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綱渡りの生活
上級生の声援
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「アルは残念だったな。でも4位なら上等も上等だよ。アルより大きな男を次々に追い立てるのには、観ててスカッとしたぞ?」
そうジェイクに言われて、僕は目の前のシドと、これまた競技会では名を挙げているケルビンとの決勝が始まるのを固唾を飲んで見ていた。
僕は首元に拭いても拭いても流れてくる汗を感じながら、とはいえシドを倒すのは容易ではないだろうとケルビンを眺めた。シドに負けないマッチョなケルビンは、後ろを振り返って柵の向こうに居る上級生の方へ手を挙げた。すると一部の上級生がワッと盛り上がった。
僕とジェイクはそちらを見ながら首を傾げてコソコソ話をしていた。
「やっぱりあの噂本当なのかな。」
そうジェイクが言うから、僕は顔を寄せて尋ねた。
「何?噂?」
するとニヤリと笑って、声を顰めた。
「ケルビンの奴、上級生の一部に人気あるんだよ。そっちの相手で。あくまでも噂だ。でも公然の噂だ。貴族の学院生活じゃ珍しくない話だよ。何たって女子が別の建物だからね。血気盛んな俺たちが発散するのに、男も女も無いって事かな。」
僕は目が丸くなった。それって男同士でイチャイチャしてるって事かな。考えた事なかったけど、よく考えたら僕は身体は女だけど心は男に近いから、ラファエルとはそんな感じかもしれない…。そう考えると、何も言えないよ。
僕はジェイクに尋ねた。
「ジェイクも男相手に発散するの?シドはガタイが良いから性欲強いって言ってたよ。まぁ、あいつはおっぱい好きだけどね。」
ここは男子の性欲について調査しないと。シドだけじゃ不十分だ。この男だらけの学院生活に馴染むように僕も偽装しないとね。
するとジェイクがケラケラ笑って言った。
「マジか。シドがおっぱい?私はてっきり正反対だと思ってたけどなぁ。だって目の前にいつもアルがいるだろう?アルはどっちが好きなんだ?」
…どっちってどう言う意味で言ってるんだろうか。男が好き?女が好き?おっぱいが好き?そうじゃない?僕は質問の意図がわからなくて困ってしまった。
丁度その時、シドと上級生を魅了するケルビンが剣音を響かせて試合が始まった。最初は軽い剣先のキンと鳴る音が、段々と重い金属の音に変化し始めた。
だがしかし、シドは途中から明らかに格の違いを見せつけ始めた。一歩の重い踏み込みでケルビンの剣を地面に突き立てさせると、もうケルビンの反撃は許さなかった。
「シドー!やった!」
僕がシドに向かって声を上げてジェイクと手を合わせると、僕らの周りにクラスメイトが集まって来た。僕たちは戻って来たシドを口々に讃えながら、シドの優勝を祝った。
「これでシドもお兄様方から指名されるね!?」
僕がそう言って揶揄うと、ジェイクは爆笑してるし、シドは眉を顰めて何の話なのかって僕を問い詰めるから、僕たちは結構なご機嫌ぶりで楽しく盛り上がっていた。
そうジェイクに言われて、僕は目の前のシドと、これまた競技会では名を挙げているケルビンとの決勝が始まるのを固唾を飲んで見ていた。
僕は首元に拭いても拭いても流れてくる汗を感じながら、とはいえシドを倒すのは容易ではないだろうとケルビンを眺めた。シドに負けないマッチョなケルビンは、後ろを振り返って柵の向こうに居る上級生の方へ手を挙げた。すると一部の上級生がワッと盛り上がった。
僕とジェイクはそちらを見ながら首を傾げてコソコソ話をしていた。
「やっぱりあの噂本当なのかな。」
そうジェイクが言うから、僕は顔を寄せて尋ねた。
「何?噂?」
するとニヤリと笑って、声を顰めた。
「ケルビンの奴、上級生の一部に人気あるんだよ。そっちの相手で。あくまでも噂だ。でも公然の噂だ。貴族の学院生活じゃ珍しくない話だよ。何たって女子が別の建物だからね。血気盛んな俺たちが発散するのに、男も女も無いって事かな。」
僕は目が丸くなった。それって男同士でイチャイチャしてるって事かな。考えた事なかったけど、よく考えたら僕は身体は女だけど心は男に近いから、ラファエルとはそんな感じかもしれない…。そう考えると、何も言えないよ。
僕はジェイクに尋ねた。
「ジェイクも男相手に発散するの?シドはガタイが良いから性欲強いって言ってたよ。まぁ、あいつはおっぱい好きだけどね。」
ここは男子の性欲について調査しないと。シドだけじゃ不十分だ。この男だらけの学院生活に馴染むように僕も偽装しないとね。
するとジェイクがケラケラ笑って言った。
「マジか。シドがおっぱい?私はてっきり正反対だと思ってたけどなぁ。だって目の前にいつもアルがいるだろう?アルはどっちが好きなんだ?」
…どっちってどう言う意味で言ってるんだろうか。男が好き?女が好き?おっぱいが好き?そうじゃない?僕は質問の意図がわからなくて困ってしまった。
丁度その時、シドと上級生を魅了するケルビンが剣音を響かせて試合が始まった。最初は軽い剣先のキンと鳴る音が、段々と重い金属の音に変化し始めた。
だがしかし、シドは途中から明らかに格の違いを見せつけ始めた。一歩の重い踏み込みでケルビンの剣を地面に突き立てさせると、もうケルビンの反撃は許さなかった。
「シドー!やった!」
僕がシドに向かって声を上げてジェイクと手を合わせると、僕らの周りにクラスメイトが集まって来た。僕たちは戻って来たシドを口々に讃えながら、シドの優勝を祝った。
「これでシドもお兄様方から指名されるね!?」
僕がそう言って揶揄うと、ジェイクは爆笑してるし、シドは眉を顰めて何の話なのかって僕を問い詰めるから、僕たちは結構なご機嫌ぶりで楽しく盛り上がっていた。
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