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リットン領

僕の2回目

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僕は掛け声と共に両手に力を入れて引っ張った。思いのほか蔦の枝は固かったけれど、ある場所まで引っ張るとパチンと音を立てて、蔦の枝は外れた。 

その瞬間、バサバサと音を立ててトカゲは飛び立った。僕はトカゲの飛んで行く様子に心奪われて、そのトカゲを見送った。トカゲが伯爵の城の敷地の向こうへと飛んで行くのを確認すると、僕はひりつく赤くなった両手を眺めた。これはトカゲを助けた名誉の負傷だなと独りごちて、いつものハンモックへ戻った。


ハンモックに揺られながら、僕はさっきのトカゲについて考えていた。あの子には羽根があったな。この世界はトカゲと共存している風な所があるけれど、あのトカゲはどう共存しているのかな?

騎乗するトカゲがいるのなら、背中に乗って飛ぶ用のトカゲも居るかもしれないな。でもそれって、最早ドラゴンだよね。僕は異世界って本当、厨二病が悪化するなとニヤニヤしながら、持ってきたドリンクを腰のベルトから外した。


厨房のマーサが僕の散歩のお供に用意してくれたのは、レモンスカッシュに似た飲み物だった。真っ赤な丸い果実は、僕にはレモンの代替品として頭にインプットしてある。炭酸は白い粉を混ぜるとシュワシュワするんだ。

初めてその白い粉を見た時、僕はこれを炭酸の粉と頭の中で名付けた。何でも岩場の奥の湧水の側に発生する結晶を粉にしたものらしい。炭酸の粉が取れる湧水は国のあちこちにあって、炭酸のドリンクは結構メジャーだ。

炭酸の湧き水って、炭酸泉?もしかして、温泉とかもあるのかな…。あったら良いな…。


トカゲを助けた満足感と、暑い中で飲むレモンスカッシュで気分がすっかり上がった僕は、よいしょとハンモックからずり降りると、城に戻ることにした。昼食の後はまた伯爵と試験対策をしなくちゃいけない。

異世界に来てまで勉強から逃れられないことに、ちょっとだけため息をついて、僕は城に向かって歩き出した。僕が箱庭に面した城の出入り口目指して広い芝地を歩いていたその時、耳をつんざく様な鋭い超音波の様な音が周囲を震わせた。


僕は思わず両手で耳を塞いだ。その周波はビリビリと空気と地面を震わせて、僕は立っていられなくなった。僕はしゃがみ込みながら、音の発生する方を仰ぎ見ると、そこには10m以上もあろうかという巨大な金色のドラゴンが空に滞空していた。

城の中からザワザワと騒がしい音がしたけれど、僕はそれに構っている余裕は無かった。その金色のドラゴンが僕めがけて降りて来たからだ。

僕は呆然とそのドラゴンを見つめながら思った。あ、死ぬの2回目だ。って。

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