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楽しさの極み、郊外演習二日目
二日目出発します!
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僕は隣の陣地で優雅にコーヒーを飲んでいるバートをチラッと見ると、テクテク近づいてそっぽを向いて言った。
「これ食べて。昨日綺麗なもの見せてもらったお礼。」
そう言ってクッキーバーを2本差し出した。バートは僕がそっぽ向いてるのを見てクスクス笑うと、僕の手を必要以上に握って言った。
「…お礼は昨日貰ったけどね。有り難く貰うよ。ありがとう、パトリック。」
僕は、バートがニヤついている顔を睨むと、どういたしましてと呟いて皆と合流した。そんな僕をテディが見て首を傾げて尋ねた。
「…何か変だね。バートに怒ってるの?」
僕はドキッとしたけれど、素知らぬ顔でテディを見つめて答えた。
「…別に。ただ昨日夜眠れない時に、綺麗な夜光虫を見せてもらったからお礼しただけだよ。」
ミッキーが夜光虫に食いついて来た。
「知ってるぜ、夜光虫。ここにも居たんだなぁ。俺も夏休みに山のダンジョンへ参加した時に、途中で見たんだ。綺麗だよな、あれ。」
そう言って、テディに聞かれても居ないのに説明をしていた。ミッキーはすっかりテディに懐いたなぁ。僕がそんな事を思いながら先生から渡された今日の経由地点を確認していた。
今日の経由地点は洞窟の中らしい。僕の頭の中に洞窟の奥まった場所にゾッとする様なお札がヒラヒラとしている記憶が蘇った。僕の前世の?異界の記憶はこんな風に突然浮かび上がることが多い。
何だろう。あんな気味の悪い感じは今回の洞窟とは関係ないはずだ。僕が考え込んでいると、ケルビンが顔を寄せて僕の手元の地図を覗き込んだ。
「はぁ、洞窟か。俺ああ言うジメジメした場所は好きじゃないんだよ。何か陰気だろ?」
僕はケルビンに尋ねた。
「…ねぇ、洞窟ってさ、お化けとか出るかな?」
ケルビンは僕の頭を撫でながら笑った。
「おいおい、パトリックとあろうものが、死霊なんぞ怖いのか?あんなの霧みたいなものだぞ?」
僕はハッとケルビンの顔を見上げて、意気込んで尋ねた。
「ケルビン見た事あるの⁉︎死霊⁉︎怖い⁉︎」
ケルビンは僕を覗き込んで笑った。
「ああ、以前ダンジョンに親戚と潜った時に会ったぞ。白い霧の様なふわふわしたものの真ん中に真っ赤な目が光ってたな。丁度親戚が征服の魔法が使えたから、あっという間に霧散したけど。
怖くはないが、嫌な感じだったぜ?湿っぽくて寒いし。」
そう笑いながら話すケルビンの顔を、僕はごくりと喉を鳴らして唾を飲み込んだんだ。
「これ食べて。昨日綺麗なもの見せてもらったお礼。」
そう言ってクッキーバーを2本差し出した。バートは僕がそっぽ向いてるのを見てクスクス笑うと、僕の手を必要以上に握って言った。
「…お礼は昨日貰ったけどね。有り難く貰うよ。ありがとう、パトリック。」
僕は、バートがニヤついている顔を睨むと、どういたしましてと呟いて皆と合流した。そんな僕をテディが見て首を傾げて尋ねた。
「…何か変だね。バートに怒ってるの?」
僕はドキッとしたけれど、素知らぬ顔でテディを見つめて答えた。
「…別に。ただ昨日夜眠れない時に、綺麗な夜光虫を見せてもらったからお礼しただけだよ。」
ミッキーが夜光虫に食いついて来た。
「知ってるぜ、夜光虫。ここにも居たんだなぁ。俺も夏休みに山のダンジョンへ参加した時に、途中で見たんだ。綺麗だよな、あれ。」
そう言って、テディに聞かれても居ないのに説明をしていた。ミッキーはすっかりテディに懐いたなぁ。僕がそんな事を思いながら先生から渡された今日の経由地点を確認していた。
今日の経由地点は洞窟の中らしい。僕の頭の中に洞窟の奥まった場所にゾッとする様なお札がヒラヒラとしている記憶が蘇った。僕の前世の?異界の記憶はこんな風に突然浮かび上がることが多い。
何だろう。あんな気味の悪い感じは今回の洞窟とは関係ないはずだ。僕が考え込んでいると、ケルビンが顔を寄せて僕の手元の地図を覗き込んだ。
「はぁ、洞窟か。俺ああ言うジメジメした場所は好きじゃないんだよ。何か陰気だろ?」
僕はケルビンに尋ねた。
「…ねぇ、洞窟ってさ、お化けとか出るかな?」
ケルビンは僕の頭を撫でながら笑った。
「おいおい、パトリックとあろうものが、死霊なんぞ怖いのか?あんなの霧みたいなものだぞ?」
僕はハッとケルビンの顔を見上げて、意気込んで尋ねた。
「ケルビン見た事あるの⁉︎死霊⁉︎怖い⁉︎」
ケルビンは僕を覗き込んで笑った。
「ああ、以前ダンジョンに親戚と潜った時に会ったぞ。白い霧の様なふわふわしたものの真ん中に真っ赤な目が光ってたな。丁度親戚が征服の魔法が使えたから、あっという間に霧散したけど。
怖くはないが、嫌な感じだったぜ?湿っぽくて寒いし。」
そう笑いながら話すケルビンの顔を、僕はごくりと喉を鳴らして唾を飲み込んだんだ。
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