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変わった令嬢
秘密の夜会の獲物は
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両親に連れられて、名付け親である公爵家の秘密の夜会に参加しましたわ。公式でないとはいえ、はじめての夜会は緊張感がありながらも、心躍る経験だったんですの。
わたくしは少し緊張しつつ、ホールに佇んで次なるターゲットを物色していましたの。私が狙うまもなく、ワークス侯爵家の次男である、白騎士のロビン様がエスコートに来てくださいました。なんでも先日わたくしがマイケルお兄様のところへ慰問へ訪れた際に、わたくしのことを見かけたらしいのです。まぁ!タネは撒いておくものですわね?
わたしくはいつもの様に、ロビン様をテラスに誘い出してお味見に勤しみましたわ。ロビン様はさすが侯爵家だけあって、お育ちが良いのか紳士的な振る舞いでしたの。ちょっと手こずりましたけど、優しい口づけを堪能いたしました。わたくしはもう少し深い口づけを試したくて、こう囁きましたの。
「…ロビン様、ロビン様の口づけは蜂蜜のように甘くて美味しいですわ。もっとください…。」
そう言って自分の唇を舐めました。わたくしの赤い舌を見て我慢できる殿方はいらっしゃいません。それからのロビン様は人が変わった様にわたくしを貪りましたの。わたくしはこのままだと、夜会に戻れない有様になりそうで焦ってしまいました。我を忘れたロビン様の首筋に、喘いだ弾みを装って爪を立てて正気に戻っていただきましたわ。煽りすぎるのも困ったことになるのですね。
はしたなく乱れた姿になる前に、無事夜会のホールに戻ってから、先程からわたくしをじっと見つめる紳士に気づきました。その方は多分スタイルが良いのでしょうね。スラリとした姿は目立っていましたが、いかんせんお顔がいけません。
長めの銀色の前髪が目元を隠して、その上お髭で顔立ちがよく見えないのです。年齢は20代とも50代とも言える様で、私は怪しく感じました。
しかし、わたくしは直ぐにその方のことは忘れてしまいました。それからしばらくして夜会の主催者である名付け親のジークおじ様が、是非わたくしから挨拶をしてほしい人物が居るのだとおっしゃるので、わたくしは喜んでお役に立てるのならと快諾致しました。
そう、それがよりに寄って怪しさ満載のあの髭の人物だったんですの!
わたくしは少し緊張しつつ、ホールに佇んで次なるターゲットを物色していましたの。私が狙うまもなく、ワークス侯爵家の次男である、白騎士のロビン様がエスコートに来てくださいました。なんでも先日わたくしがマイケルお兄様のところへ慰問へ訪れた際に、わたくしのことを見かけたらしいのです。まぁ!タネは撒いておくものですわね?
わたしくはいつもの様に、ロビン様をテラスに誘い出してお味見に勤しみましたわ。ロビン様はさすが侯爵家だけあって、お育ちが良いのか紳士的な振る舞いでしたの。ちょっと手こずりましたけど、優しい口づけを堪能いたしました。わたくしはもう少し深い口づけを試したくて、こう囁きましたの。
「…ロビン様、ロビン様の口づけは蜂蜜のように甘くて美味しいですわ。もっとください…。」
そう言って自分の唇を舐めました。わたくしの赤い舌を見て我慢できる殿方はいらっしゃいません。それからのロビン様は人が変わった様にわたくしを貪りましたの。わたくしはこのままだと、夜会に戻れない有様になりそうで焦ってしまいました。我を忘れたロビン様の首筋に、喘いだ弾みを装って爪を立てて正気に戻っていただきましたわ。煽りすぎるのも困ったことになるのですね。
はしたなく乱れた姿になる前に、無事夜会のホールに戻ってから、先程からわたくしをじっと見つめる紳士に気づきました。その方は多分スタイルが良いのでしょうね。スラリとした姿は目立っていましたが、いかんせんお顔がいけません。
長めの銀色の前髪が目元を隠して、その上お髭で顔立ちがよく見えないのです。年齢は20代とも50代とも言える様で、私は怪しく感じました。
しかし、わたくしは直ぐにその方のことは忘れてしまいました。それからしばらくして夜会の主催者である名付け親のジークおじ様が、是非わたくしから挨拶をしてほしい人物が居るのだとおっしゃるので、わたくしは喜んでお役に立てるのならと快諾致しました。
そう、それがよりに寄って怪しさ満載のあの髭の人物だったんですの!
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