ちょっと味見したかっただけですわ〜伯爵令嬢の無謀な婚活〜

社交界の華

試みの暴露

わたくしは家族に王弟閣下との繋がりを聞かれて、思わず相談内容まで暴露してしまいましたわ。わたくしの中では大したことではなかったのですけれど、言い方が悪かったのでしょうか。家族が動揺しているようでしたので、わたくしはもう一度言い直しました。

「コホン。少し誤解させる様な言い方をしてしまいましたわ。」


お父様、お母様、お兄様達が、呆然とした表情から、ハッと意識を取り戻しました。そしてお互いに顔を見合わせて、きっと空耳だったのだと何やら慰めあっています。わたしくは皆が落ち着くのを待って、詳しく、分かりやすく説明しました。

「わたくし、結婚相手を選ぶ時に一緒に居て楽しいだとか、経済状態が素晴らしいだとか、素敵な方であるとか、勿論それも大事だということはよく分かってるんですの。」

わたくしは家族を前に、論者の気分でゆっくりと歩きながら、それぞれの顔を見つめながら言いました。


「勿論、お父様がわたくしの意に染まないお相手と、無理強いして結婚させる様な事はしないと思っていますわ。ですからこそ、お父様、お母様のためにもわたくしが心から幸せを感じることの出来るお相手を選びたかったんですの。

そこで考えたのが、身体の相性ですわ。わたくしのお姉様方の言うには、とろける様な口づけをするだけで、その方との相性が良いか、そうでも無いかが感じ取れるそうですの。ですからそれを実行しているのですわ。

ただ、ロビン様とお試ししている時にうっかり王弟閣下に見つかってしまって、心配した閣下にお試しを逐一報告する代わりに、アドバイスを頂けるとの事でしたの。お分かりになってくださったかしら？」


わたくしは壇上で論じたかの様な興奮を覚えながら、家族の顔を見回しました。お父様はこころなしか青ざめており、お母様は少し興奮して赤い顔をしています。アンソニーお兄様は口に手を当てて何やら考え込んでいる様でしたし、マイケルお兄様は赤い顔で頭を抱えていました。


静まり返ったファミリールームの静寂を破ったのはお父様でした。

「…それで、マリーはこれからも王弟閣下に…報告とやらをする予定なのかね？」

わたくしは頬に手を当てて首を傾げて考え込みました。

「いいえ。もうこの試みがバレてしまったのですから、これからは、お父様か、お母様か、アンソニーお兄様か、マイケルお兄様に詳しくご相談しますわ。」

わたくしがにっこり微笑んで顔を見合わせようとしましたが、誰一人わたくしと目を合わせてくださりませんでしたの。


わたくしはこれからどなたに相談すれば良いのでしょうか？