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リットン領

伯爵の事情聴取

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僕は少し重くなったちびドラゴンを腕に抱えて、伯爵の後をついていった。心配そうに駆けつけてくれた伯爵は、僕の腕の中のドラゴンと僕の言葉にガックリと疲れた様子で、取り敢えず話が聞きたいと茶話室へと連れて行かれた。

執事の入れてくれた紅茶はアールグレイならぬ、アルルグレイで、僕のために王都から取り寄せてくれたみたいだ。伯爵はおもむろに強いお酒をドボドボと紅茶に注ぐとゴクゴクと飲み切ってしまった。


そして大きくため息をつくと、少しばかり据わった眼差しで護衛達にお茶を飲むように勧めた。そして二人がお茶を飲むのを見届けると、おもむろに尋ねた。

「まず、マモルに尋ねる前に、お前達が見た事を聞きたい。見た通りに話してくれ。」

年嵩の護衛が伯爵の言葉に頷くと、僕の腕の中のドラゴンを見つめて言った。


「はい。聞いたことのない凄まじい音と、振動で思わず耳を塞いだ私は、音のする庭の方にマモル様が出ていらしゃるのを思い出しました。直ぐに庭に出ると目の前に見たことのない、大きな金色の竜が庭に降り立つところでした。

私たちは竜の目の前に蹲るマモル様を見つけました。慌てて駆けつけましたが、辿り着く直前、竜はひと羽ばたきであっという間に空高く舞い上がって、瞬く間に南西の山の方角へと飛んでいってしまいました。


マモル様の側に来て、無事なお姿にホッとしましたが、腕の中にそれを抱いているのを見て驚きました。多分、竜の子供だと思われます。そうしてる間に伯爵がいらっしゃったのです。」

伯爵が難しい顔で腕を組んで話を聞いてたけれど、伯爵もまた僕の腕の中の竜を見つめた。この子はすっかり爆睡していて、だらしなく脱力している。可愛い。

その時、ドアがノックされて護衛兵士長のボブスと、なぜかリチャードが慌てたように入ってきた。そう言えばこの二人は一緒に出掛けていたんだった。


「竜がここに現れたと聞いたが、本当か⁉︎ 街に響いたあの恐ろしい音はもしかして竜だったのか⁉︎ 」

リチャードが部屋に入るなり声高に尋ねた。リチャードったら伯爵も居るのにそんな偉そうな言い方…。僕がそんな事を思いながらリチャードを見つめていると、僕の顔を見てホッとした顔のリチャードが、僕の抱えているものを見て、見るからにぎょっとした。

ボブスも何だか青い顔でこちらを見ている。僕はちびドラゴンの鱗を撫でながら伯爵を見た。


伯爵は僕を見て、疲れた顔でため息をつくと言った。

「今、この三人に聞き取りをしている所だ。…実際の当事者はマモルだがな。今からマモルの話を聞くところだ。護衛のお前達は戻っても良い。執事にボブスとリチャードのお茶を用意する様にことづけてくれ。」



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