33 / 197
オメガ降臨
お前のせいか!
しおりを挟む
なぜに二人は睨み合っているんだ?ここはスルーすべきかもしれない…。俺は弁当を喉につかえながら黙々と食べ続けた。く、空気が重い!すると弁当だけに集中していた俺に、色気のある垂れ目を細めて叶斗が妙に優しい声で話し掛けてきた。
「がーく?俺が入学当初から岳の側に居たから、岳の変異が早まったんだよね?」
俺は眉を顰めて叶斗の満足気な顔を見上げた。…そうなんだろうか。確かに高校に入ってから成長が緩慢になってしまった。身長も172cmで止まってしまった。くそっ、こいつのせいだったのか。
「え…。お前のせいで俺の身長止まったってこと?はー、まじで。うざ。」
そう言って叶斗を睨むと、叶斗は慌てて何か言い訳がましい事をあれこれ言い出した。それを見ていた高井が俯いてクスクス笑い始めたと思ったら、堪えきれない様に爆笑して腹を抱えて笑い始めた。
俺と叶斗は眉を顰めて場違いな笑いに包まれている高井を見つめた。高井は目尻の涙を指で拭うと俺に言った。
「岳、お前ってほんと最高だな。本当にオメガか?俺の知ってるΩと全然違うんだけど。…それに、お前がネックガードしたのって俺にキスしたせいだよな?」
「に」を強調した高井は笑いながらも叶斗に挑戦的な眼差しを向けた。え、それここで言う?確かに高井とのキスがきっかけではあったけど、別に近いうちにネックガードを使用するつもりだったけど…。俺はぼんやりそんな事を思いつつも隣に座った叶斗の醸しだす空気が変わったのを感じた。
「は、何それ。高井に岳がキスした?岳、それほんと?」
俺は叶斗にがっちり腕を掴まれて、強張った叶斗の顔を見上げた。なんかめちゃめちゃ怒ってる…。俺はなぜ叶斗に言い訳しなくちゃいけないのか分からなかったけど、叶斗の剣幕に慄いてしどろもどろに言った。
「あ、週末に白路山の山駆けの帰りにバッタリ高井に会ったんだ。それで暇なら家に遊びにこいって言うから。他にも誰か居るって言ったから、まぁ保健室の件もあるし断れなくて遊びに行ったんだけど…。
うっかり眠っちゃって。久しぶりの山駆けで疲れちゃったんだな。…気づいたら、俺高井にのし掛かってキスしちゃってて。俺にも訳分かんないけど。」
叶斗はジトっと高井を睨みつけると、俺の腕を掴んで言った。
「よく知りもしない男について行っちゃダメでしょ!絶対この男が何かしたんだよ。…俺も岳と遊びたい!一緒に遊びに行きたい!」
うーん、アイドルみたいなガタイの良い男が駄々こねると怖いくらい迫力があるな。俺は叶斗のしつこさはよく知っていたし、まぁずっと友達してくれていたのには感謝していたので諦めて言った。
「…分かった。じゃあ今度一緒に山駆け行こう。」
あれ、眉間に皺寄ってるけど、一緒に遊びたいんじゃなかったのか?
「がーく?俺が入学当初から岳の側に居たから、岳の変異が早まったんだよね?」
俺は眉を顰めて叶斗の満足気な顔を見上げた。…そうなんだろうか。確かに高校に入ってから成長が緩慢になってしまった。身長も172cmで止まってしまった。くそっ、こいつのせいだったのか。
「え…。お前のせいで俺の身長止まったってこと?はー、まじで。うざ。」
そう言って叶斗を睨むと、叶斗は慌てて何か言い訳がましい事をあれこれ言い出した。それを見ていた高井が俯いてクスクス笑い始めたと思ったら、堪えきれない様に爆笑して腹を抱えて笑い始めた。
俺と叶斗は眉を顰めて場違いな笑いに包まれている高井を見つめた。高井は目尻の涙を指で拭うと俺に言った。
「岳、お前ってほんと最高だな。本当にオメガか?俺の知ってるΩと全然違うんだけど。…それに、お前がネックガードしたのって俺にキスしたせいだよな?」
「に」を強調した高井は笑いながらも叶斗に挑戦的な眼差しを向けた。え、それここで言う?確かに高井とのキスがきっかけではあったけど、別に近いうちにネックガードを使用するつもりだったけど…。俺はぼんやりそんな事を思いつつも隣に座った叶斗の醸しだす空気が変わったのを感じた。
「は、何それ。高井に岳がキスした?岳、それほんと?」
俺は叶斗にがっちり腕を掴まれて、強張った叶斗の顔を見上げた。なんかめちゃめちゃ怒ってる…。俺はなぜ叶斗に言い訳しなくちゃいけないのか分からなかったけど、叶斗の剣幕に慄いてしどろもどろに言った。
「あ、週末に白路山の山駆けの帰りにバッタリ高井に会ったんだ。それで暇なら家に遊びにこいって言うから。他にも誰か居るって言ったから、まぁ保健室の件もあるし断れなくて遊びに行ったんだけど…。
うっかり眠っちゃって。久しぶりの山駆けで疲れちゃったんだな。…気づいたら、俺高井にのし掛かってキスしちゃってて。俺にも訳分かんないけど。」
叶斗はジトっと高井を睨みつけると、俺の腕を掴んで言った。
「よく知りもしない男について行っちゃダメでしょ!絶対この男が何かしたんだよ。…俺も岳と遊びたい!一緒に遊びに行きたい!」
うーん、アイドルみたいなガタイの良い男が駄々こねると怖いくらい迫力があるな。俺は叶斗のしつこさはよく知っていたし、まぁずっと友達してくれていたのには感謝していたので諦めて言った。
「…分かった。じゃあ今度一緒に山駆け行こう。」
あれ、眉間に皺寄ってるけど、一緒に遊びたいんじゃなかったのか?
49
お気に入りに追加
1,371
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
【完結】嘘はBLの始まり
紫紺(紗子)
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。
突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった!
衝撃のBLドラマと現実が同時進行!
俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡
※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる