12 / 67
生活の変化
許嫁と対決、何で?
しおりを挟む
オリバー兄様の無茶ぶりのせいで、僕と許嫁の侯爵令息のラファエルが剣を交えることになった話は、あっという間に周囲に広がって、ギャラリーが気のせいかどんどん増えていく。元々今日は昨日招待出来なかった人達への誕生日のお披露目日でもあった。
いつも僕と訓練していた仲間の顔も多いけれど、御令嬢たちも来てるのは一体どう言うことなんだろう。僕はいつもと違う騎士服に顔を顰めて、マリーと一つ年下の仲良しのマチルダに不満を言った。
「ねえ、これで戦うってマジで?」
そう言って着せられた服を見下ろした。いつもの令息達と同じ膝下の物ではなく、妙に短い腿までのズボンに、ふわりとしたヒラヒラ付きのベストを合わせてある。
「ゴホン。アンドレア様お言葉遣いも気をつけて下さいまし。これも奥様が用意してくださったのですよ。」
マチルダはうっとりと僕を見て言った。
「アンドレア様、素敵です!可愛いのにカッコいいなんて、ドキドキしちゃいます。」
僕は肩をすくめて、サラサラ黒髪のマチルダのニンマリした顔を見て呟いた。
「…まぁ、カッコいいなら良いけどね。マチルダが僕を面白がってるのが気になるけど。マリー、髪は留めてくれるでしょ?僕の、えーと私の髪ふわふわして邪魔だからお願い。」
ぶつぶつ小言のとまらないマリーに髪をひとつに縛ってもらいながら、僕は鏡に映る自分の姿を見つめた。見ようによっては少女騎士の様に見えないこともない。剣をさせてもらえないよりは、ここは妥協点なのかもしれないと、肩のふんわりしたブラウスを顔を顰めて眺めた。
「ふふふ。アンドレア様がこんなに女の子っぽいのって、何だか笑っちゃいます。とっても似合うのに、イメージが違うっていうか。シド兄様が昨日のアンドレア様に度肝を抜かれた顔を、アンドレア様に見せてあげたかったですわ。
今日も朝からソワソワしちゃって、許嫁との決闘の話を聞いたら、満面の笑みで飛び出して行ったんですよ?」
僕は辺境伯の騎士団長の息子であるシドが、そんなに僕の窮状を楽しんでいるのかと思って、口を尖らせて言った。
「まったく、シドは…私の事面白がりすぎだろう。あいつらに笑われるから、顔を合わせるのは嫌だな。」
僕がそう言うと、マチルダとマリーは顔を見合わせて、肩をすくませて同情めいた表情で僕を見た。
「本当にね?アンドレア様の側にいるのは双刃の剣というのは、言い当て妙ですわね。お兄様もお可哀想に。さぁ、アンドレア様、そろそろ行きましょう。皆様が首を長くしてお待ちですわ。」
そう言って、マチルダは可愛い顔に似合わないニンマリした笑みを浮かべた。マチルダの言う事は時々訳がわからないな。
いつも僕と訓練していた仲間の顔も多いけれど、御令嬢たちも来てるのは一体どう言うことなんだろう。僕はいつもと違う騎士服に顔を顰めて、マリーと一つ年下の仲良しのマチルダに不満を言った。
「ねえ、これで戦うってマジで?」
そう言って着せられた服を見下ろした。いつもの令息達と同じ膝下の物ではなく、妙に短い腿までのズボンに、ふわりとしたヒラヒラ付きのベストを合わせてある。
「ゴホン。アンドレア様お言葉遣いも気をつけて下さいまし。これも奥様が用意してくださったのですよ。」
マチルダはうっとりと僕を見て言った。
「アンドレア様、素敵です!可愛いのにカッコいいなんて、ドキドキしちゃいます。」
僕は肩をすくめて、サラサラ黒髪のマチルダのニンマリした顔を見て呟いた。
「…まぁ、カッコいいなら良いけどね。マチルダが僕を面白がってるのが気になるけど。マリー、髪は留めてくれるでしょ?僕の、えーと私の髪ふわふわして邪魔だからお願い。」
ぶつぶつ小言のとまらないマリーに髪をひとつに縛ってもらいながら、僕は鏡に映る自分の姿を見つめた。見ようによっては少女騎士の様に見えないこともない。剣をさせてもらえないよりは、ここは妥協点なのかもしれないと、肩のふんわりしたブラウスを顔を顰めて眺めた。
「ふふふ。アンドレア様がこんなに女の子っぽいのって、何だか笑っちゃいます。とっても似合うのに、イメージが違うっていうか。シド兄様が昨日のアンドレア様に度肝を抜かれた顔を、アンドレア様に見せてあげたかったですわ。
今日も朝からソワソワしちゃって、許嫁との決闘の話を聞いたら、満面の笑みで飛び出して行ったんですよ?」
僕は辺境伯の騎士団長の息子であるシドが、そんなに僕の窮状を楽しんでいるのかと思って、口を尖らせて言った。
