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俺の番い予定は三人
なる様になるでしょ
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結局俺は自分でもどうなるか分からない事を色々言い合ってもしょうがないと、険しい顔の三人を突っぱねた。新と叶斗だけでも大変なのに更に灰原さんをなだめなくちゃいけないとか、俺の力を遥かに超えてるでしょ。
俺が黙った三人の顔を見回して何とかなったとため息をつくと、三人は俺のことをほったらかしで何やら深刻そうに話し出した。
「じゃあ、順番はどうするか決めないといけないな。私は勿論最後で良いけれど、二人でどちらが先だとか決められるかい?」
何やら不穏な会話だ。俺は思わずスウィートルームの窓際に立って、いつの間にか暗くなっていたのか、地方都市でもそこそこ綺麗な夜景を眺めた。
瞬くその光のあちこちで、これ以上不穏な会話はされて無いだろうと思うと、ため息が出るばかりだった。ふいに後ろから抱き抱えられてそのエキゾチックで甘い灰原さんの香水の匂いを感じると、耳元で甘く囁かれた。
「岳君に選ばれて本当に嬉しいよ。割り込む様な形になってしまったけれど、岳君がラビットケースだったのはきっと運命だったのかな。」
そう囁かれて、俺はすっかり香水と灰原さんの甘いフェロモンに酔い始めていた。大きく息を吐き出すと顔を灰原さんに向けて言った。
「…岳で良いよ。もう俺のものになるんでしょ、灰原さん。それとも…誠って呼ぶ?」
そう言って笑うと、灰原さんは俺をじっと見つめて呟いた。
「私の名前を知っててくれたのかい?嬉しい驚きだ。…もう一度呼んでみてくれるか?」
俺はクスクス笑って灰原さんに呼びかけた。
「何だか、こっちが照れるって。ね、まこと?」
俺のおふざけはそこ迄だった。俺の唇は誠にあっという間に甘く塞がれていた。注ぎ込まれるエネルギーがあるとするなら、俺は圧倒的な誠のフェロモンに支配されてしまっていた。すっかりチカラが抜けて脚は震えて立っていられない。
誠がくれる甘い唾液が俺を目覚めさせた。自分でも我慢できないその欲求が自分のアルファを虜にするべきだと身体中を凄まじい勢いで巡って弾けた。
気づけば俺は誠の首に手を絡めて、馬鹿みたいにキスを貪っていた。それは誠の仕掛けたものだったけれど、今となってはどうでも良い事だった。ふいに与えられていた蜜が遠ざかる気がして渋々目を開けると、そこに感じたのは慣れ親しんだフェロモンだった。
「全く気を許すと灰原さんが抜け駆けするんだから。岳は普段はアレですけど、一度スイッチ入っちゃうとグズグズになるんだから放って置けないよ。」
そう言って呆れた様に俺をじっと見つめる叶斗と、ため息をついた新が窓のそばに来ていた。ああ、俺またやっちゃった?でもスイッチ入っちゃったんだけど…。
俺が黙った三人の顔を見回して何とかなったとため息をつくと、三人は俺のことをほったらかしで何やら深刻そうに話し出した。
「じゃあ、順番はどうするか決めないといけないな。私は勿論最後で良いけれど、二人でどちらが先だとか決められるかい?」
何やら不穏な会話だ。俺は思わずスウィートルームの窓際に立って、いつの間にか暗くなっていたのか、地方都市でもそこそこ綺麗な夜景を眺めた。
瞬くその光のあちこちで、これ以上不穏な会話はされて無いだろうと思うと、ため息が出るばかりだった。ふいに後ろから抱き抱えられてそのエキゾチックで甘い灰原さんの香水の匂いを感じると、耳元で甘く囁かれた。
「岳君に選ばれて本当に嬉しいよ。割り込む様な形になってしまったけれど、岳君がラビットケースだったのはきっと運命だったのかな。」
そう囁かれて、俺はすっかり香水と灰原さんの甘いフェロモンに酔い始めていた。大きく息を吐き出すと顔を灰原さんに向けて言った。
「…岳で良いよ。もう俺のものになるんでしょ、灰原さん。それとも…誠って呼ぶ?」
そう言って笑うと、灰原さんは俺をじっと見つめて呟いた。
「私の名前を知っててくれたのかい?嬉しい驚きだ。…もう一度呼んでみてくれるか?」
俺はクスクス笑って灰原さんに呼びかけた。
「何だか、こっちが照れるって。ね、まこと?」
俺のおふざけはそこ迄だった。俺の唇は誠にあっという間に甘く塞がれていた。注ぎ込まれるエネルギーがあるとするなら、俺は圧倒的な誠のフェロモンに支配されてしまっていた。すっかりチカラが抜けて脚は震えて立っていられない。
誠がくれる甘い唾液が俺を目覚めさせた。自分でも我慢できないその欲求が自分のアルファを虜にするべきだと身体中を凄まじい勢いで巡って弾けた。
気づけば俺は誠の首に手を絡めて、馬鹿みたいにキスを貪っていた。それは誠の仕掛けたものだったけれど、今となってはどうでも良い事だった。ふいに与えられていた蜜が遠ざかる気がして渋々目を開けると、そこに感じたのは慣れ親しんだフェロモンだった。
「全く気を許すと灰原さんが抜け駆けするんだから。岳は普段はアレですけど、一度スイッチ入っちゃうとグズグズになるんだから放って置けないよ。」
そう言って呆れた様に俺をじっと見つめる叶斗と、ため息をついた新が窓のそばに来ていた。ああ、俺またやっちゃった?でもスイッチ入っちゃったんだけど…。
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