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晩餐会

晩餐会

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王様の前へ、チーム毎に拝謁しているのを後ろの方で眺めながら、情報通のギャビンが僕たちに耳打ちした。

「次が火蜥蜴だ。ほら、黒髪短髪でケルビンをもっと鍛えた感じの、ロウェイ家の灰色の目の狼族のあの男が、リーダーだ。」

僕は実力では、アーサー兄上とそう遜色ない火蜥蜴のリーダーを見つめていた。王様への拝謁を済ませて、こちらへ戻ってくる際に、僕とばっちり目が合ってしまった。流石にケルビンと縁付いているだけあって、見慣れた感じがした。


すると、そのままリーダーがチームに何か囁くと、僕たちの方へと一人歩き寄って来た。そして僕の前に立ち止まると、鋭い覚えのあるグレーの眼差しで僕をじっと見つめて口を開いた。

「こんばんは、パトリック。いや、初めましてかな?私はジャック ロウェイ。私たちの招待を受けてもらえなかったのは残念だったが、アーサーの大事な弟なのだから仕方ないね。

君の活躍は聞いてるよ。君を見ているとちょっと想像つかないが、マジェスタ家の秘蔵っ子と聞けば、そうなんだろう。今度良かったらチームに遊びに来てくれ。君なら大歓迎だよ。」


そう言うと、僕に大きな手を差し出した。僕は慌ててガッチリした手を取って握手して答えた。

「初めまして。先日はご招待ありがとうございました。パトリック マジェスタです。噂に名高い火蜥蜴のリーダーにお目にかかれて光栄です。」

すると、ぎゅっと僕の手を強く握って言葉を被せて来た。

「ジャックだ。ジャックと呼んでくれ。」


うわ、後ろのバートから冷たい霧が…。僕は凍え死ぬ前にこの場を切り上げることにした。

「ジャックさん?あの、僕を評価して下さるのは嬉しいんですけど、僕もジャックさんやアーサー兄上と同様に、自分のチームを立ち上げるつもりなんです。いずれジャックさんの良いライバルになりますよ。ふふ。」

ジャックはそう言って笑う僕を食い入る様に見つめていたけれど、ニヤリと笑って楽しみにしてると言ってチームのところに戻って行った。


苛ついて冷気が収まらないバートに、やれやれと思いながら振り返った僕は、隣のギャビンの震えの止まらない姿に少し笑ってから、バートに言った。

「バート、その魔法はさっさと引っ込めて?もう、いちいちそうやってイライラしないで?僕は包容力のある男が好きなんだけど。」

そう言うと、急にシュンとしてしまったバートは、相変わらず可愛い。最近、バートが可愛く見える僕もどうかしてる。僕は埴輪目のギャビンを横目で見ながら、バートの手に指を差し込みながらにっこり微笑んで言った。


「いい子にしてたら、後でご褒美あげるから、ね?」

あ、バートの尻尾の毛がバリって逆立った…。





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