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綱渡りの生活

ジェイクの告白

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「分かった、分かったから。そう睨まないでくれ。でも俺に感謝して欲しいね。もう流石にリカルド様をかわすのも限界になっていただろう?」

慌てた様にそう言うジェイクは、何でもお見通しの様だったけれど、本当にそうだろうか。僕は疑心暗鬼になりながらジェイクの出方を見た。ジェイクは周囲を見回すと話し始めた。


「実は俺、グローバンス侯爵家のラファエル様にアルのことを頼まれているんだ。婚約者の大事な友人であるアルが学院で危険な事や、嫌な目に遭わない様に気を遣ってくれと直々に声が掛かったのさ。」

そう言ったジェイクの言葉に、僕はびっくりしてしまった。まさかジェイクの裏にラファエル様がいるなんて全然思いもしなかった。僕が度肝を抜かれていると、ジェイクはペラペラと話し出した。


「最初は15歳の立派な男に随分心配するなと思ったけど、まぁ会ってみればそりゃ心配になるのも不思議はなかったからね。」

ジェイクはもう隠さなくて良いとなると妙に開けっぴろげになった。そしてリカルド様をかわす方法としてジェイクと僕が親密だと言う噂を流す事を思いついたのだと言う。

丁度それが僕のことを邪魔に思っていたヘンリー様とマッチして、この様な運びになったらしい。でも僕には一つ疑問があった。だからジェイクに尋ねたんだ。


「ねぇジェイク、どうやってリカルド様達に僕たちが親密だと思わせるの?」

ジェイクは、周囲を挙動不審に見回しながら、思い切った様に僕に言った。

「それは、残念ながらひとつしか方法はないんだ。リカルド様の見てる前でイチャイチャするしかない。」

僕は眉を顰めた。イチャイチャってどの程度の事を言っているんだろう。僕は更にジェイクに尋ねた。

「イチャイチャってどのレベル?」


するとジェイクは僕をじっと見つめて言った。

「そうだな…。アルが相手ならまぁ口づけぐらいなら全然楽勝だけど。でもそれ位しないと誤魔化せないんじゃ無いかな。」

僕はラファエルの指令を受けている割に、僕が女である事を知られてないのだと思った。僕は婚約者アンドレアの関係者らしい。僕は肩をすくめて言った。

「良いよ、僕も口づけぐらい。リカルド様に追い詰められるよりはマシだ。その代わり僕に夢中にならないでね?」


ジェイクはラファエル様に怒られると明るく笑ったけれど、多分口づけしても怒られるかもしれないよとは言えなかった。僕はラファエルが色々手を回してくれているのに感謝したけれど、一方で、僕が男装して学院に潜入している事を、知らないふりをしていたラファエルを憎らしくも思った。

二人で会った時もまるっきり僕が道化の様に振る舞ったことになってしまう。僕は目を光らせてジェイクと噂になるくらいイチャイチャしてラファエルの鼻を明かしたいと思ったんだ。ああ、楽しみ。






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