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心境の変化
許嫁と会う日
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王都の屋敷で目を覚ました僕は、いつもの緊張感から解放されてベッドで微睡んでいた。やっぱり一人部屋とはいえ、常に男として生活しているせいか、完全にリラックスしてる訳じゃない。
何と言っても僕の身体は日増しに女としての性を主張し始めていて、それは一番の悩みになっていた。いつもと違いコルセット無しで一晩過ごしていたせいか、胸がふわふわ大きくなった気がする。
すっかり胸当てコルセットもキツくなって、三度も作り直している。僕はクローゼットの衣装箱に仕舞われたそれを一体どこまで直すべきか考え込んでいた。
筋肉仕様に仕立てるにしても、いかんせんからだが細いのに胸筋だけ膨らんでいたら違和感があるだろう。実際私の身体は細いままだ。あんなに頑張って食べているのに、結局胸や尻が大きくなるばかりだ。
ベッドから起き上がると、鏡の前に立って寝着を床に落とした。すっかり少女の身体から女らしい身体へ変化して来ている。元々薄い身体で喜んでいたのに、目の前には二つの胸の膨らみがコロンとくっついていた。
私はそれが少しだけ嬉しく感じる一方で、男装して学院生活を過ごすには頭の痛い問題だと顔を顰めるしかなかった。後ろを振り返ってみれば、明らかに尻が肉づいていて、まぁこれは鍛えた結果だと誤魔化せる気がしないでもない。
そんな事を思いながらぼんやりしていると、ノックの音がして侍女頭のアンリの声がした。僕は寝着にもう一度袖を通すと入って良いと声を掛けた。
今日着る衣装なのか、腕に水色のドレスを抱えてアンリはもう一人の侍女と部屋に入って来た。そしてドレスを鏡の横に掛けて言った。
「アンドレア様は日増しに成長なさいます。昨日計測しましたら手元のものではサイズが合わないだろうという事で、急遽取り寄せさせたものですわ。」
それはいつも着ていたものより確かに大人びた衣装だった。私も来月16歳になるのだから当然そのデザインでもおかしくはない。それは同時に学院生活が三ヶ月も無いという事でもあった。
「ちょっとアンリに相談もあったの。胸当てのコルセット、これ以上直すのは無理じゃないしら。胸が目立ちすぎるから、胴体を膨らませるしか無いと思うの。」
そう言うと、アンリは渋い顔をして言った。
「アンドレア様は今が輝ける時ですのに、美しい身体を隠さないといけないなんて私には承諾出来かねますわ。そうは言っても辺境伯とのお約束ですから、何か方法を考えますわ。
今日は存分に本来あるがままのご自分の姿を楽しんでくださいませね。」
何と言っても僕の身体は日増しに女としての性を主張し始めていて、それは一番の悩みになっていた。いつもと違いコルセット無しで一晩過ごしていたせいか、胸がふわふわ大きくなった気がする。
すっかり胸当てコルセットもキツくなって、三度も作り直している。僕はクローゼットの衣装箱に仕舞われたそれを一体どこまで直すべきか考え込んでいた。
筋肉仕様に仕立てるにしても、いかんせんからだが細いのに胸筋だけ膨らんでいたら違和感があるだろう。実際私の身体は細いままだ。あんなに頑張って食べているのに、結局胸や尻が大きくなるばかりだ。
ベッドから起き上がると、鏡の前に立って寝着を床に落とした。すっかり少女の身体から女らしい身体へ変化して来ている。元々薄い身体で喜んでいたのに、目の前には二つの胸の膨らみがコロンとくっついていた。
私はそれが少しだけ嬉しく感じる一方で、男装して学院生活を過ごすには頭の痛い問題だと顔を顰めるしかなかった。後ろを振り返ってみれば、明らかに尻が肉づいていて、まぁこれは鍛えた結果だと誤魔化せる気がしないでもない。
そんな事を思いながらぼんやりしていると、ノックの音がして侍女頭のアンリの声がした。僕は寝着にもう一度袖を通すと入って良いと声を掛けた。
今日着る衣装なのか、腕に水色のドレスを抱えてアンリはもう一人の侍女と部屋に入って来た。そしてドレスを鏡の横に掛けて言った。
「アンドレア様は日増しに成長なさいます。昨日計測しましたら手元のものではサイズが合わないだろうという事で、急遽取り寄せさせたものですわ。」
それはいつも着ていたものより確かに大人びた衣装だった。私も来月16歳になるのだから当然そのデザインでもおかしくはない。それは同時に学院生活が三ヶ月も無いという事でもあった。
「ちょっとアンリに相談もあったの。胸当てのコルセット、これ以上直すのは無理じゃないしら。胸が目立ちすぎるから、胴体を膨らませるしか無いと思うの。」
そう言うと、アンリは渋い顔をして言った。
「アンドレア様は今が輝ける時ですのに、美しい身体を隠さないといけないなんて私には承諾出来かねますわ。そうは言っても辺境伯とのお約束ですから、何か方法を考えますわ。
今日は存分に本来あるがままのご自分の姿を楽しんでくださいませね。」
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