獣人てやつは本能に抗えない問題

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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こんにちは日常

これって発情の名残?それとも…※

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僕は身体が熱くて微かに呻いてしまったかもしれない。よく分からない。だって気がついたら、バートに優しく口を塞がれていたんだから。

バートの柔らかな唇は強請る様に僕の唇をついばんだ。下唇を何度も舌でなぞられて、僕はそれに応えるように、いや、待ちきれずに唇を開けた。僕を抱き寄せていたバートの腕の力が直ぐに強まって、僕はあの覚えのある夜光虫の夜を思い出した。


重くなった瞼をゆるゆると開けると、バートの金色の瞳が僕をじっと見つめていた。途端に羞恥心が襲ってきたけれど、それを上回る身体の疼きが僕を支配していた。

「…パトリック。少し発情していたのはそうだけど、だけどそれだけじゃないだろう?…嫌なら突き飛ばしても良いんだ。」

そう言いながら、バートの僕を抱き込む腕は緩む余地が無かった。


僕は半ば諦めの境地で言った。

「…だったら、僕が言い訳出来る様に強引に奪ってよ。僕がバートを欲しがってるのはバレバレなんでしょ…。」

バートは僕の顔を伺うように見つめて甘く囁いた。

「言い訳なんてさせないさ。パトリックが俺の発情に当てられて反応してるんだから。俺の事が好きじゃなきゃ、こうはならないんだよ。知らないのか?」


僕はもう何も言い訳も出来なくなったし、身体は疼くし、待ったなしだった。

「…バートが発情してるの?」

そう言えばバートの目尻は妙に赤らんで、さっきから僕に触れるその硬いものは猛り切ったそれだった。バートは僕の首筋に鼻を押し当てて言った。

「ああ。好きな奴のこんな匂い嗅いだら、直ぐに発情するだろ。俺の発情は相手次第だから。今までパトリックがこんな匂いさせた事は無かった。きっと取り憑かれた事がキッカケになったのかもしれない。」


そう言われてしまえば、腑に落ちた。ケルビンに処理して貰った時の、あの何とも言えない息のできない苦しさは今はなくて、でも疼いてじっとしてられないのは別の苦しさかもしれない。

僕はバートにしがみつくと、すっかり煽られた自分の疼く身体をすりすりと押し付けてため息をついた。そしてバートの首に手を掛けると、下から覗き上げて言った。


「だったら僕を助けてよ。もう、熱くてたまらない。」

さっきよりずっと赤らんだバートの顔が僕の唇目掛けて降りてくるのは直ぐだった。僕はバートの舌に自分のものも絡ませてながら、妙な安心感で微笑んだんだ。







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