80 / 84
晩餐会
何だか周囲が騒がしい
しおりを挟む
結局王妃にすっかり気に入られた僕は、王宮へ遊びに来て、鬼蜂の毒袋や怪鳥ギャロスの卵の欠片を得た時の話を、まだ幼い王子たちにも話してくれと頼まれてしまった。
確か12歳と10歳の王子たちは今回の晩餐会には出席していなかったけれど、冒険話が好きな年頃だろう。王子たちに話をするくらいなら、まぁ良いけどと顔に出ていたんだろう、アーサー兄上が僕の皿に肉の塊を載せながら言った。
「パトリック、王子といえども王族だぞ。あまり気に入られると面倒な事になるぞ?ハハハ。」
すっかり他人事だと思っているアーサー兄上をジト目で見つめながら、僕は肉に齧り付いた。
「アーサー兄上はそれこそ国中から注目されてますよね?どうやって、その注目をかわしているのですか?」
そう尋ねると、アーサー兄上は面白そうな表情で言った。
「困った時は遠征に出掛けるに限るさ。だけどパトリックはまだ訓練生で逃げ場がないな?」
するとそこに、あの狼族のジャックがやって来た。
「今度パトリックが休みの日に、一緒に軽い遠征に行かないか?ちょっと面白いネタがあるんだ。もし一緒に参加したかったら連絡してくれ。」
そう言って僕に連絡の出来るカードを渡してきた。僕は受け取りながら、首を傾げて尋ねた。
「ネタって何ですか?面白いもの?」
するとジャックはアーサーに視線を向けると、指を振って言った。
「兄君の前じゃちょっと言えないな。流石に彼とはライバル関係にあるのでね。でも決して後悔はさせないよ?」
そう言うと、笑いながら自分のチームのテーブルへ戻って行った。隣に居たバートとギャビンが驚いた表情で、僕の手の中のカードを見つめた。ジャックが渡してきたのは、いつでも連絡が取れる特殊な魔法陣の使われたカードだったからだ。
アーサー兄上は、クスクス笑って僕にウインクして言った。
「私の弟は、王族だけじゃなくて、腕の立つジャックからもターゲットにされたみたいだね。彼の実力は本物だ。ネタが気に入ったなら、参加して経験値を高めるのも悪い話じゃない。ジャックなら、パトリックを危険な目に遭わせないだろうしね?」
すると隣で顔を顰めたバートがアーサー兄上に言った。
「アーサー様、あまりパトリックをけしかけないで下さい。ただでさえ無茶するんですから。それにパトリックは、危険な目に遭うのではなくて、仲間を危険な目に遭わせるんです。パトリック、まさかジャック様に連絡しないだろう?」
僕がバートの小言に慌てていると、アーサー兄上は僕に耳打ちした。
「なるほど。パトリックの首輪の綱は彼が握っているのかい?」
確か12歳と10歳の王子たちは今回の晩餐会には出席していなかったけれど、冒険話が好きな年頃だろう。王子たちに話をするくらいなら、まぁ良いけどと顔に出ていたんだろう、アーサー兄上が僕の皿に肉の塊を載せながら言った。
「パトリック、王子といえども王族だぞ。あまり気に入られると面倒な事になるぞ?ハハハ。」
すっかり他人事だと思っているアーサー兄上をジト目で見つめながら、僕は肉に齧り付いた。
「アーサー兄上はそれこそ国中から注目されてますよね?どうやって、その注目をかわしているのですか?」
そう尋ねると、アーサー兄上は面白そうな表情で言った。
「困った時は遠征に出掛けるに限るさ。だけどパトリックはまだ訓練生で逃げ場がないな?」
するとそこに、あの狼族のジャックがやって来た。
「今度パトリックが休みの日に、一緒に軽い遠征に行かないか?ちょっと面白いネタがあるんだ。もし一緒に参加したかったら連絡してくれ。」
そう言って僕に連絡の出来るカードを渡してきた。僕は受け取りながら、首を傾げて尋ねた。
「ネタって何ですか?面白いもの?」
するとジャックはアーサーに視線を向けると、指を振って言った。
「兄君の前じゃちょっと言えないな。流石に彼とはライバル関係にあるのでね。でも決して後悔はさせないよ?」
そう言うと、笑いながら自分のチームのテーブルへ戻って行った。隣に居たバートとギャビンが驚いた表情で、僕の手の中のカードを見つめた。ジャックが渡してきたのは、いつでも連絡が取れる特殊な魔法陣の使われたカードだったからだ。
アーサー兄上は、クスクス笑って僕にウインクして言った。
「私の弟は、王族だけじゃなくて、腕の立つジャックからもターゲットにされたみたいだね。彼の実力は本物だ。ネタが気に入ったなら、参加して経験値を高めるのも悪い話じゃない。ジャックなら、パトリックを危険な目に遭わせないだろうしね?」
すると隣で顔を顰めたバートがアーサー兄上に言った。
「アーサー様、あまりパトリックをけしかけないで下さい。ただでさえ無茶するんですから。それにパトリックは、危険な目に遭うのではなくて、仲間を危険な目に遭わせるんです。パトリック、まさかジャック様に連絡しないだろう?」
僕がバートの小言に慌てていると、アーサー兄上は僕に耳打ちした。
「なるほど。パトリックの首輪の綱は彼が握っているのかい?」
12
お気に入りに追加
495
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる