獣人てやつは本能に抗えない問題

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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楽しさの極み、郊外演習二日目

テントの夜

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僕は皆を起こさない様にコソコソとテントに潜り込んだ。僕が居ない間に、三人の寝相の悪さが目の前に露呈した。僕の眠るスペースは、真ん中へ移動したケルビンの背中側の狭い所しかなさそうだ。

僕はやれやれとため息をつくと、ドキドキする胸の鼓動を手で撫でて落ち着かせながら、そっと横になった。僕はさっきバートにされたキスの事を思い出していた。


あれって何?あんなにぶちゅってされたのも初めてだった。いつもチュって唇を合わせるだけだったから。僕たちオオヤマネコ族は挨拶がキスなんだ。関係性で頬にしたり、唇にしたり。

家族や仲良しには唇。そうじゃない獣人には頬に。だからバートには、小さい頃からチュッて挨拶するのが当たり前になっていたんだ。


そう言えば初めて僕がバートの唇にキスした時、バートは固まっていたっけ。兄様たちにも、凄い剣幕で唇にしちゃダメッて怒ってきて。でも僕はバートとは仲良しだから唇のチュウで良いんだって言い張って。

…なのに、さっきはそんなキスじゃなかった。びっくりするくらい唇を合わせられて、何かよく分からないけど、むにゅむにゅされて!


吸われたと思ったら、バートの舌が僕のびっくりして開けた口の中に入ってきた…。僕、もしかしてどこか食べられちゃった?だってバート凄く美味しそうな音立てて、僕を貪っていたもん。

…僕は、びっくりしたけど、嫌じゃなかった。正直気持ち良かったし。はぁ、でもこれからバートとの挨拶がアレになるのはどうなんだろう。あれって挨拶のキスとはちょっと違う気がするから…。


僕はそんな事をクヨクヨ考えてはいたけれど、昼間の疲れがどッと来て、気づけば朝になっていた。

「おい、パトリック起きろ。俺たち6時出発だって言われてたろ?あと30分で撤収して移動開始だ。」

テントの中にはミッキーもテディももう居なかった。着替え終わったケルビンが僕を抱き抱えながら覗き込んでいた。

「…くそ、縞々の嫌な臭いがするぜ。」

僕はボンヤリとしていたせいか、ケルビンの言ったことは聞き取れなかった。


ケルビンの腕の中で伸びをすると、ケルビンは呆れたように言った。

「お前、骨どこに置いてきたんだ?どんだけ柔らかいんだよ。ほら、着替えなきゃ。まったく、パトリックがこんなに朝が弱いとか聞いてなかったぞ?」

テントの中に顔を出したテディが、僕の荷物を漁って着替えを取り出すとケルビンに渡して言った。

「パトリックは本当、別人みたいに朝使えないね。ケルビンさっさと着替えさせてやって。僕たちは他にやる事があるから。」




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