エルフの国の取り替えっ子は、運命に気づかない

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
上 下
13 / 49
エルフの国

若者side嘆きのマダー

しおりを挟む
「そうですねえ…次は結界かバフ、デバフが良いと思っていましたけど、新たに加わった【上級開放スキル】が良いですね」
「これはどう言ったものなのですか?」
「単体ですと、雷や氷魔法が使える様になります。
時空魔法などの一部の魔法では、このスキルが無いと習得できないものも出てきます。
勿論このスキルが有っても、熟練度が足りないと意味はありませんが」

成る程です。
熟練度を上げて、尚且つこのスキルが有れば、難しい魔法も使える、と言うことですね。
「なら今回はこのスキルと交換して、次は結界かバフ、デバフと言うものと交換すれば良いですかねえ」
確認をすると、アインは頷きました。

アインについつい聞いてしまいますけど、自分で調べるのも大切ですよね。
バフ、デバフとは何なのかは、後ほどタブレットで調べましょう。
今回は【上級開放スキル】を交換……、よし、完了ですね。

雷魔法など、ちょっと惹かれますよね。
それに時空魔法の上級編も気になります。
まずは熟練度を上げるため、マジックバックをどんどん使いましょう。


昼からもどんどん進みます。
若返ったからなのか、なかなか疲れることもなく、歩いていけますねえ。
「我が強化魔法をかけてやっておるからだ」
ブルースに言われました。

確か【身体強化魔法】で、これがいわゆる【バフ魔法】の一つなんですよね。
魔法強化や、スピードアップなど、タブレットで調べたら色々ありました。
アインが勧める理由もわかります。

魔法やタブレットの熟練度を上げて、色々な場所を旅して、家族も増やして、幸せになって…やる事が沢山ありますねえ。
時間はたっぷりあるのですから、焦らずいきましょう。


体感的に、昼食から3時間ほど経った頃、空を飛んでいたチャックが降りて来ました。

「少し進んだところに太尾犬が居るけど、多分魔化してる」
魔化した犬?魔獣と言うやつですね。

「群ですか?」
「いや、一匹しか見当たらないよ」
アインが尋ねると、チャックが答えます。
その答えを聞いてシナトラが、
「じゃあ僕がやっつけていい?」
と申し出てきました。

「太尾ならシナトラでも大丈夫だろう。
腕試しの実践だ、やってみるが良い。
いざとなれば我が助太刀してやるからな」
「太尾はすばしっこいですから、スピードアップのバフをかけておきましょう」
剣を構えるシナトラに、アインがバフ魔法をかけると、チャックが犬の居る位置へ誘導します。

「その木の後ろ、5歩程行ったところで獲物を食べているよ」
「ん、血の匂いがするから、そこに居るんだね」
流石獣人ですね、血の匂いなんて私にはわかりませんよ。

足音を消し、犬の居ると言われた場所に近づくと、一気に駆け出し剣を振り下ろしました。
どうやら一太刀で仕留めた様で、体を起こしたシナトラが手招きしています。
「ほら、一撃で仕留めたよ!
僕凄い?」

近寄ると流石に私にも血の匂いは分かりました。
覗いて見ると、首を刎ねられた【太尾犬】とは狐の様です。
どうやらネズミを食べていた様で、刎ねられ転がった首の口元は血に濡れています。
見開かれた目は、口元の血の様に真っ赤です。
赤い目…魔獣の証ですよね。
確か魔獣って………。

私は狐…太尾を鑑定してみました。


【魔獣・太尾犬の死骸
魔獣化した太尾犬、食べられます。
血抜きをする事で、過剰分な魔素が薄れるが、食べ過ぎると魔化する事があるのでご注意を。
心臓内に魔石有り 】


血抜きをするのですか…逆さに吊るせば良いですかねえ。
食べ過ぎに注意しないと怖い事になるのですね。
肝に銘じておきましょう。

血抜きや解体はブルース達にお任せして、気になった事をタブレットで調べましょう。


【魔石
魔化した生き物の心臓の中にできる、魔素の結晶の事だよ。

何で心臓の中に出来るかはわかんないんだけど、純粋な魔素の固まりだから、色んな動力に使ったり出来るんだ。
必要としている人に売る事ができるよ。 

ただ、個人的な取引だと、騙されたりぼったぐられたりするから、ギルドで売り買いするのが一番安心かなあ。

性質や大きさ、希少値で値段は変わるけど、牙や角や毛皮より高値は付くから、魔物を倒したら忘れずに回収しょうね 】


心臓の中に、と言うのは若干引きますけど、換金アイテムなら回収すべきですね。
まあ私に言われるまでもなく、解体していたブルースが取り出してくれましたけど。

「まだ若い魔獣だった様だな、魔石も小さい。
ほらシナトラ、これはお前の物だ」
血塗れの小石の様な物をブルースが投げて渡します。
それを受け取ったシナトラが小走りで近づいて来ました。

「ジョニー父ちゃん、これ貰ったよ、これ何?」
「魔石って言う換金アイテム…お金に変えられる物だよ」
「お金って何?」
亜人化して数日、生まれてまだ一年ですから、人の暮らしについては知らない事が多いのでしょう。

「人の住む町や村では、欲しい物があったらお金と交換するんだよ。
町に着いたら一緒に買い物しようね」
「うん、よくわかんないけどわかった。
じゃあこれ父ちゃんに預けとく」
ひょいと手渡されましたけど……血塗れのままマジックバッグに入れるのは気が引けます。
水遣りで血を洗い流してから、マジックバックにしまいました。

他の素材(毛皮とシッポ)と肉をブルースから手渡され、マジックバックの中にしまいます。
そのまま入れるのは気が引けたので、大きな葉をチャックに取ってきてもらい、それに包んでバッグへ。
毛皮などは、クリーンの魔法をかけてもらってから入れました。

「町に着いたら調理を頼もう」
魔物の肉は売れるそうなのですが、どうやらこれは私達の夕食になる様です。
狐…太尾一匹分の肉ですと、ブルースとシナトラでペロリと平らげてしまいそうな量しか無いですからね。

その後も魔化したウサギ、ネズミ、トンビなど、数匹の魔物に遭遇しました。
勿論全て瞬殺です。
その素材や肉はマジックバッグ行きです。

何とはなくなのですけど、生物(なまもの)と他の物が同じポーチの中に有ると言うのは微妙ですね。
異次元空間ですからくっついているわけでは無いと分かっていても、何となく嫌な感じがしてしまいます。
町に着いたら素材や肉を入れる、それぞれ専用の鞄を買いましょうかね。




しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

処理中です...