生物ヌルトンに襲われたものの、たまたま視察に来ていたリチャード殿下に救われている。
…リチャード殿下か。彼とマモル接点があるとすると…。
私、いや皇太子を出し抜こうとは殿下も何か考えがあるのか?私はこれから屋敷で分かるだろうマモルの事情を知れる事に、思わず口元が緩むのを抑えられなかった。
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