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楽しさの極み、郊外演習二日目

森の中

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うっすらと感じる道は、いわゆる獣道の様なものだ。いや、あるいはあの醜悪な生き物、ゴブリン道かもしれない。この森は色々な生き物が出る様だった。

さっきも目と目の間に、もこもこした毛が生えた可愛らしい生き物が出て来たけれど、ミッキーがいきなり頭を潰した。僕が驚いてミッキーに文句を言うと、呆れた顔でこう言ったんだ。


「パトリックは、誰も知らない事を知ってるってのに、こんな誰でも知ってるような事を知らないんだな。これはモクバックの幼生体だぞ?

幼生体だとぱっと見は可愛いけどな、実際はあのもこもこが裂けて食取口が開くんだよ。だから潰す時は頭を一撃だ。」

僕は目を見開いた。ヨーデル領にはモクバックは居ないからとはいえ、モクバックは知ってる。僕と同じサイズ感の、二足歩行でふわふわした毛並みのモンスターで、頭全体がバッカリと開いて捕食する気持ち悪いモンスターだ。


足元で、青い血を流しているモックバックの幼生を僕は眉をしかめて見つめた。

「見かけで判断するなんて、初心者だよね。…もっと気を引き締めなくちゃ。」

ケルビンがそんな僕をジト目で見つめて言った。

「本当にそうだ。見かけで判断すると本当に酷い目に遭うからな。」

なぜかテディとミッキーも頷いている。僕は皆も気を引き締めてくれたんだと、嬉しくなって頷くとまた歩き始めた。


僕たちはそれから何度かミニモクバックを叩き潰しながら、道を進んで行った。ここはモクバックの住処に近いらしくて、僕たちは青い小さな魔石をいくつもゲットしながら進んで行った。

流石に成体のモクバックは手強かった。頭をバカリと開いて鋭い牙を見せて食いついてくる姿は恐怖を感じた。僕が足元を凍らせて動きを止めると、ミッキーかケルビンが急所を攻撃して倒した。


モクバックの青い魔石がずっしりと貯まったところで、僕たちはこのゴブリンロードの主、ゴブリンに遭遇した。けれども小さなゴブリンたちは僕らに近づこうとはしなかった。

ギャ、ギャと嫌な声をあげて寄ってはくるけれど、鼻をひくひくさせてそれ以上は近づいて来ない。僕たちがさっき塗ったゴブリン避けが効いているみたいだ。


僕たちはこれまですんなり来ていたし、ゴブリンも寄ってこない事で少し油断していたんだろう。遠目で見える木の影から嫌な臭いをさせて現れたのは、ゴブリンより数倍の大きさの豚顔のモンスター、オークだったんだ。
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