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お泊まり飲み会
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ゼミの仲間達と一人暮らしのメンバーの部屋で、時間を気にせず飲み会するのは楽しかった。都会が実家で自宅の友達が多かった僕は、こうやって友達の家で飲むのは実際初めてだった。
「壬生の部屋、広くねぇ?何で実家が東京なのに一人暮らしなんだよ。」
そう言って部屋を見回す清瀬君に、僕はやっぱり広いのかと認識を改めた。壬生君は電子レンジから取り出した出来立てのポップコーンをテーブルに置いて言った。
「あー、親がそう言う教育方針なんだよ。独り立ちの準備的な?でも俺身体がデカいから狭い部屋じゃ落ち着かなくて、親に無理言ったんだ。だからワンルームだけど広めだな。」
「ねー、これだったら恋人とかと余裕で住めそう。壬生、絶対連れ込んでるでしょ。」
そうゼミで一緒の女子が言うと、もう一人の女子もクスクス笑いながら頷いた。僕は部屋を見回してベッドをじっと見て尋ねた。
「でもあのベッドじゃ、壬生君だけでいっぱいになっちゃうんじゃない?」
ドッと皆が笑って、僕の発言が際どいと揶揄われてしまった。そんな意図はなかったけれど、確かに問題発言だったかもしれない。僕は急に恥ずかしくなって、自分でも顔が熱くなるのを感じた。
「全く悠太は可愛いな。こんな事で赤くなってさ。それに俺が思うに、あのベッドはセミダブルだと思うぜ。まぁそれでも壬生がデカいからアレだけど。」
結局僕の際どい発言をキッカケに、皆のお盛んな最近の話を聞く羽目になった。結局清瀬君が1番あちこちに顔を出して飲み会に精を出している事が分かって、そんな清瀬君が僕に言った。
「悠太も今度一緒に行こうぜ。他の学部のヤツと知り合いになるのも面白いからさ。」
顔の広い清瀬君にそう言われて頷くくらいには、僕も酔いが回っていたみたいだ。周囲が賑やかに盛り上がるのを感じながら、僕は強烈な眠気に襲われていた。
ぼんやりと身体を引き起こされる感覚がしたけれど、僕は目が開かなくて誰かに言われるがまま冷たい水を飲んだところで意識はぷつりと途切れてしまった。
喉が渇いた…。でも何だか身体も動かないし、目も開かない。ふいに隣に誰かいる気がした。自分より高い体温が温かくて気持ち良い。無意識に身体を寄せると、抱き寄せられた気がしてその絶対的な包容力に思わず微笑んでいた。
『……。』
誰かが何か喋っているのは分かるけれど、まだぼんやりとした頭では聞き取れなかった。額や瞼に降りてくる優しい何かが思いがけないくらい気持ちが良くて、僕は微笑んでもっと欲しくて顔を上げた。
するとまたさっきの様に触れられて、まるで誰かの宝物の様に大事にされている気分で僕はやっぱり微笑んだ。唇に柔らかな感触がして、僕はこれってまるでキスみたいだとぼんやり考えていた。
キス…。キス?僕は開かない瞼をこじ開ける様に頑張った。ふいに温かな気持ち良さが身体から離れて、僕は酷くガッカリした。もっと包まれていたかったのに…。それから僕は意識がまた、ブクブクと水底に沈む石のように落ちていった。
「…た、…悠太、大丈夫か?」
聞き慣れた声が僕の側で聞こえて、僕は意識を浮上させた。目を開けると、僕を見下ろす壬生君が立っていた。
「ああ、良かった。あんまり眠ってるから大丈夫かなと思って。…大丈夫だよな?」
僕は身体を起こすと、ぼんやりしながら壬生君から渡された水を一気に飲んだ。ああ、染み渡る。そういえば随分喉が渇いていた。そう、喉乾いてたんだ。何か思い出せそうで思い出せない僕は、ぼんやり部屋を見渡した。
テーブルの側にゴミ袋が置いてあって、壬生君がすっかり片付けてしまった様だった。僕以外はもう誰も居なくて、僕はどうも壬生君の家に泊まってしまったみたいだ。
「…ごめん。迷惑掛けたみたいだね。今何時?」
僕がそう言うと、壬生君は僕にバスタオルを渡して言った。
「今11時だ。俺午後からバイト入ってるんだ。まだ大丈夫だけど、シャワー浴びてこいよ。さっぱりするから。歯ブラシも新しいの出しておいたから。…ズボンはキツそうだったから脱がせたけど。」
そう言われて、僕は少しふらつきながら立ち上がるとお礼を言った。下着姿で部屋を横切りながら、何となく恥ずかしい気がしたのは少し兆した朝勃ちのせいだろうか。
トイレを済ませてシャワーを浴びると、なるほど目が冴えた。僕は腰にタオルを巻きながら、はたと何を着るべきかと浴室のドアを開けた。
ベッドルーム兼リビングの様なワンルームは広めと言いつつも空間はひとつだ。少し出っぱった仕切り壁から顔を覗かせると、ベッドを整えている壬生君が僕に気づいて何か抱えて持ってきてくれた。
「俺ので良かったら着るか?流石にズボンはサイズ合わないけど、トレーニング用のぴったりTシャツならいけるだろ。あ、下着はサイズはともかく新品だから。悠太が普段着てる様な洒落たアレじゃないけど。」
僕は有り難く受け取ると、袋からトランクスを出して履いた。確かに少し大きいけど、逆よりは全然いける。もし反対だったら、壬生君はぴちぴちパンツを履く羽目になるだろう。
僕がそんな事を想像して少し笑いながら目の前の壬生君を見上げると、何を考えているのかわからないな眼差しの壬生君がハッとした様に僕を見つめて、柔らかく微笑んだ。
「何?なんか可笑しいことあった?」
僕はさっきの空気は何だったんだろうと思いながら、クスクス笑って言った。
「もし反対に僕の下着を壬生君に貸したら、ぴちぴちになっちゃっただろうなと思ったら可笑しくて。」
すると壬生君はなぜか僕にTシャツを頭から着せ掛けて、着るのを手伝ってくれた。僕はなぜ壬生君が手を貸してくれるのか分からなかったけど、ちょっとしたこの甘やかしは悪くないと思った。
「壬生君て、結構お世話焼き?」
Tシャツの中から顔だけ出して壬生君を見上げると、じっと見下ろされてるこの表現できない空気に少し戸惑ってしまった。
「いや…。悠太は何か放って置けないかな。着替えたら何か食べるか?」
そう言って僕に背を向けた壬生君の大きな背中をじっと見つめて、僕は壬生君の部屋と同じ良い匂いのするTシャツを着た。ベッドの側に畳んであった自分のズボンをふらつきながら履くと、テーブルにリンゴジュースやプロテインが並んだ。
「ありがとう。壬生君、僕あまりお腹空いてないからジュースだけ貰える?」
壬生君はサッとリンゴジュースをグラスに注ぐと、僕に渡しながら言った。
「…慶介でいい。俺のパンツ履いたんだ、もう壬生君じゃなくて良いだろ?」
そう意味深に言うから、僕は思わず飲みかけたジュースでむせてしまった。思わず壬生君を睨むと、楽しげな顔をして自分のプロテインのシェーカーを振っていた。
「もう!変な言い方しないでよ。これ新品だったでしょ。ふふ、買って返すね。色々ありがとう壬生君。あ、…慶介?」
一瞬慶介の手が止まったけれど黙って頷いたので、これが正解だったんだろう。
「壬生の部屋、広くねぇ?何で実家が東京なのに一人暮らしなんだよ。」
そう言って部屋を見回す清瀬君に、僕はやっぱり広いのかと認識を改めた。壬生君は電子レンジから取り出した出来立てのポップコーンをテーブルに置いて言った。
「あー、親がそう言う教育方針なんだよ。独り立ちの準備的な?でも俺身体がデカいから狭い部屋じゃ落ち着かなくて、親に無理言ったんだ。だからワンルームだけど広めだな。」
「ねー、これだったら恋人とかと余裕で住めそう。壬生、絶対連れ込んでるでしょ。」
そうゼミで一緒の女子が言うと、もう一人の女子もクスクス笑いながら頷いた。僕は部屋を見回してベッドをじっと見て尋ねた。
「でもあのベッドじゃ、壬生君だけでいっぱいになっちゃうんじゃない?」
ドッと皆が笑って、僕の発言が際どいと揶揄われてしまった。そんな意図はなかったけれど、確かに問題発言だったかもしれない。僕は急に恥ずかしくなって、自分でも顔が熱くなるのを感じた。
「全く悠太は可愛いな。こんな事で赤くなってさ。それに俺が思うに、あのベッドはセミダブルだと思うぜ。まぁそれでも壬生がデカいからアレだけど。」
結局僕の際どい発言をキッカケに、皆のお盛んな最近の話を聞く羽目になった。結局清瀬君が1番あちこちに顔を出して飲み会に精を出している事が分かって、そんな清瀬君が僕に言った。
「悠太も今度一緒に行こうぜ。他の学部のヤツと知り合いになるのも面白いからさ。」
顔の広い清瀬君にそう言われて頷くくらいには、僕も酔いが回っていたみたいだ。周囲が賑やかに盛り上がるのを感じながら、僕は強烈な眠気に襲われていた。
ぼんやりと身体を引き起こされる感覚がしたけれど、僕は目が開かなくて誰かに言われるがまま冷たい水を飲んだところで意識はぷつりと途切れてしまった。
喉が渇いた…。でも何だか身体も動かないし、目も開かない。ふいに隣に誰かいる気がした。自分より高い体温が温かくて気持ち良い。無意識に身体を寄せると、抱き寄せられた気がしてその絶対的な包容力に思わず微笑んでいた。
『……。』
