60 / 197
バースの世界
放課後俺たちの行くところ
しおりを挟む
「で?誰の家に行く?」
俺は捕まった宇宙人の様に背の高いα二人に脇を固められて正門に向かって歩いていた。流石に最近は見慣れてきたのか、周囲の生徒たちも見て見ぬふりをしてくれている…はず。これじゃ、相川の予言した通りハーレムを築いていると思われてもしょうがない。
「…俺んち。今日父さん出張で帰ってこないし、長谷川さんはお孫さんの所へ行くって言ってたから、今日は来ない。」
俺の返事に、叶斗は高井に俺の頭越しに話しかけた。
「なぁ、お前アレ持ってる?俺抑制剤は持ってるけど、アレは2個しか無いんだよな。きっと岳は持ってないだろうし。」
高井はしばらく考え込みながら、ボソッと言った。
「俺も2つだな。家に帰れば一箱あるけど。じゃあ、先にバス停降りて取ってから岳の家に行く。」
俺は頭上で不穏な会話が交わされているのに気づかないふりをしていた。アレってやっぱりあれだよなぁ。どうせ俺は持ち歩いてないし、そもそも、持っていたとしてもこいつらとはサイズが違うんじゃない!?くそが。
「あれ?岳が凄く機嫌悪いなぁ。どーした岳。怖くなっちゃったか?でも今更キャンセルとかやめようね?俺、もう後戻りできないからさ。」
そう言って俺を覗き込む叶斗は、うっそりと色気を撒き散らしていた。俺はドキンとしてしまったけれど、高井の声に我に返った。
「おい、こんな所で岳刺激したらヤバいって。俺たちも煽られるから。」
「…本当、叶斗は考えなし。それに俺だってアレくらい持ってるし。」
そうカミングアウトした俺に何故か高井が食いついてきた。
「…へえ。岳は誰とそれを使おうとした訳?」
俺は丁度到着したバスに慌てて乗り込んだ。うっかりやぶ蛇になる所だった。目つきの悪い2人のガタイの良いαがバスに乗り込むと、乗客が注目するのがいやがおうにも分かった。
俺は一番奥の座席に座って、隣に2人が座るのを待って言った。
「とにかく、細かい事は良いから。もう俺何も言わないからな。」
そう言って俺は腕を組んで目を閉じた。…心頭滅却成せばなる。さっきの叶斗が何かしたに違いない。自分の身体の奥からじわじわと焦燥感が湧いてきていた。不味い。これは不味い感覚だ。
隣に座った2人が身じろぎしたのが分かった。
「まじか。勘弁してよ、岳…。」
そう叶斗が甘い声で言ったけど、俺にもどうしようもないんだってば!心頭滅却!
俺は捕まった宇宙人の様に背の高いα二人に脇を固められて正門に向かって歩いていた。流石に最近は見慣れてきたのか、周囲の生徒たちも見て見ぬふりをしてくれている…はず。これじゃ、相川の予言した通りハーレムを築いていると思われてもしょうがない。
「…俺んち。今日父さん出張で帰ってこないし、長谷川さんはお孫さんの所へ行くって言ってたから、今日は来ない。」
俺の返事に、叶斗は高井に俺の頭越しに話しかけた。
「なぁ、お前アレ持ってる?俺抑制剤は持ってるけど、アレは2個しか無いんだよな。きっと岳は持ってないだろうし。」
高井はしばらく考え込みながら、ボソッと言った。
「俺も2つだな。家に帰れば一箱あるけど。じゃあ、先にバス停降りて取ってから岳の家に行く。」
俺は頭上で不穏な会話が交わされているのに気づかないふりをしていた。アレってやっぱりあれだよなぁ。どうせ俺は持ち歩いてないし、そもそも、持っていたとしてもこいつらとはサイズが違うんじゃない!?くそが。
「あれ?岳が凄く機嫌悪いなぁ。どーした岳。怖くなっちゃったか?でも今更キャンセルとかやめようね?俺、もう後戻りできないからさ。」
そう言って俺を覗き込む叶斗は、うっそりと色気を撒き散らしていた。俺はドキンとしてしまったけれど、高井の声に我に返った。
「おい、こんな所で岳刺激したらヤバいって。俺たちも煽られるから。」
「…本当、叶斗は考えなし。それに俺だってアレくらい持ってるし。」
そうカミングアウトした俺に何故か高井が食いついてきた。
「…へえ。岳は誰とそれを使おうとした訳?」
俺は丁度到着したバスに慌てて乗り込んだ。うっかりやぶ蛇になる所だった。目つきの悪い2人のガタイの良いαがバスに乗り込むと、乗客が注目するのがいやがおうにも分かった。
俺は一番奥の座席に座って、隣に2人が座るのを待って言った。
「とにかく、細かい事は良いから。もう俺何も言わないからな。」
そう言って俺は腕を組んで目を閉じた。…心頭滅却成せばなる。さっきの叶斗が何かしたに違いない。自分の身体の奥からじわじわと焦燥感が湧いてきていた。不味い。これは不味い感覚だ。
隣に座った2人が身じろぎしたのが分かった。
「まじか。勘弁してよ、岳…。」
そう叶斗が甘い声で言ったけど、俺にもどうしようもないんだってば!心頭滅却!
39
お気に入りに追加
1,371
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
【完結】嘘はBLの始まり
紫紺(紗子)
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。
突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった!
衝撃のBLドラマと現実が同時進行!
俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡
※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる