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与えられたチャンス

変わる日々

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「…では、この様なスケジュールで大丈夫ですか、アンドレア様。」

私は少し呆れ顔の執事に頷いて言った。

「ええ。もちろんですわ。これは私がお父様に無理を言って頼んだのですから。」

私の手紙へのお父様からの返事は貰えなかったけれど、私の生活は俄然忙しくなった。お兄様たちと同じ科目と並行してレディとしての科目もこなさなければいけない。その上剣の個別訓練も元々やっていた量に戻った。


「アンドレア様、こんなスケジュールは無理でございます!」

悲鳴をあげるマリーに僕はニヤリと笑って言った。

「今までイヤイヤやっていたのをテキパキこなせばなんて事ないよ。それにしても、フレッド兄様のおっしゃってた事はあながち間違いではなかったよ。皆、僕のことをよく分かってたし、心配もしてくれてるって。」


マリーはジト目で僕を見つめると、諦めた様に言った。

「わたくしどもも分かってますとも。旦那様がここまで思い切った事をされるとは思いませんでしたが、アンドレア様の笑顔を見ていたら、これが一番の様な気がします。流石旦那様ですね。」

僕はお父様に脅迫めいた要求を突きつけたのは誰にも言ってなかったので、モゴモゴ返事をするとやる気満々で自分の成し遂げるべき事をやった。


僕は学院に入学する15歳の時までに、令息としても令嬢としても完璧になれる様に学び、振る舞うとお父様に誓った。その代わりそのご褒美として、学院進学の暁には男として一年間過ごさせて欲しいと頼んだんだ。

16歳の正式婚約まで、僕は決して周囲にバレない様に貴族令息として過ごす。もしバレたのなら、即刻婚約して16歳で結婚だ。バレなかったら一年間の貴族令息としての生活が体験できる。


その一年間のために、僕は全力で令息と令嬢の二人分を完璧にするんだ。大変だけど、一年間ありのままの僕自身で学院生活出来ると思えば頑張れる筈だ。

僕とお父様との約束をシモン兄様や、フレッド兄様が知っているかどうかはわからなかったけれど、薄々気づいている気がした。だってシモン兄様が学院に進むために王都へ出立する際に、僕の頭を撫でてこう言ったのだから。


「可愛いアンドレア。私はお前のために、こまめに学院の出来事を手紙に書こう。だからって、無理は禁物だよ。出来なくたっていいんだ。挑戦した事は無駄にはならないしね。とは言え、今から心配になるよ。せめて、僕やフレッドが学院で顔を効かせてお前が進学した時に困らないようにしなければならないだろうね。」

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