13 / 59
変わった令嬢
お父様の提案
しおりを挟む
最近のわたくし宛の熱心な贈り物攻撃に、お父様は少し心配顔、でも本心はとても誇らしげですわ。
「可愛いマリー。お前の美しさ、愛しさはデビュー前だというのに、王都で評判と見える。我が妻を愛する私もそうだったが、お前に恋慕する紳士達にとってみれば、大変な苦労をするに違いないな。ハハハ。」
お父様はそこまでお話になって、満足気にひと口お茶を嗜むと、わたくしに微笑んでこうおっしゃいました。
「実は、アンナマリーの噂を聞きつけて、私の友人が秘密の夜会を開くので、デビュー前だが是非マリーに来て欲しいとごねてしまったのだ。マリーは本来はまだ夜会へは出られないが、秘密の夜会なら大丈夫だ。最近はそうやって事前に軽めのお披露目をしている家がほとんどだからな。私はずっと断っていたのだが、さすがに公爵家の要請で断れなくてな。」
黙って聞いていたお母様が、急に顔を綻ばせてお父様にお聞きになりました。
「まぁ、もしかしてシェリルの?」
「ああ、愛しの奥様。君も喜ぶと思って内緒にしていたんだ。」
そう言うと、お父様は立ち上がってお側に寄られると、優しくお母様を見つめながらお母様の髪を掬うと愛しげに口づけました。わたくしはこのお二人の様に、ずっと変わらない愛情を交わし合う相手と巡り会いたいとずっと思っていました。
今、私がある意味無謀な事をしているのも、ひとえにその為でもあるのですわ。人生は一度きり。この貴族社会では死別でもしなければ、二度目の恋は出来ません。勿論人目に隠れての遊びでの恋愛ごっこはあるでしょうが、私は結婚相手には永遠の愛を捧げたいと思っているのですわ。そして相手にも同じだけの愛を返してもらいたいのです。
それが贅沢なのか、無謀な事なのか…。でもわたくしの人生ですもの、わたくしの思う様に生きてみたいですわ。
それからお母様とわたくしは忙しい毎日を送りました。非公式の夜会とはいえ、公爵家主催です。しかも公爵夫人とお母様は昔ながらの親友とのことでした。もしかして小さい頃に良く遊んでいただいたシェリルおばさまだとはわたくしも失念していました。しかもお母様のお友達ですもの、きっと未だに美魔女に違いありませんわ。わたくしの成長を見て喜んでいただける様に、お洒落に気は抜けませんわ。
わたくしとお母様、そして美容担当の使用人たちは本当に張り切ったのでございます。そしてその夜はやって来ました。
「可愛いマリー。お前の美しさ、愛しさはデビュー前だというのに、王都で評判と見える。我が妻を愛する私もそうだったが、お前に恋慕する紳士達にとってみれば、大変な苦労をするに違いないな。ハハハ。」
お父様はそこまでお話になって、満足気にひと口お茶を嗜むと、わたくしに微笑んでこうおっしゃいました。
「実は、アンナマリーの噂を聞きつけて、私の友人が秘密の夜会を開くので、デビュー前だが是非マリーに来て欲しいとごねてしまったのだ。マリーは本来はまだ夜会へは出られないが、秘密の夜会なら大丈夫だ。最近はそうやって事前に軽めのお披露目をしている家がほとんどだからな。私はずっと断っていたのだが、さすがに公爵家の要請で断れなくてな。」
黙って聞いていたお母様が、急に顔を綻ばせてお父様にお聞きになりました。
「まぁ、もしかしてシェリルの?」
「ああ、愛しの奥様。君も喜ぶと思って内緒にしていたんだ。」
そう言うと、お父様は立ち上がってお側に寄られると、優しくお母様を見つめながらお母様の髪を掬うと愛しげに口づけました。わたくしはこのお二人の様に、ずっと変わらない愛情を交わし合う相手と巡り会いたいとずっと思っていました。
今、私がある意味無謀な事をしているのも、ひとえにその為でもあるのですわ。人生は一度きり。この貴族社会では死別でもしなければ、二度目の恋は出来ません。勿論人目に隠れての遊びでの恋愛ごっこはあるでしょうが、私は結婚相手には永遠の愛を捧げたいと思っているのですわ。そして相手にも同じだけの愛を返してもらいたいのです。
それが贅沢なのか、無謀な事なのか…。でもわたくしの人生ですもの、わたくしの思う様に生きてみたいですわ。
それからお母様とわたくしは忙しい毎日を送りました。非公式の夜会とはいえ、公爵家主催です。しかも公爵夫人とお母様は昔ながらの親友とのことでした。もしかして小さい頃に良く遊んでいただいたシェリルおばさまだとはわたくしも失念していました。しかもお母様のお友達ですもの、きっと未だに美魔女に違いありませんわ。わたくしの成長を見て喜んでいただける様に、お洒落に気は抜けませんわ。
わたくしとお母様、そして美容担当の使用人たちは本当に張り切ったのでございます。そしてその夜はやって来ました。
10
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
虐殺者の称号を持つ戦士が元公爵令嬢に雇われました
オオノギ
ファンタジー
【虐殺者《スレイヤー》】の汚名を着せられた王国戦士エリクと、
【才姫《プリンセス》】と帝国内で謳われる公爵令嬢アリア。
互いに理由は違いながらも国から追われた先で出会い、
戦士エリクはアリアの護衛として雇われる事となった。
そして安寧の地を求めて二人で旅を繰り広げる。
暴走気味の前向き美少女アリアに振り回される戦士エリクと、
不器用で愚直なエリクに呆れながらも付き合う元公爵令嬢アリア。
凸凹コンビが織り成し紡ぐ異世界を巡るファンタジー作品です。
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話
束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。
クライヴには想い人がいるという噂があった。
それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。
晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる