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僕はパンダ族

ロービンside母上の興奮

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「何なのっ!あの可愛らしさは!」

興奮する母上を肩をすくめて見つめながら、私は母上に声を掛けた。

「まぁまぁ、落ち着いて下さい、母上。少々言葉が乱れておいでですよ?お気持ちはわかりますが…。」

アーチストとマモルはそれぞれ客室へ執事に案内させている。今は母上とファミリールームで久しぶりの家族団欒だ。久しぶりに会う弟のマイケルも椅子に座っている。


私はマイケルに近づくと、抱き上げて毛皮を撫で回した。嬉しそうにキュウキュウ言うマイケルにふと、マモルが私たちに聞いたあの質問を思い出した。

マモルはきっとマイケルみたいな幼子を抱っこしたいに違いないと思った。あの時は16歳にもなって身内以外の幼子をあからさまに可愛がるのは男のプライドに関わる事なので驚いたけれど、マモルはそんな事をまったく気にしていない様だった。

パンダ族は考え方も違うのだろうか。僕は腕の中で仰け反って降りたがるマイケルを床に下ろすと、興奮冷めやらぬ母上に向き合って尋ねた。


「母上はパンダ族という種族はご存知でしょうか。僕はパンダ族というのは初めて聞きました。」

母上はじっと記憶を探すように考え込むと、やはり首を振って言った。

「いいえ、私にも覚えがないわ。でもリットン叔父上ならご存知かもしれないわね。丁度明後日屋敷を訪れる予定だから、引き合わせるのは良いかもしれないわ。」


私は一族の変わり者であるリットン大叔父思い浮かべた。研究者であるリットン大叔父はお祖父様の歳の離れた弟で、結局、妻も子供も持たずにいつも何かしら研究している。確かに博識で知らない事などなさそうだけれど、とても変わり者だ。

私はまたあの誰にも止められない講釈を聞かされるのかと、少々うんざりした気持ちで肩をすくめた。

「大叔父様がパンダ族についてご存知なら良いのですが。これから晩餐までアーチストとマモルと団欒してもよろしいですか?そろそろ二人も支度ができているでしょうから。


…マモルは誘拐犯から逃げてきた様で、着のみきのままでした。ですが、思いの外汚れていなかったですし、かなり丁重に扱われてきたに違いありません。

それにあの美しい指…。まったく獣化が見られなかった。そして振る舞いを見ても、我々と同じ高貴な生まれなのかもしれません。…そうだ、マイケルを一緒に連れて行っても構いませんか?マモルが街中の幼子を抱っこしたがっていたので、引き合わせてあげたいんです。」

私は優しく頷く母上に辞去の挨拶をして、少し浮かれながらマイケル付きの乳母と共に来客用の茶会室へ向かった。

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