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楽しさの極み、郊外演習二日目

興奮して眠れない

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僕たちはテントで四人並んで横になった。僕は拡げると空気を吸い込む弁をつけた、ヨードル領の湿地に生えている風船ハスを加工したマットをリュックから取り出した。

風船ハスは2cmくらいの隙間がある、平べったい葉っぱの水に浮くハスに似た植物で、大きさは様々だ。僕は小さい頃からその葉っぱを切り取ってそれに乗って、草地の斜面を滑り降りる遊びに使っていた。


そのクッション性と破れなさを気に入って、空気弁をつければ持ち歩き用の滑りマットになるんじゃないかってお祖父様に話したんだ。僕としては遊びに使いたかっただけだったんだけどね。

でも誰かが野営する時に便利だって言い出して、数年前に商品化したんだ。だから皆がそれを取り出した時はちょっと笑っちゃった。これって本当は僕の遊び道具だったんだよって思って。


ケルビン、僕、テディ、ミッキーの順で並んで横になった。僕は1日目が随分上手くいった事に興奮して、なかなか寝つかれなかった。他の三人は直ぐに寝息を立てていて、まぁ確かに緊張感がある、なかなかハードな一日だったよねって思った。

するとテントの外で囁くような声が聞こえてきた。

『…パトリック?起きてる?バートだ。』


僕はそっと起き出して、忍び足でケルビンを跨ぐと、テントの入り口から顔を出した。目の前にバートがしゃがみ込んでいた。

「…どうしたの?」

バートはにっこり笑うと僕の手を引っ張って、テントから連れ出した。僕は慌てて靴だけ履くと、薄着で外に出た。青い炎が野営地を取り囲んでいるせいか、先生も夜警に出ていないみたいだ。


「さっきトイレに来たら、こっちに面白い場所があったからパトリックに見せたくて。」

そう言うバートに手を引かれて、僕はまだ眠く無かった事もあって、まぁいいかと抵抗もせずに着いて行った。バートが連れてきたのは青い炎の先の小さなせせらぎだった。

魔物避けの青い炎の先に行くのは戸惑いがあったけれど、ほんの1mほどの距離だったので、僕たちは結界を出た。せせらぎに近づくとサラサラと水音がして、昼間にはこんな場所に小川がある事には全然気づかなかったなと思った。


バートが僕に手振りで止まるように言うと、一度小川の向かって手を叩いた。結構な音がしたように思えたけれど、結界の外のせいか野営地には聞こえないようだった。

次の瞬間、目の前に光る色の乱舞が溢れ出した。カラフルな色が残像を残しながら飛び交って、それは素敵な光景だった。僕はポカンと口を開けながら、只々その光景に見入っていた。
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