誰かが何か喋っているのは分かるけれど、まだぼんやりとした頭では聞き取れなかった。額や瞼に降りてくる優しい何かが思いがけないくらい気持ちが良くて、僕は微笑んでもっと欲しくて顔を上げた。
するとまたさっきの様に触れられて、まるで誰かの宝物の様に大事にされている気分で僕はやっぱり微笑んだ。唇に柔らかな感触がして、僕はこれってまるでキスみたいだとぼんやり考えていた。
キス…。キス?僕は開かない瞼をこじ開ける様に頑張った。ふいに温かな気持ち良さが身体から離れて、僕は酷くガッカリした。もっと包まれていたかったのに…。それから僕は意識がまた、ブクブクと水底に沈む石のように落ちていった。
「…た、…悠太、大丈夫か?」
聞き慣れた声が僕の側で聞こえて、僕は意識を浮上させた。目を開けると、僕を見下ろす壬生君が立っていた。
「ああ、良かった。あんまり眠ってるから大丈夫かなと思って。…大丈夫だよな?」
僕は身体を起こすと、ぼんやりしながら壬生君から渡された水を一気に飲んだ。ああ、染み渡る。そういえば随分喉が渇いていた。そう、喉乾いてたんだ。何か思い出せそうで思い出せない僕は、ぼんやり部屋を見渡した。
テーブルの側にゴミ袋が置いてあって、壬生君がすっかり片付けてしまった様だった。僕以外はもう誰も居なくて、僕はどうも壬生君の家に泊まってしまったみたいだ。
「…ごめん。迷惑掛けたみたいだね。今何時?」
僕がそう言うと、壬生君は僕にバスタオルを渡して言った。
「今11時だ。俺午後からバイト入ってるんだ。まだ大丈夫だけど、シャワー浴びてこいよ。さっぱりするから。歯ブラシも新しいの出しておいたから。…ズボンはキツそうだったから脱がせたけど。」
そう言われて、僕は少しふらつきながら立ち上がるとお礼を言った。下着姿で部屋を横切りながら、何となく恥ずかしい気がしたのは少し兆した朝勃ちのせいだろうか。
トイレを済ませてシャワーを浴びると、なるほど目が冴えた。僕は腰にタオルを巻きながら、はたと何を着るべきかと浴室のドアを開けた。
ベッドルーム兼リビングの様なワンルームは広めと言いつつも空間はひとつだ。少し出っぱった仕切り壁から顔を覗かせると、ベッドを整えている壬生君が僕に気づいて何か抱えて持ってきてくれた。
「俺ので良かったら着るか?流石にズボンはサイズ合わないけど、トレーニング用のぴったりTシャツならいけるだろ。あ、下着はサイズはともかく新品だから。悠太が普段着てる様な洒落たアレじゃないけど。」
僕は有り難く受け取ると、袋からトランクスを出して履いた。確かに少し大きいけど、逆よりは全然いける。もし反対だったら、壬生君はぴちぴちパンツを履く羽目になるだろう。
僕がそんな事を想像して少し笑いながら目の前の壬生君を見上げると、何を考えているのかわからないな眼差しの壬生君がハッとした様に僕を見つめて、柔らかく微笑んだ。
「何?なんか可笑しいことあった?」
僕はさっきの空気は何だったんだろうと思いながら、クスクス笑って言った。
「もし反対に僕の下着を壬生君に貸したら、ぴちぴちになっちゃっただろうなと思ったら可笑しくて。」
すると壬生君はなぜか僕にTシャツを頭から着せ掛けて、着るのを手伝ってくれた。僕はなぜ壬生君が手を貸してくれるのか分からなかったけど、ちょっとしたこの甘やかしは悪くないと思った。
「壬生君て、結構お世話焼き?」
Tシャツの中から顔だけ出して壬生君を見上げると、じっと見下ろされてるこの表現できない空気に少し戸惑ってしまった。
「いや…。悠太は何か放って置けないかな。着替えたら何か食べるか?」
そう言って僕に背を向けた壬生君の大きな背中をじっと見つめて、僕は壬生君の部屋と同じ良い匂いのするTシャツを着た。ベッドの側に畳んであった自分のズボンをふらつきながら履くと、テーブルにリンゴジュースやプロテインが並んだ。
「ありがとう。壬生君、僕あまりお腹空いてないからジュースだけ貰える?」
壬生君はサッとリンゴジュースをグラスに注ぐと、僕に渡しながら言った。
「…慶介でいい。俺のパンツ履いたんだ、もう壬生君じゃなくて良いだろ?」
そう意味深に言うから、僕は思わず飲みかけたジュースでむせてしまった。思わず壬生君を睨むと、楽しげな顔をして自分のプロテインのシェーカーを振っていた。
「もう!変な言い方しないでよ。これ新品だったでしょ。ふふ、買って返すね。色々ありがとう壬生君。あ、…慶介?」
一瞬慶介の手が止まったけれど黙って頷いたので、これが正解だったんだろう。
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