146 / 197
誰を選ぶ?
叶斗side岳の変化
しおりを挟む
捕まえた腕の中の岳があまり抵抗なく、どちらかと言うと積極的にキスを返して来るのに何故か違和感を覚えた。さっきも急に見たこともないデレ方をして。
最近の岳は綺麗さに磨きがかかってて、俺は何だかわーって叫びたくなる。今も長い睫毛を頬に落として瞼を震わせて俺のキスに応えてる。ふいに瞼が開いて、俺たちは目を合わせた。
「…叶斗気が散ってる。もう、教室戻ろ?」
そう言って俺の腕の中からスルリと逃げ出した。俺は空き教室の扉を引く岳が振り向いて俺を待ってるのに苦笑して、寄りかかっていた机から立ち上がった。これもそうだ。いつもなら後ろも見ずに出てくのに。
「…何か岳がいつもと違って困ってる。」
思わずそう言って口を尖らすと、岳は俺の顔をチラッと見上げて何か言いたげに口元を緩めた。
「何?」
俺が思わずそう尋ねると、岳は自分から俺の手を繋いで言った。
「いつも叶斗ってこんなに顔赤くしてたかなって思って。可愛いな、叶斗って。」
ほらほら、もう!絶対熱でもあるんだよ!俺は岳の手をぎゅっと握ると言った。
「あのさ!どうかした?何か今日の岳変だよ!」
すると少し首を傾げて独り言の様に呟いた。
「…そうかな。俺、自分のものは大事にするタイプなだけだよ。」
俺はもう開いた口が閉まらなかった。えー!?どう言うこと!?俺は歩き出した岳に引っ張られながら、恐る恐る尋ねた。
「あの、俺が岳のものって…、どう言う意味?」
すると立ち止まって、眉を顰めて俺を見上げて言った。
「え?もしかして嫌だった?俺、叶斗が俺の番になりたがってるって思ってたんだけど。」
俺は何だか白昼夢を見てる気がした。あんなにサンプルだの、何だのって俺たちをどん底に突き落として置いて、急に番じゃないのって。もう全然着いていけない。俺は混乱し過ぎて、ぼんやりと楽しげに俺を見つめる岳を見下ろしていた。
ふいに岳が伸ばした指先が俺の頬をなぞって、見たことの無い優しい顔で岳が言った。
「何も泣くことないのに。ふふ、やっぱり叶斗って可愛いな。」
岳の指が首に回って引き寄せられたと思ったら、優しくキスされていた。それは触れるだけのキスだったけど、俺にはビリビリと痺れる様な信じられないくらい幸せを感じるキスだった。思わず目を閉じた俺がぼんやりと目を開けると、それを待っていたかの様に岳が嬉しげに微笑んで言った。
「叶斗、俺、叶斗が好きだよ。番になってくれる?」
最近の岳は綺麗さに磨きがかかってて、俺は何だかわーって叫びたくなる。今も長い睫毛を頬に落として瞼を震わせて俺のキスに応えてる。ふいに瞼が開いて、俺たちは目を合わせた。
「…叶斗気が散ってる。もう、教室戻ろ?」
そう言って俺の腕の中からスルリと逃げ出した。俺は空き教室の扉を引く岳が振り向いて俺を待ってるのに苦笑して、寄りかかっていた机から立ち上がった。これもそうだ。いつもなら後ろも見ずに出てくのに。
「…何か岳がいつもと違って困ってる。」
思わずそう言って口を尖らすと、岳は俺の顔をチラッと見上げて何か言いたげに口元を緩めた。
「何?」
俺が思わずそう尋ねると、岳は自分から俺の手を繋いで言った。
「いつも叶斗ってこんなに顔赤くしてたかなって思って。可愛いな、叶斗って。」
ほらほら、もう!絶対熱でもあるんだよ!俺は岳の手をぎゅっと握ると言った。
「あのさ!どうかした?何か今日の岳変だよ!」
すると少し首を傾げて独り言の様に呟いた。
「…そうかな。俺、自分のものは大事にするタイプなだけだよ。」
俺はもう開いた口が閉まらなかった。えー!?どう言うこと!?俺は歩き出した岳に引っ張られながら、恐る恐る尋ねた。
「あの、俺が岳のものって…、どう言う意味?」
すると立ち止まって、眉を顰めて俺を見上げて言った。
「え?もしかして嫌だった?俺、叶斗が俺の番になりたがってるって思ってたんだけど。」
俺は何だか白昼夢を見てる気がした。あんなにサンプルだの、何だのって俺たちをどん底に突き落として置いて、急に番じゃないのって。もう全然着いていけない。俺は混乱し過ぎて、ぼんやりと楽しげに俺を見つめる岳を見下ろしていた。
ふいに岳が伸ばした指先が俺の頬をなぞって、見たことの無い優しい顔で岳が言った。
「何も泣くことないのに。ふふ、やっぱり叶斗って可愛いな。」
岳の指が首に回って引き寄せられたと思ったら、優しくキスされていた。それは触れるだけのキスだったけど、俺にはビリビリと痺れる様な信じられないくらい幸せを感じるキスだった。思わず目を閉じた俺がぼんやりと目を開けると、それを待っていたかの様に岳が嬉しげに微笑んで言った。
「叶斗、俺、叶斗が好きだよ。番になってくれる?」
49
お気に入りに追加
1,371
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
【完結】嘘はBLの始まり
紫紺(紗子)
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。
突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった!
衝撃のBLドラマと現実が同時進行!
俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡
※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる