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灰原さん
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俺たちは部屋のジャグジーに浸かって、真っ暗な海に時々瞬く、遠くの岬の堤防の灯りを眺めた。すっかり慣らされてしまった俺は、灰原さんに抱えられていたけれど、まぁ肌を交わしたんだ、そんな感じになっちゃうだろう。
「ね、灰原さん。桂木先生が、灰原さんの事Ω不感症だって言ってた気がするんだけど、それってどういう事なんですか?」
俺はふと思い浮かんだことを尋ねてみた。あいつらに聞けないことも、灰原さんには聞けるのは、年上だってところが大きいのか、直ぐにお仕置きされないから安心して聞けるからなのか…。
普段ならすぐに答えてくれる灰原さんは少し黙りこむと、俺のネックガードの内側を指でなぞった。それヤバい。ゾワゾワするし、何かきちゃう。俺は手でガードを押さえてハッとして振り返った。
「ふふ、ここ怖い?オメガなら当たり前の反応だけどね。私は、昔からどうも人一倍フェロモンが強かったみたいでね、学生の頃は普通に教室に居るだけで、オメガはダイレクトにここで私のフェロモンを感じるって言うんだ。
それって私の好き嫌いに関係なく、オメガは私の事を追いかけてくるって事だ。こっちにその気がないから始末が悪くて、変に拗らせたΩに刺されそうになったのも一度や二度じゃない。
そんな事が続いたら、嫌になるだろう?上位アルファなんて言われても良い事なんてないよ。大体元々アルファに上位も下位もないんだ。だってそうだろ?番になる相手にとっては唯一の相手なんだから、そこに差異はないさ。」
俺はもう一度灰原さんの肩に寄り掛かって、ジャグジーの泡を手で叩いた。
「だったら俺はやっぱりレアケースでしょ。俺に必要なのは唯一の番じゃない。二人、もしくはそれ以上?灰原さんの知っての通り、俺の発情期、あいつらだけじゃ無理な気がする。あいつらも言わないけど、多分そう思ってるんだと思う。
変異Ωでフェロモンが強いだけじゃないよ。更に悪いことに、俺が最近までバリバリのβの山伏だったせいで、体力がすっごいんだよ。それなのに発情期でタガが外れたら、淫魔みたいになっちゃうんだ。知ってる?淫魔って。精力を喰らう妖怪?あ、悪魔かな…。ま、ともかく無料漫画で見た時に、あ、これ俺じゃんって笑っちゃったよ。」
俺は身体の向きを変えると、じっと灰原さんの端正な顔を見つめて言った。
「灰原さんは、俺が灰原さんに執着しないから良いの?オメガに追いかけられるのに嫌気がさしてオメガ不感症になったんなら、俺が灰原さんを欲しがったら、嫌気さすんじゃないの?」
すると、灰原さんは俺の目を見て言った。
「…どうかな。私は岳くんが好きだからね。オメガ以前に。あの時、後ろ手で岳くんに締め上げられた時に、好きになっちゃったんだ。…昔私に付き纏ってきたあの子たちも本当はこんな感情が先だったのかな。そうだとしたら、岳くんに振り向いてもらえない私は、罰を受けているのかもしれないね。」
「ね、灰原さん。桂木先生が、灰原さんの事Ω不感症だって言ってた気がするんだけど、それってどういう事なんですか?」
俺はふと思い浮かんだことを尋ねてみた。あいつらに聞けないことも、灰原さんには聞けるのは、年上だってところが大きいのか、直ぐにお仕置きされないから安心して聞けるからなのか…。
普段ならすぐに答えてくれる灰原さんは少し黙りこむと、俺のネックガードの内側を指でなぞった。それヤバい。ゾワゾワするし、何かきちゃう。俺は手でガードを押さえてハッとして振り返った。
「ふふ、ここ怖い?オメガなら当たり前の反応だけどね。私は、昔からどうも人一倍フェロモンが強かったみたいでね、学生の頃は普通に教室に居るだけで、オメガはダイレクトにここで私のフェロモンを感じるって言うんだ。
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そんな事が続いたら、嫌になるだろう?上位アルファなんて言われても良い事なんてないよ。大体元々アルファに上位も下位もないんだ。だってそうだろ?番になる相手にとっては唯一の相手なんだから、そこに差異はないさ。」
俺はもう一度灰原さんの肩に寄り掛かって、ジャグジーの泡を手で叩いた。
「だったら俺はやっぱりレアケースでしょ。俺に必要なのは唯一の番じゃない。二人、もしくはそれ以上?灰原さんの知っての通り、俺の発情期、あいつらだけじゃ無理な気がする。あいつらも言わないけど、多分そう思ってるんだと思う。
変異Ωでフェロモンが強いだけじゃないよ。更に悪いことに、俺が最近までバリバリのβの山伏だったせいで、体力がすっごいんだよ。それなのに発情期でタガが外れたら、淫魔みたいになっちゃうんだ。知ってる?淫魔って。精力を喰らう妖怪?あ、悪魔かな…。ま、ともかく無料漫画で見た時に、あ、これ俺じゃんって笑っちゃったよ。」
俺は身体の向きを変えると、じっと灰原さんの端正な顔を見つめて言った。
「灰原さんは、俺が灰原さんに執着しないから良いの?オメガに追いかけられるのに嫌気がさしてオメガ不感症になったんなら、俺が灰原さんを欲しがったら、嫌気さすんじゃないの?」
すると、灰原さんは俺の目を見て言った。
「…どうかな。私は岳くんが好きだからね。オメガ以前に。あの時、後ろ手で岳くんに締め上げられた時に、好きになっちゃったんだ。…昔私に付き纏ってきたあの子たちも本当はこんな感情が先だったのかな。そうだとしたら、岳くんに振り向いてもらえない私は、罰を受けているのかもしれないね。」
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