151 / 197
誰を選ぶ?
タクシーの行く先は
しおりを挟む
「ね、いつまで不貞腐れてるの?機嫌直してよ。ほらウチにつけばジョンも居るからさ。ワンコ好きでしょ。」
そう言って機嫌良くタクシーに行き先を告げた叶斗をジロリと睨んだ。全く三人だからって、直ぐにタクシー使うこの男は生粋のお坊ちゃんだ。アルファってこんな所がいけすかないな。
「…ジョンは手触りは良いけど、顔が怖い。」
俺が口を尖らせて言うと、叶斗は俺の顔を突っついて言った。
「ジョンは岳の事好きなんだけどなぁ?まぁ、多分ジョンと遊ぶ暇はないけどね。ちゃんと準備万端だから気兼ねなく寛いでね?母さんも凄い喜んじゃって。岳の事気に入ってたからさ。」
俺は叶斗のニヤケ切った顔を見上げて思った。叶斗の家は親が番だから、お手伝いさんや親もそこら辺の微妙なあれこれに慣れているんだろうって。
俺の家じゃ一人用のベッドで無理があるし、そもそも父さんも狼狽えるだろうし。新の家も以下同文だろうから、叶斗の家で番誓約するのは理にかなっているのかもしれない。
そう考えながらため息をついていると、タクシーは無常?にも叶斗の家に到着した。相変わらず金持ち臭のする鋼鉄製の重い勝手扉を開けると、玄関からジョンがドーベルマンらしい怖い顔で走って来た。
思わず新に背中を押し付けると、ひとしきりジョンを撫で回した叶斗が俺の手を引っ張ってジョンに嗅がせた。直ぐにジョンは甘える様なキューキュー声を出して、俺は恐る恐る首筋を叶斗と撫でた。
ぱっちりした焦茶色の瞳は賢そうにきらめいていて、俺はジョンの方に接待されている気になってしまった。犬に気を使われる俺って…。
クスクス笑う二人と叶斗の部屋に向かうと、叶斗の母親と家政婦がいらっしゃいと笑顔を見せたけれど、特にそれ以上詮索されることも無く俺たちは挨拶もそこそこに叶斗の部屋に辿り着いた。
部屋に着くなり叶斗は俺を抱き寄せて、幸せそうな顔で俺を見つめて言った。
「はぁ、俺今まででこんな気持ちになったの初めてかも。ずっと岳に振り向いて欲しくて頑張ってたからさ、報われたって言うか…。一生一緒にいられるって考えたら、もう幸せ爆発!」
そう言って笑いながら俺をぎゅっと抱きしめた。随分大袈裟な気がしたけど、これまで叶斗が俺の事一番に考えてくれていたのはそうかもしれなかった。
「それ言われちゃったら俺も負けるけど。でも岳を一番に想う気持ちは一緒だ。」
そう俺の後ろから叶斗ごと新に抱きしめられて、耳元で囁かれた。俺はクスクス笑って言った。
「なぁ、お前たちの俺に突き立てるソレ、さっさと役立ててよ。」
途端に顔を見合わせる新と叶斗が、諦めた様にため息をついた。
「「本当、そう言う所だよ…。」」
~お知らせ~
本日18時から新作BL『お隣さんは僕のまたたび』を公開開始します♡
ひと目を惹く『僕』と、隣の家の幼馴染の兄弟との、成長に伴う関係の変化と葛藤、執着を丁寧に描いていきます。
1500~2000字/話で、そこそこじっくり読めると思います♡
淫靡な主人公の『僕』が周囲を翻弄しながらも一途な想いを持つ、そのギャップをお楽しみ下さい♡
そう言って機嫌良くタクシーに行き先を告げた叶斗をジロリと睨んだ。全く三人だからって、直ぐにタクシー使うこの男は生粋のお坊ちゃんだ。アルファってこんな所がいけすかないな。
「…ジョンは手触りは良いけど、顔が怖い。」
俺が口を尖らせて言うと、叶斗は俺の顔を突っついて言った。
「ジョンは岳の事好きなんだけどなぁ?まぁ、多分ジョンと遊ぶ暇はないけどね。ちゃんと準備万端だから気兼ねなく寛いでね?母さんも凄い喜んじゃって。岳の事気に入ってたからさ。」
俺は叶斗のニヤケ切った顔を見上げて思った。叶斗の家は親が番だから、お手伝いさんや親もそこら辺の微妙なあれこれに慣れているんだろうって。
俺の家じゃ一人用のベッドで無理があるし、そもそも父さんも狼狽えるだろうし。新の家も以下同文だろうから、叶斗の家で番誓約するのは理にかなっているのかもしれない。
そう考えながらため息をついていると、タクシーは無常?にも叶斗の家に到着した。相変わらず金持ち臭のする鋼鉄製の重い勝手扉を開けると、玄関からジョンがドーベルマンらしい怖い顔で走って来た。
思わず新に背中を押し付けると、ひとしきりジョンを撫で回した叶斗が俺の手を引っ張ってジョンに嗅がせた。直ぐにジョンは甘える様なキューキュー声を出して、俺は恐る恐る首筋を叶斗と撫でた。
ぱっちりした焦茶色の瞳は賢そうにきらめいていて、俺はジョンの方に接待されている気になってしまった。犬に気を使われる俺って…。
クスクス笑う二人と叶斗の部屋に向かうと、叶斗の母親と家政婦がいらっしゃいと笑顔を見せたけれど、特にそれ以上詮索されることも無く俺たちは挨拶もそこそこに叶斗の部屋に辿り着いた。
部屋に着くなり叶斗は俺を抱き寄せて、幸せそうな顔で俺を見つめて言った。
「はぁ、俺今まででこんな気持ちになったの初めてかも。ずっと岳に振り向いて欲しくて頑張ってたからさ、報われたって言うか…。一生一緒にいられるって考えたら、もう幸せ爆発!」
そう言って笑いながら俺をぎゅっと抱きしめた。随分大袈裟な気がしたけど、これまで叶斗が俺の事一番に考えてくれていたのはそうかもしれなかった。
「それ言われちゃったら俺も負けるけど。でも岳を一番に想う気持ちは一緒だ。」
そう俺の後ろから叶斗ごと新に抱きしめられて、耳元で囁かれた。俺はクスクス笑って言った。
「なぁ、お前たちの俺に突き立てるソレ、さっさと役立ててよ。」
途端に顔を見合わせる新と叶斗が、諦めた様にため息をついた。
「「本当、そう言う所だよ…。」」
~お知らせ~
本日18時から新作BL『お隣さんは僕のまたたび』を公開開始します♡
ひと目を惹く『僕』と、隣の家の幼馴染の兄弟との、成長に伴う関係の変化と葛藤、執着を丁寧に描いていきます。
1500~2000字/話で、そこそこじっくり読めると思います♡
淫靡な主人公の『僕』が周囲を翻弄しながらも一途な想いを持つ、そのギャップをお楽しみ下さい♡
38
お気に入りに追加
1,371
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
【完結】嘘はBLの始まり
紫紺(紗子)
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。
突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった!
衝撃のBLドラマと現実が同時進行!
俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡
※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる