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学院生活

オリバー兄様の心配

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オリバー兄様の、僕が女だと発覚しないための手立てをシドの他にも打った方が良いのではと言う提案に、父様はニヤリと笑って言った。

「さすがはオリバーだな。兄弟の中で一番アンドレアを溺愛しているだけある。今回のアンドレアの提案に5年間様子を見守っていたのは皆そうだが、オリバーが一番複雑な気持ちで見守っていたのだからね。」

そう言う父様に僕は首を傾げて尋ねた。

「オリバー兄様が僕を一番溺愛していたって、何の冗談ですか?オリバー兄様はいつだって僕に厳しかったのに。」


すると今年20歳になるシモン兄様は肩をすくめて言った。

「まぁね、あれだけ分かりにくい愛情の示し方だと、アンドレアにそう思われてもしょうがないよ。小さな頃はオリバー兄上は何を考えているのか分からなくて怖かったけれど、大人になってみると兄上ほど不器用な人はいない気がしてるよ。

だから、アンドレアに厳しかったのはある意味心配の裏返しだったって事だよ。まったく分かりずらいったら。」

僕はポカンとしてシモン兄様の言う事を聞いていた。オリバー兄様のあの厳しい小言は全部僕を心配しての事だったって訳?


「何だか僕ずっとオリバー兄様に怒られ損だった気がしてきました。でも心配していて下さったのは嬉しいです。兄様ありがとう。」

そう言って微笑むと、オリバー兄様は少し頬を赤らめて咳払いすると言った。

「話がズレてるぞ。対策が足りないんじゃないかって話をしていたんだ。」

すると父様がニヤリと笑って言った。


「流石に私もシドだけに任せる気はなかったよ。アンドレアはシドの監視をくぐり抜けそうだったしね。シドにはシドの生活もある事だし。実は医務室のバート先生は私の手の内の者だよ。だから困ったことがあったら頼りなさい。彼には渋られたが協力を頼んであるからね。」


僕とシドは顔を合わせた。

「実は寮に到着した時、僕が馬車に酔ってしまって医務室へ行ったんです。だから先生とはもう会いました。」

フレッド兄様がシドに尋ねた。

「シドも一緒に行って会ったかい?」

するとシドが気まずそうに言った。

「いえ、私は迎えには行ったんですけど。実は寮長のリカルド先輩にアルを連れていかれちゃって。」

途端に兄弟たちは顔を見合わせた。何処のリカルドだと口々に言い合っている。僕が銀髪だと言うと、フレッドがハッとした様に言った。


「もしかしてラファエルの従兄弟のリカルドじゃないか?先日会った時にバレー公爵家の従兄弟が寮長をしていると言ってたよ。彼は後継ではないけれど、公爵家だとすると少し用心した方が良いかもしれないよ。あまり近づかない様にする事だ。分かったかい?アル。」

僕はその時曖昧に頷かないで、どうやったら近づいてくる相手を遠ざけられるのか聞くべきだったと知ったのは、学院が始まってから直ぐの事だった。


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