54 / 197
オメガの自覚
叶斗side残り香
しおりを挟む
「岳君だったかしら。綺麗な子だったわね。」
そう言って俺と夕食後のコーヒーを飲みながら、母さんはカップ越しに俺を伺い見た。俺は母さんが岳の事をどう思ったか興味があったので、敢えて尋ねてみた。
「母さんはΩの友達が多いだろう?岳は変異Ωだから、普通のΩとはやっぱり違う感じする?」
母さんは俺の顔を面白そうに見つめて言った。
「そうね、岳君は何て言うか不思議な感じがするわね。パッと見、綺麗なβといった感じだけど…。でも、何か気になるのよ。違和感?かと言ってΩの儚げな感じもしないし。
叶斗が岳君に執着するのが分かる気がするわ。何て言うか放っておけない可愛さっていうか。」
俺は母親と恋バナをする気はなかったけど、変異Ωの岳への感じ方は興味深かった。部屋に戻った俺は、高一の頃に岳と一緒に無理やり撮ったスマホの中の画像を見つめた。
そこには愛想も何も無い顔をした岳が俺に絡まれて一緒に画像に入っている。俺がこの画像をみて岳がΩなんじゃないかと疑ったんだ。今と同一人物かと言われたら、どうだろうと首を傾げる岳がそこに写っていた。
今と違って、そこには険しい顔の隙のなさそうなβの男が写っていた。俺は今日この部屋に居た岳を思い出した。あいつ、確実にやわらかい表情になった。昔は人を寄せ付けなかったけれど、今はそうでもない。そして綺麗になった。
Ωホルモン値が上がると、肌のキメも良くなって色も白くなるって聞いたことはあったけれど、あの岳の潤んだ瞳が俺の身体を熱くさせるんだ。今も部屋に岳の甘い香りが漂っていた。
俺は岳の切羽詰まった言葉、濡れてしまうという叫びを思い出して思わず一人で笑ってしまった。ほんと可愛いんだから。でも、そうなると俺たちは岳とキスしか出来ないって事になる。
俺はため息を吐いてベッドに寝転がった。女にも男にも苦労しない俺が、たった一人の男に振り回されている。それは何だか笑ってしまう様な、胸の奥が疼いてくる様な、何とも表現しずらい気持ちだった。
そうは言っても、俺だって18歳の若い身体を持った男だ。何とか先に進まないと、無理矢理押し倒すことになりかねない。キスしてる最中の蕩けた岳が、あの耳を騒つかせる甘い声で俺を欲しがって強請ってくれたらいいのに…。
俺は自分の逸物が兆し始めたのを感じて、股間に目をやりながら呟いた。
「お前も想像力だけじゃ限界があるよな?」
そう言って俺と夕食後のコーヒーを飲みながら、母さんはカップ越しに俺を伺い見た。俺は母さんが岳の事をどう思ったか興味があったので、敢えて尋ねてみた。
「母さんはΩの友達が多いだろう?岳は変異Ωだから、普通のΩとはやっぱり違う感じする?」
母さんは俺の顔を面白そうに見つめて言った。
「そうね、岳君は何て言うか不思議な感じがするわね。パッと見、綺麗なβといった感じだけど…。でも、何か気になるのよ。違和感?かと言ってΩの儚げな感じもしないし。
叶斗が岳君に執着するのが分かる気がするわ。何て言うか放っておけない可愛さっていうか。」
俺は母親と恋バナをする気はなかったけど、変異Ωの岳への感じ方は興味深かった。部屋に戻った俺は、高一の頃に岳と一緒に無理やり撮ったスマホの中の画像を見つめた。
そこには愛想も何も無い顔をした岳が俺に絡まれて一緒に画像に入っている。俺がこの画像をみて岳がΩなんじゃないかと疑ったんだ。今と同一人物かと言われたら、どうだろうと首を傾げる岳がそこに写っていた。
今と違って、そこには険しい顔の隙のなさそうなβの男が写っていた。俺は今日この部屋に居た岳を思い出した。あいつ、確実にやわらかい表情になった。昔は人を寄せ付けなかったけれど、今はそうでもない。そして綺麗になった。
Ωホルモン値が上がると、肌のキメも良くなって色も白くなるって聞いたことはあったけれど、あの岳の潤んだ瞳が俺の身体を熱くさせるんだ。今も部屋に岳の甘い香りが漂っていた。
俺は岳の切羽詰まった言葉、濡れてしまうという叫びを思い出して思わず一人で笑ってしまった。ほんと可愛いんだから。でも、そうなると俺たちは岳とキスしか出来ないって事になる。
俺はため息を吐いてベッドに寝転がった。女にも男にも苦労しない俺が、たった一人の男に振り回されている。それは何だか笑ってしまう様な、胸の奥が疼いてくる様な、何とも表現しずらい気持ちだった。
そうは言っても、俺だって18歳の若い身体を持った男だ。何とか先に進まないと、無理矢理押し倒すことになりかねない。キスしてる最中の蕩けた岳が、あの耳を騒つかせる甘い声で俺を欲しがって強請ってくれたらいいのに…。
俺は自分の逸物が兆し始めたのを感じて、股間に目をやりながら呟いた。
「お前も想像力だけじゃ限界があるよな?」
39
お気に入りに追加
1,380
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
猫ばっかり構ってるからと宮廷を追放された聖女のあたし。戻ってきてと言われてももう遅いのです。守護結界用の魔力はもう別のところで使ってます!
友坂 悠
ファンタジー
あたし、レティーナ。
聖女だけど何もお仕事してないって追放されました。。
ほんとはすっごく大事なお仕事してたのに。
孤児だったあたしは大聖女サンドラ様に拾われ聖女として育てられました。そして特別な能力があったあたしは聖獣カイヤの中に眠る魔法結晶に祈りを捧げることでこの国の聖都全体を覆う結界をはっていたのです。
でも、その大聖女様がお亡くなりになった時、あたしは王宮の中にあった聖女宮から追い出されることになったのです。
住むところもなく身寄りもないあたしはなんとか街で雇ってもらおうとしますが、そこにも意地悪な聖女長さま達の手が伸びて居ました。
聖都に居場所の無くなったあたしはカイヤを連れて森を彷徨うのでした……。
そこで出会った龍神族のレヴィアさん。
彼女から貰った魔ギア、ドラゴンオプスニルと龍のシズクを得たレティーナは、最強の能力を発揮する!
追放された聖女の冒険物語の開幕デス!
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。
美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる