32 / 59
公私混同は禁止
噂の的にされて
しおりを挟む
気が重いながらも会社に行くと、征一は挨拶回りで忙しいのか部署にはほとんど居ない日々が続いた。私に当て擦りを言う女性社員も居たけれど、実際に私たちのやりとりを見ていない社員は私に聞きたそうにしながらも、その話をする人は居なかった。
下手に藪を突いて蛇を出したくないんだろう。そこは大人だから…。蛇はやっぱり征一だろうか?
もし、私が征一と何かしら関係があったら、うっかり私の機嫌を損ねて征一にそれが伝わる事を恐れたんだろう。さすが部長代理。伊達に権力持ってない。
私は、そんな取り留めない事を考えながら、下手な噂にならなかった事にホッとしていた。きっとその油断が良くなかったのかもしれない。私は時間が押した会議の後で、すっかり遅くなった昼食へ行こうとお手洗いに寄った。
いつもなら気が強くて、人の弱みを握っている情報に強い翼が盾になってくれていたのだけど、今日はそんなこんなでたまたま一人だった。個室で用を足していると、数人の女子社員がガヤガヤと入ってきたのが分かった。
「ねぇ、あの話って実際どうなんだと思う?」
「あー、お姫様でしょ?大人しそうなフリして橘部長代理に媚びたとか?一般社員には見向きもしない癖にね。嫌な感じ。」
「社食での二人のやり取り、直接見た人の話聞いたの?」
「聞いてない。噂だけよ。でも凄く親密そうだったって話よ?赴任したばかりなのにどーなってるのかしら。私の同僚がお姫様のファンでガックリ落ち込んでて鬱陶しいったら。あーゆうタイプは裏で遊んでるんじゃないの?」
「私もそう思う。絶対お姫様じゃないわよ。ビッチだったら面白いのに。ふふふ。」
そう言いたい放題言うと、またガヤガヤとかしましく出て行った。私は個室から出るタイミングを失っていて、ため息をつくと鏡の前に立った。
「お姫様って、やっぱり私のことよね…?やっぱり有る事無い事言われるわね。」
私は橘征一が想像以上に女子社員の中では優良物件なのだと改めて感じた。そのお陰で、私に対する反感がすごい。そりゃあ、私も第三者の立場だったら、来たばかりのハイスペック社員がいきなり特定の女子社員と訳ありぽかったら何事かと思うわね。
私はこれ以上橘征一と関わると、会社での立場がますます悪くなりそうな気がして鏡の中の自分に顰めっ面を送った。
『気をつけて、お姫様。橘部長代理は田辺美那とは初対面よ。その設定、間違えないで?』
下手に藪を突いて蛇を出したくないんだろう。そこは大人だから…。蛇はやっぱり征一だろうか?
もし、私が征一と何かしら関係があったら、うっかり私の機嫌を損ねて征一にそれが伝わる事を恐れたんだろう。さすが部長代理。伊達に権力持ってない。
私は、そんな取り留めない事を考えながら、下手な噂にならなかった事にホッとしていた。きっとその油断が良くなかったのかもしれない。私は時間が押した会議の後で、すっかり遅くなった昼食へ行こうとお手洗いに寄った。
いつもなら気が強くて、人の弱みを握っている情報に強い翼が盾になってくれていたのだけど、今日はそんなこんなでたまたま一人だった。個室で用を足していると、数人の女子社員がガヤガヤと入ってきたのが分かった。
「ねぇ、あの話って実際どうなんだと思う?」
「あー、お姫様でしょ?大人しそうなフリして橘部長代理に媚びたとか?一般社員には見向きもしない癖にね。嫌な感じ。」
「社食での二人のやり取り、直接見た人の話聞いたの?」
「聞いてない。噂だけよ。でも凄く親密そうだったって話よ?赴任したばかりなのにどーなってるのかしら。私の同僚がお姫様のファンでガックリ落ち込んでて鬱陶しいったら。あーゆうタイプは裏で遊んでるんじゃないの?」
「私もそう思う。絶対お姫様じゃないわよ。ビッチだったら面白いのに。ふふふ。」
そう言いたい放題言うと、またガヤガヤとかしましく出て行った。私は個室から出るタイミングを失っていて、ため息をつくと鏡の前に立った。
「お姫様って、やっぱり私のことよね…?やっぱり有る事無い事言われるわね。」
私は橘征一が想像以上に女子社員の中では優良物件なのだと改めて感じた。そのお陰で、私に対する反感がすごい。そりゃあ、私も第三者の立場だったら、来たばかりのハイスペック社員がいきなり特定の女子社員と訳ありぽかったら何事かと思うわね。
私はこれ以上橘征一と関わると、会社での立場がますます悪くなりそうな気がして鏡の中の自分に顰めっ面を送った。
『気をつけて、お姫様。橘部長代理は田辺美那とは初対面よ。その設定、間違えないで?』
0
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる