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綱渡りの生活
シドの困惑
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シドが相変わらず眉間に皺を寄せて僕の部屋の扉に寄り掛かっている。シドなら部屋に入ってもいいって言ってるのに、あいつは頑なに入ろうとしないんだ。何かブツブツと殺されたく無いって言うんだけど、何だそれ。
先日の王都の屋敷でのラファエルとの面会は、思い出すだけで赤面ものだ。自分でもどうしてあんなに突っ走ったのか本当に意味不明だった。東屋からお父様のところに戻ったら自分のした事に、いや、させた事に今更ながらドキドキしてしまって、挙動不審になったのは間違いない。
そんな僕を見たお父様が何やらラファエルと顔を突き合わせて話していたけれども、どうもラファエルの言い分に言い負かされた感じがした。いや、お父様頑張ってよ。僕の貞操の危機なんだけど。
僕は貞操の危機がラファエルのせいと言うよりも、自分のせいでそうなりそうな気がして落ち込んでいた。僕ってそんなに欲望に翻弄されるタイプだったのかな。それとも身体は女でも考え方とかは男っぽいから欲望が強いのだろうか。
僕はふと顔を上げて、ジャケットを羽織りながら入り口で僕を待っているシドに尋ねた。
「なぁ、シドって性欲は強い方?」
途端にシドがむせ込んでいるから、僕は慌ててシドの背中をさすった。涙目のシドに僕はもう一度尋ねた。
「ほら、シドはおっぱい大好きだろ?領地にいた頃、おっぱいの大きなベッキーと付き合ってたよね?やっぱり欲望は止められなかった?」
僕がそう畳みかけると、シドは真っ赤な顔をして周囲をキョロキョロ見渡しながら声を顰めて言った。
「何いきなり!どうしたんだよ。急にそんな事聞いてきて!…何かあったのか?」
せっかく追い詰めたと思ったのに、急に冷静になったシドは今度は僕の事を勘繰る様に見つめた。僕は肩をすくめて言った。
「いや、別に。でもさ、令息はどの程度性欲を表現して良いか分からないから。あんまりそう言うのが見えなくても変に思われるかと思ってさ。あーあ、マチルダとイチャイチャしておけば良かったな。そうしたらそれっぽい事匂わせる事出来るのに。」
そう僕が言うと、シドは急に青い顔をして額に手を当てて呻いた。
「いや、私の妹で試すのやめてくれ。て言うか想像するのもやめてくれよ。…何だかとっても居た堪れないから。」
僕はニヤっと笑って部屋を閉めるとシドと連れ立って歩き出した。
「ふふ、流石にシドも妹君には弱いんだね。マチルダの方がどっちかと言うとさっぱりくっきりしてるってのに。」
するとシドは眉を顰めて慌てた様に僕に尋ねた。
「え?マチルダって誰かと付き合っていたのか?誰?」
僕はケラケラ笑って言った。
「お兄様に秘密は明かせないな。そうだなぁ、男の性欲について教えてくれたら、秘密を明かさないとも言えないけどね?」
先日の王都の屋敷でのラファエルとの面会は、思い出すだけで赤面ものだ。自分でもどうしてあんなに突っ走ったのか本当に意味不明だった。東屋からお父様のところに戻ったら自分のした事に、いや、させた事に今更ながらドキドキしてしまって、挙動不審になったのは間違いない。
そんな僕を見たお父様が何やらラファエルと顔を突き合わせて話していたけれども、どうもラファエルの言い分に言い負かされた感じがした。いや、お父様頑張ってよ。僕の貞操の危機なんだけど。
僕は貞操の危機がラファエルのせいと言うよりも、自分のせいでそうなりそうな気がして落ち込んでいた。僕ってそんなに欲望に翻弄されるタイプだったのかな。それとも身体は女でも考え方とかは男っぽいから欲望が強いのだろうか。
僕はふと顔を上げて、ジャケットを羽織りながら入り口で僕を待っているシドに尋ねた。
「なぁ、シドって性欲は強い方?」
途端にシドがむせ込んでいるから、僕は慌ててシドの背中をさすった。涙目のシドに僕はもう一度尋ねた。
「ほら、シドはおっぱい大好きだろ?領地にいた頃、おっぱいの大きなベッキーと付き合ってたよね?やっぱり欲望は止められなかった?」
僕がそう畳みかけると、シドは真っ赤な顔をして周囲をキョロキョロ見渡しながら声を顰めて言った。
「何いきなり!どうしたんだよ。急にそんな事聞いてきて!…何かあったのか?」
せっかく追い詰めたと思ったのに、急に冷静になったシドは今度は僕の事を勘繰る様に見つめた。僕は肩をすくめて言った。
「いや、別に。でもさ、令息はどの程度性欲を表現して良いか分からないから。あんまりそう言うのが見えなくても変に思われるかと思ってさ。あーあ、マチルダとイチャイチャしておけば良かったな。そうしたらそれっぽい事匂わせる事出来るのに。」
そう僕が言うと、シドは急に青い顔をして額に手を当てて呻いた。
「いや、私の妹で試すのやめてくれ。て言うか想像するのもやめてくれよ。…何だかとっても居た堪れないから。」
僕はニヤっと笑って部屋を閉めるとシドと連れ立って歩き出した。
「ふふ、流石にシドも妹君には弱いんだね。マチルダの方がどっちかと言うとさっぱりくっきりしてるってのに。」
するとシドは眉を顰めて慌てた様に僕に尋ねた。
「え?マチルダって誰かと付き合っていたのか?誰?」
僕はケラケラ笑って言った。
「お兄様に秘密は明かせないな。そうだなぁ、男の性欲について教えてくれたら、秘密を明かさないとも言えないけどね?」
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