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王立学園

温室

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僕はリットン伯爵の王都でのお屋敷の庭を、伯爵とロクシーとでのんびり散歩していた。このお庭は貴族らしく美しい幾何学模様に刈り込まれた生垣と、その中に咲く花々、そして大きな温室があった。

温室は天井が高いドームになっていて、いわゆる南国っぽい植物や果物があちこちに育っていた。ロクシーもすっかり気に入って、羽根を出して身体も元のサイズになって飛び回っている。


伯爵もそんなロクシーの姿を見つめながら、肩をすくめて言った。

「庭師が悲しむかもしれないが、ここの果物は諦めないといけないな。…珍しいものが多かったのだが。だが、あんなに喜んでいるのを見ると、ロクシーも擬態するのはストレスが溜まるのだろう。」

僕は指先を唇につけてピュイって音を鳴らすと、ロクシーはこちらに飛んできた。そして僕の広げた腕へ飛び込んできた。ロクシーは最初にあった頃より少しだけ大きくそして重くなっているみたいだ。


「ロクシー、ここの果物は特別なものだから、食べても良いけど、大事に食べるんだよ?あと僕たちにも分けてくれると嬉しいんだけど。ねぇロクシー、あそこの高いところにあるピンク色の果物、幾つか取って来てくれる?」

僕が頼むとロクシーはキュイとひと声鳴くと、直ぐに飛び立ってその果物を両足にひとつづつもいで取って来てくれた。それはハンドボールほどの大きさで、美味しそうな甘い香りがした。


僕たちは茶話室で、料理人にカットさせたその珍しい果物を食べた。ねっとりしたその果物の味は正にバナナだった!僕はロクシーの口にバナナ味の果物を放り込みながら、久しぶりのバナナを堪能した。

「マモルはこれが気に入ったみたいだな。形は違っても似たような味のものがあったのか?それにしてもマモルの世界とこの世界は形は違っても似ているものが多いのが何とも不思議だ。」

伯爵がそう考え深げに言うと、僕はにっこりして言った。


「でもそのお陰で、僕はこの世界にすんなり慣れることが出来ました。このバナナ味の果物も、僕にとっては向こうで食べ慣れた味で嬉しく感じます。

…明日はいよいよ試験ですね。試験が終わったらロービンとアーチストが会おうって言ってくれてるんですが、大丈夫ですか?ロクシーは…まだ合格もしてないから連れて行けないな。ここで遊んでいてくれる?」

ロクシーは機嫌良くキュイと鳴いた。きっと、果物が気に入ったんだろう。僕と伯爵は調子の良いロクシーに思わず笑ったんだ。


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