「まったく、シドは…私の事面白がりすぎだろう。あいつらに笑われるから、顔を合わせるのは嫌だな。」
僕がそう言うと、マチルダとマリーは顔を見合わせて、肩をすくませて同情めいた表情で僕を見た。
「本当にね?アンドレア様の側にいるのは双刃の剣というのは、言い当て妙ですわね。お兄様もお可哀想に。さぁ、アンドレア様、そろそろ行きましょう。皆様が首を長くしてお待ちですわ。」
そう言って、マチルダは可愛い顔に似合わないニンマリした笑みを浮かべた。マチルダの言う事は時々訳がわからないな。
8
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説
誰もいないのなら
海無鈴河
恋愛
嫌いな彼と秘密の恋人になりました(フリだけど)
ごく普通の高校生――大和朱莉はある日突然許嫁がいることを知ってしまう。
その相手は容姿、家柄、能力、全てにおいて完璧な同じ学校の生徒会長――吉野蒼司だった。
しかし、学校では対立している二人の仲は最悪。
仕方なく仲の良い恋人同士として過ごしてみようと同盟を組んだ二人だが、それには「周囲にバレない」というオプションが付いていた!
右も左も分からない!二人の秘密の結末ははたしてどこに向かっていく……!
----------------
一応学園×コメディ×ごくまれにラブ
※この作品は他サイトにも掲載しています。
表紙写真は写真AC様よりお借りしました。
獅子騎士と小さな許嫁
yu-kie
恋愛
第3王子獅子の一族の騎士ラパス27歳は同盟したハミン国へ使いで来た。そこで出会った少女は、野うさぎのように小さく可愛らしい生き物…否、人間…ハミン国の王女クラン17歳だった!
※シリアス?ほのぼの、天然?な、二人の恋がゆっくり始まる~。
※不思議なフワフワをお楽しみください。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
オレの愛しい王子様
瑞原唯子
恋愛
ずっと翼のそばにいて、翼を支える——。
幼いころ創真はひとりの少女とそう約束を交わした。
少女はいつしか麗しい男装で王子様と呼ばれるようになるが、
それでも創真の気持ちはあのころのまま変わらない。
年上の許嫁女教師は大胆な帰国子女
naomikoryo
恋愛
里崎亨は、高校生活を送る普通の男子高校生。
彼の幼馴染であり、3歳年上の美咲は、アメリカに移住してから数年後に帰国した。
彼女は英語、数学、体育の教員免許を持つ優秀な帰国子女であり、学校で臨時の英語教師として教壇に立つことになった。
久しぶりの再会に胸を躍らせる亨だが、彼女の存在は彼にとって特別なものであり、心の奥に秘めた思いが浮かび上がる。
美咲は大胆でサバサバした性格であり、教室内での彼女の存在感は抜群。亨は、彼女の教え方や魅力に惹かれ、授業中も彼女のことばかり考えてしまう。しかし、彼女が何気なく送るウインクや、思わず触れた手が心に残り、彼の心は高鳴るばかりだ。
ある日、美咲が亨の家庭を訪れ、二人は楽しい時間を過ごす。
その中で、彼女の過去の経験やアメリカでの生活について話が弾む。
気づけば、彼女との距離が徐々に縮まり、思いがけないキスを交わすことに。
亨は彼女に対する想いが募り、年上の彼女が実は自分の許嫁であることに気づく。
二人の関係は、幼馴染から年上の許嫁へと発展し、甘く、時には困難な恋愛模様が描かれていく。
果たして、亨は美咲との関係を深められるのか。
彼女の大胆さと優しさに触れながら、彼自身も成長していく姿が描かれる青春ラブストーリー。
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません
青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく
でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう
この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく
そしてなぜかヒロインも姿を消していく
ほとんどエッチシーンばかりになるかも?
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる