男装令嬢は溺愛許嫁から逃げ出したい!だって中の人は僕ですから!

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
上 下
66 / 67
変わるもの、変わらないもの

想像より甘い初夜※

しおりを挟む
 透けるベッド周りのドレープの向こうに照らされたランプの灯りが揺らめいて、今夜を美しく彩っている様な気がする。僕は今夜を楽しみにしていた。エルに目覚めさせられた身体は、この結婚を待ち望むものにさせた。
 
それはエルの策略だったのかもしれないし、僕はまんまと罠に嵌ったのかも知れなかった。けれどもありのままの僕で良いと言ってくれるエルをいつの間にか愛してしまっていたし、エルの瞳の中に燃える様な僕への感情を目にすると、ゾクゾクする様な興奮も感じた。


 薄いナイトドレスのまま、かき抱かれてベッドに横たわると、エルと僕は馬鹿みたいに口づけにのめり込んだ。もう、ここが何処だとか、時間を気にする事もなく、真っ直ぐにお互いを求め合って良いんだ。

呻く様な口づけをされてぼんやりとしてしまった僕からエルが顔を引き剥がすと、ゆっくりとナイトドレスのリボンを解いた。リボン二箇所で止まっていたこのドレスは、まさにこんな夜の為のドレスなんだろう。


 すっかり張り詰めた胸はいつもより重く感じたし、僕をギラついた眼差しでゆっくりと視姦するエルを見ているだけで、僕は口の中に唾液が溜まってしまう。

「…綺麗だ。アルの裸を見る度にこんなに美しかっただろうかと思ってしまう。君の全てが私だけのものだと思うと、なんて言うか、そう、感動する。」

僕はコクリと喉を鳴らして肘を立てて起き上がるとエルに手を伸ばした。


 「いつまで待たせるつもり?僕にもエルを見せて?」

するとニヤリと笑ったエルが、ゆっくりとベッドに膝立つと滑らかな生地のローブを脱いだ。美しくも逞しい身体はなめらかな上質の革の様で艶があった。そして臍に伸び上がる髪より濃い色の柔らかな体毛が、まるで美しい装飾の様に張り詰めた昂りを際立たせていた。

触れても大きかったけれど、こうして見てみると大きくてびっくりする。そしてなんていやらしいんだろう。僕はお腹の奥がギュッと締め付けられる気がした。

 
 知らず腿を擦りつけた様子を見ていたエルが僕に言った。

「アルが私を欲しがっているのが分かると、私も流石に余裕がない。裸の鑑賞会はまたの機会にしよう。」

そう言ってベッドの上の僕にのしかかってきた。それからエルが僕にしたのは何だっただろう。エルの繰り出す指や舌は僕を追い詰めて焦らした。

感じやすい胸の先がジンジンするくらい虐められると、僕の内腿にはヌルヌルとエルの指先を濡らした。舌と指でバカみたいに喘がされて、僕はも一瞬でも耐えられなかった。


 「アル、私を見るんだ。今からアルの処女を私のものにする。春の空を持つアルは私のもの。私はアルのものだ。」

そう蕩けるような星の入った濃灰色の瞳で見つめられて、僕は少し開けたエルの唇を舌で舐めて言った。

「して…。もう待たせないで。」

直ぐに圧迫感が僕のあそこを征服してきた。何度もゆっくり容赦なくエルに出し挿れされると、僕は抱き付かなくては居られない。エルのくれる激しい口づけが、少しの痛みを散らしてくれた。

それから一気に挿れられた気がして、僕は大きく呻いた。


 「私達はひとつになったよ、アル。愛してる。…でもこれからが本番なんだ。ちょっと頑張ってくれ。」

そう言われてからの僕は、只々エルに翻弄されて、そして圧倒される気持ち良さに引き立てられて甘く叫ぶしか出来なかった。しかもその絶頂はエルの指先で何度も引っ張られて、結局僕は息も絶え絶えになってしまった。

エルが大きく吠えて僕の中に子種を出すのを感じると、僕は愛しさというものがこういうものなのだと、胸を満たすその愛に微笑んだ。汗ばんだエルが僕に倒れ込むと、僕はエルの肩に唇を押し当てて囁いた。

「エル、…後でもう一度してくれる?」




しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 15

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

巻き込まれ体質の俺は魔王の娘の世話係になりました

亜瑠真白
恋愛
工藤日生は巻き込まれ体質だ。そのため高校入学初日の今日も、薄暗い空き教室でパンツ一丁の見知らぬ男に腕を掴まれている。日生は男に「自分の制服を剥ぎ取った女をここに連れ戻す」よう頼まれた。日生が言われた女の子を見つけて声をかけると、その子は「魔界第二十四代王、ルゼリフ・ドリースの一人娘、ラフェだ!」と名乗った。重度の中二病かとも思ったが、どうやら本当らしい。 魔界から家出してきた魔王の娘と、魔界に帰らせたい日生の攻防が始まる。 完結まで書き終わっているので、毎日12時と19時に公開していきます(6万字程度)

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非! *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。

婚約破棄されたら人嫌いで有名な不老公爵に溺愛されました~元婚約者達は家から追放されたようです~

琴葉悠
恋愛
 かつて、国を救った英雄の娘エミリアは、婚約者から無表情が不気味だからと婚約破棄されてしまう。  エミリアはそれを父に伝えると英雄だった父バージルは大激怒、婚約者の父でありエミリアの親友の父クリストファーは謝るがバージルの気が収まらない。  結果、バージルは国王にエミリアの婚約者と婚約者を寝取った女の処遇を決定するために国王陛下の元に行き――  その結果、エミリアは王族であり、人嫌いで有名でもう一人の英雄である不老公爵アベルと新しく婚約することになった――

処理中です...