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変わる関係
仙明境の御利益
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私は心も身体もスッキリと良い心持ちになって、黄翔海の後をついて行った。滝壺の近くの岩の穴に黄家の守護石があった。周囲の岩壁と色味が違う、人の背丈程の大きな守護石は翡翠の原石のように見えた。
守護石の足元には欠片なのか、同じ翡翠色の岩が大小転がっていた。黄翔海は岩の前で正式な礼を取ると何か口の中で呟いていた。それが終わると足元の翡翠色の欠片を大小幾つか拾って、懐から出した布に包んだ。
私は後ろの方でこの神秘的な場所と儀式に釘付けで、気がつけば翔海が私の方へ歩いてくるところだった。翔海は私の手首を掴むと、翡翠の数珠を私に見せて言った。
「これは黄家の守護が掛かっているこの欠片で作らせたものだ。だからこれを着けている限り、永明もここに立っていられる。不思議な事だが、黄家直系以外の守護のない者がここに立つと、直ぐに具合が悪くなるのだ。
勿論あの破片を盗もうと考えるものは、一歩もここに足を踏み入れることが出来ない。守護石と言うものはそう言うものなのだ。」
私は黄翔海が語る、名家にはあると噂されている伝説の様な守護石について興味深く聞いていた。
「初めて知りました。この国の大名家には守護石があると言うのは噂として存じています。それがまさかこのようにはっきりとしたものだとは思いませんでした。
名家というのにはやはり理由があったのですね。ですが、名家には没落した話も伝わっていますよね。あの先帝の時代の義家の没落は、戯曲になる程の有名なお話です。
あれはどう言う事なのでしょうか。」
「黄家に伝わっているのはこんな話だ。この国の祖、龍帝が五家の家臣の繁栄を願って守護石を与えた。ただし繁栄と背中合わせに龍帝への絶対の忠誠を引き換えにしたと。
だから義家の没落は、あの時の家長が皇帝を裏切った結果というわけだ。一説にはその時守護石は、ただの石となって崩れ落ちたと言われている。
もう一つの名家はかなり昔に無くなってしまっている。今残っているのは、黄家、李家、周家だ。この三大名家のみが龍帝からの守護石によって繁栄が約束され、同時に皇帝へ絶対の忠誠と貢献を返さなければならないのだ。
ふっ、永明はこの手の話が好きと見える。…なかなか面白い話だろう?」
そう言って笑った黄翔海の背中には、先祖からの繁栄と責務が重くのし掛かっている様に私には思えたんだ。
守護石の足元には欠片なのか、同じ翡翠色の岩が大小転がっていた。黄翔海は岩の前で正式な礼を取ると何か口の中で呟いていた。それが終わると足元の翡翠色の欠片を大小幾つか拾って、懐から出した布に包んだ。
私は後ろの方でこの神秘的な場所と儀式に釘付けで、気がつけば翔海が私の方へ歩いてくるところだった。翔海は私の手首を掴むと、翡翠の数珠を私に見せて言った。
「これは黄家の守護が掛かっているこの欠片で作らせたものだ。だからこれを着けている限り、永明もここに立っていられる。不思議な事だが、黄家直系以外の守護のない者がここに立つと、直ぐに具合が悪くなるのだ。
勿論あの破片を盗もうと考えるものは、一歩もここに足を踏み入れることが出来ない。守護石と言うものはそう言うものなのだ。」
私は黄翔海が語る、名家にはあると噂されている伝説の様な守護石について興味深く聞いていた。
「初めて知りました。この国の大名家には守護石があると言うのは噂として存じています。それがまさかこのようにはっきりとしたものだとは思いませんでした。
名家というのにはやはり理由があったのですね。ですが、名家には没落した話も伝わっていますよね。あの先帝の時代の義家の没落は、戯曲になる程の有名なお話です。
あれはどう言う事なのでしょうか。」
「黄家に伝わっているのはこんな話だ。この国の祖、龍帝が五家の家臣の繁栄を願って守護石を与えた。ただし繁栄と背中合わせに龍帝への絶対の忠誠を引き換えにしたと。
だから義家の没落は、あの時の家長が皇帝を裏切った結果というわけだ。一説にはその時守護石は、ただの石となって崩れ落ちたと言われている。
もう一つの名家はかなり昔に無くなってしまっている。今残っているのは、黄家、李家、周家だ。この三大名家のみが龍帝からの守護石によって繁栄が約束され、同時に皇帝へ絶対の忠誠と貢献を返さなければならないのだ。
ふっ、永明はこの手の話が好きと見える。…なかなか面白い話だろう?」
そう言って笑った黄翔海の背中には、先祖からの繁栄と責務が重くのし掛かっている様に私には思えたんだ。
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