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楽しい郊外演習
僕のアイテム使う?
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僕の呆れ声にケルビンとミッキーは眉を顰めた。
「そうは言っても、俺たちの武器はこれだからなぁ。他の武器に今更変えらんねぇよ。」
そう言って棍棒を振り回すミッキーは、地面に打ち付けて土塊を飛ばしてきた。
「ちょ、ミッキーむやみに振り回さないでよ。口に土が入るでしょ。…他にも武器は持ってるの?ケルビンも持ってる?」
僕が顎に手を当てて考え込んで尋ねると、二人は顔を見合せた。そして腰から携帯用の、僕にしてみればそこそこ立派に見える棍棒とサーベルを取り出した。
「これの事か?でもなぁ、オークが一匹くらいなら大丈夫だけど、ボスオークや数が多い時はこれじゃ心許ないんだよ。」
そう言って、ケルビンは刃渡り60cmほどのサーベルを撫でた。いや、十分でしょ。僕は二人がとっておきの武器を持っていく事にこだわっているのを感じると、肩をすくめて言った。
「分かった。じゃあ僕のマジックバックに入れて持っていってあげるよ。背中に背負っていくんじゃどう考えても出遅れそうだからね。僕は絶対優勝したいんだ。皆にもそのつもりでいてもらうよ?」
僕がそう言うと、ケルビンもミッキーも、作業していたテディさえも手を止めて僕を見て言った。
「今パトリックなんて言ったの?…マジックバックって言った?」
僕は三人の顔を見つめて言った。
「あー、僕2年前に兄様達と初ダンジョンした時に、迷子になってね。浅い初心者用の安全な場所だったはずなのに、うっかりレベルのきつい場所に入っちゃったんだ。
運良く出て来れたんだけど、その場所に汚らしい袋が落ちてて、記念に拾って帰ったんだ。家でその袋を綺麗に洗っていたら、兄様がそれはマジックバックだって教えてくれて。洗ったら結構綺麗になったから、使えるかなと思って今回持って来たんだ。」
僕は三人がまだポカンとしてるのを見て、眉を顰めた。
「だからさ、このマジックバックにその重たい武器を入れて持っていこうかって聞いてるんだけど。」
するとケルビンとミッキーはいそいそと僕に武器を差し出した。僕は腰につけていたマジックバックを引き伸ばすとゆっくり入れてねと注意しながら収納した。
テディが赤い顔をしながら、小さい声で言った。
「ねぇ、僕の枕も持ってきていいかな。僕枕が変わると眠れないんだ。」
僕はクスクス笑って、急いでねって言うと、テディは慌てて寮に向かって走り出した。戻ってきたテディが枕の他に沢山のオヤツを手に抱えてきたのを見た時は呆れたけど、皆にも分けてくれるって言うから快く入れてあげたんだ。
テディの魔法で作ったシュミレーションを眺めた僕たちは、手を重ねて勢いよく声をあげたんだ。
「チーム、幸運のダンジョン!優勝するぞ!」
あ、チームの名前は僕のダンジョンでの幸運にあやかってそんな名前がつけられたんだよ。安易だよね。
「そうは言っても、俺たちの武器はこれだからなぁ。他の武器に今更変えらんねぇよ。」
そう言って棍棒を振り回すミッキーは、地面に打ち付けて土塊を飛ばしてきた。
「ちょ、ミッキーむやみに振り回さないでよ。口に土が入るでしょ。…他にも武器は持ってるの?ケルビンも持ってる?」
僕が顎に手を当てて考え込んで尋ねると、二人は顔を見合せた。そして腰から携帯用の、僕にしてみればそこそこ立派に見える棍棒とサーベルを取り出した。
「これの事か?でもなぁ、オークが一匹くらいなら大丈夫だけど、ボスオークや数が多い時はこれじゃ心許ないんだよ。」
そう言って、ケルビンは刃渡り60cmほどのサーベルを撫でた。いや、十分でしょ。僕は二人がとっておきの武器を持っていく事にこだわっているのを感じると、肩をすくめて言った。
「分かった。じゃあ僕のマジックバックに入れて持っていってあげるよ。背中に背負っていくんじゃどう考えても出遅れそうだからね。僕は絶対優勝したいんだ。皆にもそのつもりでいてもらうよ?」
僕がそう言うと、ケルビンもミッキーも、作業していたテディさえも手を止めて僕を見て言った。
「今パトリックなんて言ったの?…マジックバックって言った?」
僕は三人の顔を見つめて言った。
「あー、僕2年前に兄様達と初ダンジョンした時に、迷子になってね。浅い初心者用の安全な場所だったはずなのに、うっかりレベルのきつい場所に入っちゃったんだ。
運良く出て来れたんだけど、その場所に汚らしい袋が落ちてて、記念に拾って帰ったんだ。家でその袋を綺麗に洗っていたら、兄様がそれはマジックバックだって教えてくれて。洗ったら結構綺麗になったから、使えるかなと思って今回持って来たんだ。」
僕は三人がまだポカンとしてるのを見て、眉を顰めた。
「だからさ、このマジックバックにその重たい武器を入れて持っていこうかって聞いてるんだけど。」
するとケルビンとミッキーはいそいそと僕に武器を差し出した。僕は腰につけていたマジックバックを引き伸ばすとゆっくり入れてねと注意しながら収納した。
テディが赤い顔をしながら、小さい声で言った。
「ねぇ、僕の枕も持ってきていいかな。僕枕が変わると眠れないんだ。」
僕はクスクス笑って、急いでねって言うと、テディは慌てて寮に向かって走り出した。戻ってきたテディが枕の他に沢山のオヤツを手に抱えてきたのを見た時は呆れたけど、皆にも分けてくれるって言うから快く入れてあげたんだ。
テディの魔法で作ったシュミレーションを眺めた僕たちは、手を重ねて勢いよく声をあげたんだ。
「チーム、幸運のダンジョン!優勝するぞ!」
あ、チームの名前は僕のダンジョンでの幸運にあやかってそんな名前がつけられたんだよ。安易だよね。
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