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運命

美しい檻※

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 うーん、これは不味い状況かもしれない。僕は美しい部屋の中から噴水のある中庭を眺めていた。リラックスした様子で皇太子がソファに座ったけれど、ここはどう考えても皇太子の私室という感じだ。

「リアン、そこから噴水が見えるだろう?私はいつもこの中庭が唯一一人になれる場所だったんだ。満月の夜に君に似た相手に出会ったのも、あの噴水の水面下だよ。」

 
 そう思いがけないことを言われて、僕は興味深げに噴水をじっと見つめた。皇太子の話が本当なら、エルフの国とあの噴水は繋がっているってことになる。僕は振り返って皇太子に言った。

「あの、ルキアス。近くで見ても良いかな?」

 ルキアスは微笑むと、立ち上がってテラスに続く扉を開けた。美しい石畳が中庭へと続いている。僕はルキアスに手を引かれて興味深げに辺りを見回しながら歩き進んだ。


 「…ここは素敵な所だね。でも囲いがあるから、ちょっと窮屈な感じもするけど。」

 ルキアスは感情の読めない表情をして呟いた。

「ああ、美しさで隠されているけど、ここは言わば籠の中なんだよ。王族というのは富や権力と引き換えに、重い足枷をつけている様なものだ。背中に大きな翼があっても自由に飛ぶことさえ叶わない。」

 人間の世界は想像よりも窮屈だと同情しつつ、エルフの王族はそうでも無いけどと僕は心の中で返事をしながら噴水まで近寄った。遠目より大きな噴水は今は水が止まっていて綺麗な水が溜まっている。


 「満月のあの日から、私は満月が近づくと水を止めているんだ。あれから何年も経つというのに、私は未だにこの向こうに顔を覗かせた彼を忘れられない。

 この前、リアンが私の心のしこりを解き放つ協力をしてくれただろう?だが、リアンと君はあまりにも似過ぎていて、なんて言うか…。」

 そこで皇太子が言葉を止めてしまったので、僕は首を傾げて彼を仰ぎ見た。

 ルキアスの星屑の様な灰色の瞳は、僕が視線をそらす事など許さなかった。僕は魔法が掛かったみたいに頭が痺れる気がして、身体の裏側を這い上がる何かにゾクゾクとして息が出来ない。


 その経験のない緊張感と欲望が、ルキアスの腕の中に抱きしめられた瞬間解き放たれた気がするのは錯覚だろうか。

 唇を覆うルキアスの熱が僕を焼き切ってしまった。僕はルキアスが与えてくれる甘い舌遣いに夢中になって、今度はもっと欲しがった。僕がルキアスの首にしがみつくと、ルキアスは何度も僕の名前を呼びながら抱き上げて口づけを続けた。

 だから私室の内扉の向こうの寝室のベッドに下ろされた時には、僕はすっかり待てなくなっていたのだし、ルキアスはギラつく眼差しで僕に覆い被さって掠れた声で言った。


 「リアンが欲しい。お願いだ。今君を手放したら、苦しみで血を吐きそうだ。」

 すっかり興奮した身体を自覚していた僕は、ルキアスの首を引き寄せて甘く囁いた。

「…難しいことは言わないで。何も考えないで僕を奪ってよ。」

 それが僕らの合図だった。僕はルキアスが手早く衣装を脱いでいくのをドキドキしながら眺めた。裸になると想像以上に逞しいルキアスは、臍に向かって立ち上がっている自身も馬鹿みたいに存在感があった。


 僕はルキアスのシンボルがビクビクと揺れるのを楽しく眺めながら、ゆっくりとズボンと脱いだ。元々今日は薬草の担当者に会うだけだったので、ズボンとブラウスしか着ていない。

 待ちきれなかったのか、ルキアスがベッドに乗り込んで僕にのしかかると、うめく様に呟いた。

「ああ、想像と違ってた。そんな目で見つめられたら爆発してしまう。なんて色っぽいんだ、リアン…。」

 僕も馬鹿みたいに興奮していた。やっぱり僕はルキアスに恋をしていたのかな。記憶は無くしても、僕の身体中の血が逆流している様に暴れ回っている。


 ルキアスに脱がされたブラウスは肘で丸まって、胸をじっとしてられないくらい口づけるせいで僕は大きく喘いだ。

「リアン、可愛いリアン…!」

 僕の身体中に口づけるルキアスのせいで、後ろの疼きは酷くなって、欲しくて欲しくて僕は頭がおかしくなりそうだった。

「ルキアス、挿れて…!お願いっ。」

 僕の懇願にルキアスは僕に経験が有ると分かったんだろう。引き出しから香油の様なものを出して手のひらにたっぷり出した。


 「リアンは天使だと思っていたけど、堕天使だったのかい?堪らないね…。」

そうギラついた顔で呟くと、香油を僕のひくつく下半身にゆっくりと塗り広げた。指先で優しくマッサージされて、僕は物足りなさに叫び出しそうだった。

だからルキアスの指が僕を犯した時には、僕ははしたなく腰を揺らめかせて強請ってしまった。だからそれを見たルキアスが余裕を無くして指の動きを激しくしたのは、僕の自業自得だ。


 「ああっ!ルキアスっ!いいっ、あん、気持ちいいっ。」

僕は決して欲望の強い方ではないと思うのに、慣らされた僕の身体はあっという間にスイッチが入って、貪欲さは果てしなくなった。高められて弾け飛ぶ一歩手前でルキアスはぬとりと僕から指を引き抜いて、ぼんやりと見上げる僕にかがみ込んだ。

それから汗ばんだ身体を寄せて、自分の熱くなった杭を僕のすっかり弛んだ窄みに撫でるように押し当てた。

「くそ、こんなに吸い付いてきたら、一気に挿れてしまいそうだ。リアンは私をどうしたいんだ。」

それは興奮と喜び、そして一抹の恐怖さえ感じるルキアスの口調だった。僕もまるで同じ気持ちだったから何処かしらホッとして、ルキアスの興奮で強張った頬を指先でなぞって甘く囁いた。


 「きて…、ルキアス。僕を味わって…!」









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