逃げたい官吏と傲慢男、追いかけっこはどちらが勝ちますか?

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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科挙の結果

登用の朝

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 私は官吏カンリの衣を着て荷物を抱えると、塗りの剥げた門の前で母上と二人の弟の顔を見回すと言った。

「私はこれから官吏の寮に入ることになる。仕事は10日ほど続くから、休みは3日続けて取れる様だ。休みには顔を出すよ。今日は官吏の儀の後、配属先が決まる日だから遅れない様にもう行くよ。」

 私は母親と弟たちに挨拶すると、近所の人たちに見送られて宮廷へ向かって歩き出した。しばらく歩いてひと気が無くなると、目の前に立派な黄家の馬車が待っていた。


 私はため息をついて珀が扉を開けるのを待った。これまでの経験から無駄な抵抗は意味がないと知っていた。馬車の中には、やはり黄翔海が、紅龍の官僚衣を着て、その身体を見せつける様に幅を取って座っていた。

 私が黙って馬車に乗り込むと、黄翔海がニヤリと笑って言った。

「やはり早めに来て正解だった様だ。全く、お前は人に頼るという事をしなくて困る。…その官吏の服もよく似合っているぞ。眼鏡はやめたのか。…いや、やめろと言ったのは私だったな。」


 妙に口数の多い黄翔海に私は眉を顰めて言った。

「これを仕立てて下さったのは黄様でしょう。一緒に見ていませんでしたか?今日は配属が知らされた後、寮での部屋が開示されるんです。まぁ、私の荷物はほとんど有りませんけどね。

 寮を出た人の置き荷物があるときいて、そこから物色しようかと思ってるんです。何とかなるでしょう。」


 そう言う私に、苦い顔をした黄翔海は面白くなさそうに言った。

「…私の情夫にそんな惨めな事をさせるわけ無いだろう。お前の部屋はもう昨日のうちに整え済みだ。全くそんな綺麗な顔をしているくせに頓着が無さすぎる。

 お前が頼むから、私との関係は内密にしているが、何かあったらそれも無しだ。言ったろう。私は自分のものに手を出されるのは我慢ならないと。」


 私は目の前の男が、妙に世話焼きな事にうんざりして言った。

「私は自分が誰かの情夫だなどと人に知られたくはありません。せっかく科挙に通ったのですからね。特に何が起きるなどとは思いませんけど。」

 そう言って黄翔海の隣に座ると、グイっと腰を引き寄せられた。


「…しばらくお前と枕を交わせなくなるのだ。到着するまで情夫としてきっちり役目を果たしてもらおうか。」

 そう言うと、妙に真剣な眼差しで私を見つめると貪る様に口づけた。私は眉を顰めて、こんな時にも情夫として良いようにされる事に悔しさを感じた。

 しかし一方で、黄に慣らされ始めた私の身体は、その甘やかな舌使いにあっという間に蕩けさせられて、強請る様に黄の着物を握りしめた。

 黄はそんな私を覗き込むと、甘やかに呟いた。

「こんな場所だが、期待には応えてやらねばな?」







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