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運命の発情期
番うこと
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二人の伸ばした腕の中で、俺はひたひたと満ちていく潮の様に自分が満たされていくのを感じた。ああ、この感じは初めてだ。ぼんやりとした頭の中で、さっき感じた鋭い痛みと痺れる様な衝撃を思い出した。
それは馬鹿みたいな気持ち良さとセットになっていて、新の時とは少し違うけれど、似たものであるのは間違いなかった。
「…岳落ち着いた?ああ、岳の匂いが変わった。これって俺と番ったから感じ方が変わったのかな。新も匂い変わった気がする?」
そう言いながら仰向けになった俺の首元に叶斗が鼻を押し付けると、新も隣で同じ仕草で俺を嗅いだ。以前なら気恥ずかしいだけのこの有り様は、番ったせいなのかもっとして欲しいと身体が疼いた。
「は、すげぇ。今一気に甘い匂いが出たよな。まじで堪んない…。確かに匂いは変わった気がするな。甘いのは甘いけど、以前の様に脳天に効くクラクラする匂いと言うよりは、永遠に嗅いでられる匂いだ。」
そう言いながら新は腰の昂りを俺に押し当てた。俺は新のおねだりを感じて新に唇を寄せてキスを強請った。丁度その時マンションの玄関チャイムが鳴って、皆の動きが止まった。
「ほら、岳は一回シャワー浴びといで。新、綺麗にしてやって。誠さんが来たみたいだから。」
そう言いながら叶斗はベッドから起き上がると、壁に掛かっているセキュリティの重そうなシステムを指先でなぞった。俺は新に抱き上げられて浴室へ連れて行かれた。まだ首は時々痛む。
「なぁ、新。誠が噛む場所あるのかな。」
すると新は苦笑して俺をサラリとした浴室の床に下ろして言った。
「大丈夫。考えて噛んだから。…でも4人は無理だぞ?」
少し怖いくらいの眼差しで俺をジトリ見つめながら、新は妙に疼く様な手つきで俺を洗った。ああ、気持ちいい。4人?それは俺も願い下げだ。さっきの俺の中に出した叶斗のモノがドロリと出てきた感じがして、俺はその事に無意識に微笑んだ。
「ああ、出て来ちゃったな。岳の中にこれが入ってないと、落ち着かないだろう?まぁ、次は誠さんの番だから丁度良いか。」
俺は少し熱くなった自分の身体を持て余しながら、新に抱きついた。
「…あらたキスして…。熱い…!」
顔を顰めた新が俺を覗き込んで言った。
「ほら、誠さん東京から駆けつけたからな?番ったら俺たち幾らでも付き合ってやるから。はぁ、まったく俺の忍耐力試されてんのか…?」
俺は新がキスしてくれない事に酷く哀しい気持ちになって、鼻声で新に抱きついた。
「…新のバカ。キスしてってば。」
罵り声が聞こえた気がして顔を上げると、新が俺をギラついた目で見つめながら言った。
「まったく厄介だ。ただでさえ俺たちを振り回してるってのに、番ったら番ったで、この順番待ちとか…。岳、誠さん来たぞ。」
新にそう言われるまでもなく、俺の背中に感じるバカみたいに強いアルファのフェロモンが俺を怖がらせた。ああ、こう感じるって事は、まだ俺にはやっぱり番いが必要なのかもしれない…。俺は息が上がっていくのを感じながら、新が俺の脇を離れて、交代で誠さんが後ろから俺を抱き寄せるのを感じた。
「私がここに噛み跡をつければ、まるで花が咲いた様に見えるだろうね。…岳くん、私を受け入れてくれるか?」
それは馬鹿みたいな気持ち良さとセットになっていて、新の時とは少し違うけれど、似たものであるのは間違いなかった。
「…岳落ち着いた?ああ、岳の匂いが変わった。これって俺と番ったから感じ方が変わったのかな。新も匂い変わった気がする?」
そう言いながら仰向けになった俺の首元に叶斗が鼻を押し付けると、新も隣で同じ仕草で俺を嗅いだ。以前なら気恥ずかしいだけのこの有り様は、番ったせいなのかもっとして欲しいと身体が疼いた。
「は、すげぇ。今一気に甘い匂いが出たよな。まじで堪んない…。確かに匂いは変わった気がするな。甘いのは甘いけど、以前の様に脳天に効くクラクラする匂いと言うよりは、永遠に嗅いでられる匂いだ。」
そう言いながら新は腰の昂りを俺に押し当てた。俺は新のおねだりを感じて新に唇を寄せてキスを強請った。丁度その時マンションの玄関チャイムが鳴って、皆の動きが止まった。
「ほら、岳は一回シャワー浴びといで。新、綺麗にしてやって。誠さんが来たみたいだから。」
そう言いながら叶斗はベッドから起き上がると、壁に掛かっているセキュリティの重そうなシステムを指先でなぞった。俺は新に抱き上げられて浴室へ連れて行かれた。まだ首は時々痛む。
「なぁ、新。誠が噛む場所あるのかな。」
すると新は苦笑して俺をサラリとした浴室の床に下ろして言った。
「大丈夫。考えて噛んだから。…でも4人は無理だぞ?」
少し怖いくらいの眼差しで俺をジトリ見つめながら、新は妙に疼く様な手つきで俺を洗った。ああ、気持ちいい。4人?それは俺も願い下げだ。さっきの俺の中に出した叶斗のモノがドロリと出てきた感じがして、俺はその事に無意識に微笑んだ。
「ああ、出て来ちゃったな。岳の中にこれが入ってないと、落ち着かないだろう?まぁ、次は誠さんの番だから丁度良いか。」
俺は少し熱くなった自分の身体を持て余しながら、新に抱きついた。
「…あらたキスして…。熱い…!」
顔を顰めた新が俺を覗き込んで言った。
「ほら、誠さん東京から駆けつけたからな?番ったら俺たち幾らでも付き合ってやるから。はぁ、まったく俺の忍耐力試されてんのか…?」
俺は新がキスしてくれない事に酷く哀しい気持ちになって、鼻声で新に抱きついた。
「…新のバカ。キスしてってば。」
罵り声が聞こえた気がして顔を上げると、新が俺をギラついた目で見つめながら言った。
「まったく厄介だ。ただでさえ俺たちを振り回してるってのに、番ったら番ったで、この順番待ちとか…。岳、誠さん来たぞ。」
新にそう言われるまでもなく、俺の背中に感じるバカみたいに強いアルファのフェロモンが俺を怖がらせた。ああ、こう感じるって事は、まだ俺にはやっぱり番いが必要なのかもしれない…。俺は息が上がっていくのを感じながら、新が俺の脇を離れて、交代で誠さんが後ろから俺を抱き寄せるのを感じた。
「私がここに噛み跡をつければ、まるで花が咲いた様に見えるだろうね。…岳くん、私を受け入れてくれるか?」
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