5 / 84
僕はパトリック
ギャビンside憎めないパトリック
しおりを挟む
俺の前で連続してパトリックの指から放たれる矢は、吸い込まれる様に次々に的に突き刺さった。中心が矢で埋まるのは、初めて見た。俺は興奮して、パトリックに抱きついた。
「パトリック!凄いじゃないか!本当に腕をあげたな⁉︎まったく夏休みにどんだけ特訓したんだよ。」
俺がそう言うと、ニヤリと唇を持ち上げて少し誇らしげに顔を背けると、何でも無い様に言った。
「まぁ、僕の地元はボウのメッカだからな。これくらい出来ないと、マジェスタの名が廃るだろ?」
そうつれない事を言いながらも、嬉しそうな表情は隠せてない。まったく俺の友達は可愛げがない。とは言いつつも、パトリックは常にひと目を惹く獣人なのは間違いない。
スラリとバランスの取れた身体は、小柄ながらしなやかで妙な色気がある。肩までの明るい紅茶色に1箇所だけ黒が混じった珍しい髪は、キラキラしていて日差しの中では妙に目立つ。
でもパトリックの本当の魅力はその瞳だった。切長で吊り上がった意志の強さが滲む、透き通る様な水色の瞳は印象的だ。そしてその瞳のままの勝ち気な性格は、時々うんざりするけれど何だか放っておけない。
綺麗な髪から覗く、大きめの尖った耳から伸びる羽根の様な黒い飾り毛は、滅多に見られない希少種を示している。ヨーデルの領地にしか存在しないオオヤマネコ族で、飛び級で入学してきたパトリックは、この特殊ギルド訓練所でも注目されている。
しかもオオヤマネコ族の中でもパトリックは少し雰囲気が違う。パトリックの兄達は有名なボウの名手だけど、もっと人を寄せ付けない雰囲気だ。それがオオヤマネコ族なのに、パトリックはツンデレというか、時々撫で撫でしたくなる可愛さに溢れてるんだ。
見た感じは同じなのに、人に与える印象がこんなに違うのも珍しい。だからパトリックは一族から溺愛されてるって話も納得しちゃうんだよ。
俺は白鷹族ならではのジャンプ力と握力を格闘で活かしつつも、もうひと技ほしくてボウを修行中なんだ。この2年間の訓練所を終えたら、俺たちは立派なギルド員として、難しい仕事を請け負う事が出来る。
パトリックの昔馴染みのバートは、きっとこいつと一緒にチームを組みたがるだろうな。バートは普段おっとりした風を装っているけれど、実際の所は虎族だから潜在戦闘力は訓練所でもかなり良い線をいくんだ。
なぜかパトリックの前では気が弱いフリしてるのが、見てると笑っちゃうんだけどね。まぁパトリックの負けん気が強過ぎて、平和に側にいるにはそうするしか無いのかもしれないな。
さあ、俺も人の事ばかり心配してないで腕をあげなきゃな。バートも見張ってないから、パトリックに教えてもらおうっと。俺は自分のボウを手に持つと、自慢の年下の友人、パトリックの側へ走っていった。
「パトリック!凄いじゃないか!本当に腕をあげたな⁉︎まったく夏休みにどんだけ特訓したんだよ。」
俺がそう言うと、ニヤリと唇を持ち上げて少し誇らしげに顔を背けると、何でも無い様に言った。
「まぁ、僕の地元はボウのメッカだからな。これくらい出来ないと、マジェスタの名が廃るだろ?」
そうつれない事を言いながらも、嬉しそうな表情は隠せてない。まったく俺の友達は可愛げがない。とは言いつつも、パトリックは常にひと目を惹く獣人なのは間違いない。
スラリとバランスの取れた身体は、小柄ながらしなやかで妙な色気がある。肩までの明るい紅茶色に1箇所だけ黒が混じった珍しい髪は、キラキラしていて日差しの中では妙に目立つ。
でもパトリックの本当の魅力はその瞳だった。切長で吊り上がった意志の強さが滲む、透き通る様な水色の瞳は印象的だ。そしてその瞳のままの勝ち気な性格は、時々うんざりするけれど何だか放っておけない。
綺麗な髪から覗く、大きめの尖った耳から伸びる羽根の様な黒い飾り毛は、滅多に見られない希少種を示している。ヨーデルの領地にしか存在しないオオヤマネコ族で、飛び級で入学してきたパトリックは、この特殊ギルド訓練所でも注目されている。
しかもオオヤマネコ族の中でもパトリックは少し雰囲気が違う。パトリックの兄達は有名なボウの名手だけど、もっと人を寄せ付けない雰囲気だ。それがオオヤマネコ族なのに、パトリックはツンデレというか、時々撫で撫でしたくなる可愛さに溢れてるんだ。
見た感じは同じなのに、人に与える印象がこんなに違うのも珍しい。だからパトリックは一族から溺愛されてるって話も納得しちゃうんだよ。
俺は白鷹族ならではのジャンプ力と握力を格闘で活かしつつも、もうひと技ほしくてボウを修行中なんだ。この2年間の訓練所を終えたら、俺たちは立派なギルド員として、難しい仕事を請け負う事が出来る。
パトリックの昔馴染みのバートは、きっとこいつと一緒にチームを組みたがるだろうな。バートは普段おっとりした風を装っているけれど、実際の所は虎族だから潜在戦闘力は訓練所でもかなり良い線をいくんだ。
なぜかパトリックの前では気が弱いフリしてるのが、見てると笑っちゃうんだけどね。まぁパトリックの負けん気が強過ぎて、平和に側にいるにはそうするしか無いのかもしれないな。
さあ、俺も人の事ばかり心配してないで腕をあげなきゃな。バートも見張ってないから、パトリックに教えてもらおうっと。俺は自分のボウを手に持つと、自慢の年下の友人、パトリックの側へ走っていった。
20
お気に入りに追加
502
あなたにおすすめの小説

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜
みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。
魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。
目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた?
国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる